若干懐疑的に見つつも、独特のエンクロージャ構造に興味があった「TIMEDOMAIN」スピーカーですが、リサイクル店にて「TOMEDOMAIN mini」のジャンクを発見したので救出してきました。
因みに、TIMEDOMAIN miniはAmazonでも結構なお値段しています。
![]() | TIMEDOMAIN mini 18,900円 Amazon |
上記リンクでは18900円と表示されていますが、これを書いている時点では18490円の物が4点ほど残っているようです。
一応、入っていた袋には「音出しOK」と有ったのですが、袋が破れていたのでiPhoneに繋いで確認したところアンプの入っている右側から音が出ません。
また、左チャンネルを繋ぐRCA端子がグラついていました。
音の出ている左チャンネルで判断する限り、ネットで見る評判ほどは音質は良くないなと言うのが正直な感想でした。
なので一度は購入しない選択をしたのですが、よく調べてみると「アンプを取り除いてパッシブスピーカー化」を行い、別なアンプに繋ぐと化けるらしいと言う事が解りました。
例えば、ココの記事です。
参考リンク:「TimeDomain mini タイムドメインmini 改造 アンプレス化」
上記リンクの方は、ノーマルのTIMEDOMAIN miniを所有していて、なおかつ中古をオークションで落札して改造したようです。私の入手したものと比べるとコーンの状態が非常によろしくて羨ましい限りです。
という訳で、新品の価格が18000円以上もするということ、アンプレス化で化ける可能性があることを理由に速攻で救出を決めてきた次第。
アンプが入っている側の台座裏にはスペック表示のラベルが貼ってあります。
これによると、使われているユニットのインピーダンスは4Ωで、アンプは4W+4Wの様子。ACアダプター電源で13Vとなっています。
ACアダプターもきちんと付属していた訳ですが、今回はACアダプターの出番はない状態。最も、13Vだと自作アンプなどで使える可能性が高いのでそのまま保管箱行きとなります。
スピーカーユニット自体は両チャンネル生きてはいるのですが、コーンの状態が写真のような状態です。まぁ、先行きユニットを交換する可能性もあるので、ココは変にいじらない予定です。
TIMEDOMAIN miniを手にして一番驚いたのはこの部分です。
驚いた理由は、DCジャックもRCA端子も「基盤へのハンダ付けだけで固定されている」のです。通常、18900円程のアクティブスピーカーでこういう作りの製品が有るということが驚きな訳です。
この構造だと、コードの重みで引っ張られたり、抜き差しを頻繁に行ったりということをすると「ハンダクラック」が発生して接触不良を起こします。実際、この個体はRCA端子がグラグラでした。
上記の写真を見てもらうと分かるように上下方向にグラつきが有って、端子先端部では2~3mmは上下に動く状態です。
3.5mmステレオミニプラグのケーブルも、RCA端子の左チャンネル側ケーブルも、お世辞にも高級とは言いがたい。まだ、RCA端子側はマシですが、ステレオミニプラグ側は2000円くらいで買えるPCスピーカーレベル。劣化も著しい(´・ω・`)
という訳で、アンプ取り外しと外装クリーニングの為に分解。
卵型のエンクロージャは、前から見える4本のネジで前後を繋ぐ構造です。意外としっかりねじ込まれているのでネジの頭を潰さないように気をつけて外します。
エンクロージャとスピーカーユニットは直接は繋がっていないことがこの写真から解ります。エンクロージャ前面側にエッジダンパーと同じような素材のリングが貼られていますが、ここにスピーカーユニットのフレーム前面が当たります。
エンクロージャ後方にはバスレフポートらしいパイプと吸音材があります。が、このパイプはバスレフポートではないというのが設計者の言い分らしい。バスレフポートで無いなら、この穴は要らないのではとも思うが、何か理由が有るのかもしれない。
タイムドメイン理論には、スピーカーコーンの前後動をエンクロージャに伝えない様にするために「エンクロージャ内部でスピーカーユニットを宙吊り」にするというのがあります。ですが、現実には完全な宙吊り構造は無理なので「固定されたスピーカーユニットにガッチリと固定しない様にエンクロージャで囲む」と言う構造になっています。
親指の先に見える黒いゴムのようなクッションが挟まれることで擬似的にエンクロージャが宙に浮いている状態を作り出している訳です。
スピーカーユニットは脚の上にある固定フレームに背後から固定されています。この構造ですから、他のスピーカーと比べるとユニット交換のハードルは非常に高くなりますし、口径2インチのユニットでも使えるものと使えないものが有るようです。
パッシブスピーカーにするにはアンプを取り出す訳ですが、それには台座裏の金属パネルを外す必要があります。
一見、3本のネジで留まっているように見えますが、実は滑り止めゴムの下にも2本のネジが隠れています。
また、中央の2本は脚を台座に固定しているネジなので。分解時は最後に外したほうがコードを切らずに済みます。
上記写真は左チャンネルですが、アンプが有ることを除けば右側も同じ構造です。
内蔵のアンプは、お世辞にも上等とは言えません。と言うか、このアンプで満足しているとしたら、設計者はどうかしているんではと言いたくなるほど。実際、先にも書いたように、左チャンネルだけの試聴での判断も「決して評判ほどの音質ではない」というものでした。
最も、多くのPCスピーカーで言えるのですが、目に見えやすいスピーカーユニットにはコストを掛けていても、目に見えないアンプでコストダウンを図っている事が多い。なので、安価なアクティブスピーカーはアンプを外して外部アンプに繋ぐと音質が良くなるという例は見られる訳です。
正直、この程度のハンダ付けなら自分でも出来ます。まぁ、以前に見た初代AirMacExpressの電源部基盤(サムスン製)と比べれば数段良いですけれど...。
コンデンサ類はどうやら汎用品らしいですが、このDECONと言うのは中国のメーカーで、電源やスピーカー関係で使われることが多いらしい。また、オペアンプは東芝製となっています。
ボリュームは、メーカー不明ですが20kΩのAカーブの様子。ガリの原因がこれでなければ、何かで使おうと考えてます。
とまぁ、このアンプをバイパス、と言うか除去するわけですから「外部アンプに繋ぐ端子」を付けないといけません。ちょうど、RCA端子が手持ちで有るので台座部分にRCA端子を付けることにしました。
RCA端子を取り付けるために、6.5mmの穴を開けます。底部に金属パネルが付くので、短絡をしないようにする必要が有るので、付ける位置の妥協点を探った結果が上記写真の位置。
一応、左右でほぼ同じ位置になるように穴を開けました。
RCA端子が付くと上記写真の様になります。要は、上側からピンジャックのオーディオケーブルを差し込む作りにする訳です。
左側はコードを直接ハンダ付けにしました。これは、RCA端子のケーブルが付いていたからで、15cm位余裕を持たせてカットし、台座の中にコードを収納しています。
右側はアンプにコネクタで繋いであったので、これを活かすことにしました。と言うか、この方法を取らないとコードを交換する必要がありました。
アンプ基板からコネクタパーツを外し、それに左チャンネルから切り取ったコードを流用して繋いでいます。
上記写真を見てもらうと判るように、コネクタまでのコードが短いんですね。なので、コードを交換しないならばこの方法を取る以外は無いといえます。
コードを繋いだら台座を組み上げます。これで一応の完成(`・ω・´)
右側の台座にはアンプ操作部などの為の穴が開きっぱなしです。ココはなんとかしたいんですが、当面はこのままになりそう(´・ω・`)
オーディオケーブルを挿すとこうなります。思ったよりはみっともなく無い感じですね。
とりあえずiPhoneに直接繋いで試聴したんですが、確かにアンプをバイパスしたほうが音が良い気がします。
2インチのフルレンジでこの音ならまぁ許せるかな。しかもペーパーコーンで若干劣化もしてるし...。
全体としては、低音域が中央から出ているような印象を受けます。左右の音の分離は置き方次第です。耳の高さまで上げるとかなり良い。反面、低い位置だと分離が曖昧になる感じ。割りと指向性が高いのかもしれません。
アナログにしろデジタルにしろ、アンプを繋いで鳴らしてみないことにはなんとも言えないところがあります。
ですが、正直なところ少なくともアンプが現状のままならと言うのがある訳ですけれど、「TIMEDOMAIN miniに18000円は出さない」と言う選択肢になりますね。
もし、アンプをもう少し高品質にしてもらえて、各種端子類の耐久性を上げる改良をしてくれれば有りかなと言うのが現状の販売価格です。
正直、この値段ならOlasonicのこっちのほうがオススメですね。
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Olasonicのコレは以前に貸出機でレビューしたこと有りますけど、良い音で鳴ってくれますよ。
参考リンク:「東和電子『Olasonic TW-S7』をお借りしました」
TV用と言うのもあるので、用途に応じて選べますし...。
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