TIMEDOMAIN理論を完全に実現するためのハードル | Photograph to Life ~生活に写真を~

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連続してTIMEDOMAINに関する記事を連投することになりますが、忘れないうちに書いておこうと思いましたので連続更新となります。

 

先日ジャンクを入手したTIMEDOMAIN miniをアンプレス化したり、旧いアナログアンプやUSB-DAC内蔵アンプで鳴らしたりして気づいたことがあります。

 

以下が私が昨日と今日の更新で書いた記事です。

参考リンク:「IMEDOMAIN miniのジャンクを救出

参考リンク:「TIMEDOMAIN mini(改)に合うアンプ

 

タイムドメイン社の解説ページによると以下の様な記述があります。

 

タイムドメイン方式では磁気回路は仮想グランドに固定されています(図7)。仮想グランドは振動系に対して1000倍以上の慣性質量を持つ金属シャフトです。これは振動を伝えないゲル状物質で空間に支持されていますので、理想的なグランド、基準静止点と言えます。(株式会社タイムドメインホームページより引用)」

参考リンク:「タイムドメインとスピーカー

 

要は、タイムドメインスピーカーの代表作と言える「Yoshii9」の構造が最もベストな構造になるということになります。

 

 

これはどういう事かと言うと、「仮想グランドに固定=常に下方向に向けて引っ張られる振り子に固定」と言うことになるからです。これを裏付ける記述も有りますね。上記引用のすぐ前にある下記の記述です。

 

理論的には磁気回路をグランドに固定すれば理想ですが、大地も大地とユニットを結合するコンロッドも振動しますから実現できません。(株式会社タイムドメインホームページから引用)」

 

つまり、タイムドメイン理論を(ほぼ)完全に実現するスピーカーはYoshii9と同じ構造でなければ事実上実現不可能と言える訳です。要は、Yoshii9は「スピーカーユニットがエンクロージャ内部に浮いている状態」を「ゲル素材でエンクロージャと接合」することで仮想的に作り出していることになります。

 

では、タマゴ型のエンクロージャを使った「TIMEDOMAIN mini」や「TIMEDOMAIN Lite」はどうでしょう。

 

・TIMEDOMAIN mini

 

TIMEDOMAIN miniを分解してみると判るのですが、スピーカーコーンを横向きに取り付ける仕組み上「仮想グランドに固定」と言う方法は取れません。なので、仮想でない「現実のグランドそのもの」にスピーカーユニットのフレームを強固に固定することになります。

ただし、TIMEDOMAIN Liteについてはゲルダンパーでスピーカーユニットを前後から挟み込んで支えているようなのである意味「Yoshii9を横倒しした物」と言っても良い構造と思います。

 

さて、私が手に入れたTIMEDOMAIN miniについてですが、上記写真を見ても分かるようにスピーカーユニットはマグネット部分でスタンドの脚を兼ねるフレーム(=バッフル)に固定されています。ですから、少なくともLiteでは採用された「仮想グランドに固定」と言う方式ではないことが解ります。

この構造の問題点は、タイムドメイン理論で言うところの「大地も大地とユニットを結合するコンロッドも振動します」と言う部分が解決不可能と言うことです。そもそも、ゲル素材といえども振動を完全吸収する訳でなく「制震」くらいの能力しか無いのでゲル素材で前後を挟み込んでいるLiteで有っても(重量のある仮想グランドに支えられた構造の)Yoshii9を越えることは不可能ということになります。

 

さて、miniの件に戻りますがこのminiもユニットとエンクロージャの結合に関しては妥協が無いように感じます。

私自身が書いたものですが「固定されたスピーカーユニットにガッチリと固定しない様にエンクロージャで囲む=エンクロージャを擬似的に宙に浮かせる」構造になっている。ただ、これは本来のタイムドメイン理論とは逆の考え方になっていると感じるのです。

 

先に書いたようにYoshii9の構造は「エンクロージャとユニットの振動板がどの様に振動しようとユニットのマグネットとフレームが安定状態にある」ことを要求し、それを最大限発揮する構造です。LiteもYoshii9程でないにせよ同様の効果を求めています。

 

ですが、miniについてはユニットのマグネットとフレームは「振動する大地に固定」されていて、その振動がエンクロージャに伝わりにくい様に設計されていると言えます。

また、如何に小口径のフルレンジユニットとは言えどもプラスチックのフレーム(=バッフル)に固定され、さらに金属のシャシーにわずか2本のネジで固定されていると言う状態では由井氏が提唱するタイムドメイン理論を実現できているとは言いがたい。

 

言ってみれば、miniは「TIMEDOMAINスピーカーに興味を持ってもらうための撒き餌」と取ることも可能です。が、新品価格18900円が撒き餌価格かといえばちょっと無理があるように思う。このminiは富士通のPCに採用された過去も有るようですが、富士通銘の物はかなり安価で販売されていたようなので現状のままであれば半値くらいまで下げたほうがより販売に結びつくと思う。

 

もし、miniの構造でより理論に近づけた製品にするということであれば、エンクロージャは現状のままでも良いので「ユニットを固定する脚部兼用フレーム(バッフル)をアルミキャスト製に変更」し台座のシャシーとの接合部にも薄くて良いのでゲル素材のダンパーシートを入れることです。何故ならば、現状の樹脂フレームではねじれ剛性が低すぎる上に重量が無さすぎる。現状はシャシーの重量でそれをカバーしているのだろうけれど、それでも重量が足りない。

ダンパーシートを入れるのは、載せるデスクやオーディオボードの振動をユニットに伝わるのを少しでも軽減するため。

 

上記の対策で個人でできそうなのはシャシーと脚部の間にダンパーシートを入れることくらい。もしくは、構造を変更してハンガーで吊り下げて物理的に振動の原因との接合部を減らすことになります。実際、miniの脚部を切断除去して吊り下げに改造している方もいらっしゃるようですし...。

 

後は、搭載しているアンプをもう少し良い物に変えて欲しいのと、各プラグやジャックの取り付け耐久力を上げて欲しいですね。