走れオッサン三人衆
私はちょっとした免許オタク![]()
5年前に取得した憧れの大型二種免許。
残るは大型特殊二種とけん引二種。
私が所属する事業所では、
介護タクシー事業も行っており、
いずれは自分も代打要員にと
思っておりました。
タクシー事業部の運転手さんは、
二十代のキュートなギャル
が勤めており、
当時まだまだ始まったばかりでお客さんも少なく、
なかなか私の出番はやって来ませんでした。
ですが、取得して間もない頃、
ギャル運転手が突然体調を崩してしまい、
いよいよ私にお呼びが掛かりました![]()
与えられた任務は、
車いすの方の人工透析への送迎。
タクシーとは言えメインのお仕事は
運転よりも介護。
ミッションはご自宅での階段の昇降、移乗。
病院内での移動・お着替え・ベッド
への移乗という内容でした![]()
ギャルからは簡単な地図と、
口答での説明しか受けず、
ぶっつけ本番の状況です![]()
男性のお客様とあってか、ギャルドライバーは
当然かなり気に入られており![]()
他のお客様も徐々に増えて来ている頃でしたので、
代打要員が行って何かあっては
地道に築き上げようとしている
信頼を失墜させ事業部の存続にも
影響しかねません![]()
とても、私一人では荷が重すぎて
社長に相談することに・・・。
もう取得したライセンスの日の目を
見るどころの話しではありません。
結果的に、社長を筆頭として、
私とグループホーム事業部の男性管理者が
助っ人として社命で招集され、
盤石の布陣で出発することに相成りました。
普段はギャルドライバーのみで
提供しているサービスなのに・・・。
会社の社長まで登場し、さらに施設の
敏腕管理者まで加わり何とも
大げさなチーム編成となりました。
会社の信頼を崩壊させないためだけに編成された
大赤字のタクシー業務です。
介護の現場経験は20年以上。
社長はじめ介護福祉士の資格も
有する三人でありましたが、
お客様のマンション前に到着した時には
その経験も資格も意味を成さず、
辺りの空気が一変するほどの
緊張感が漂っていました。
案の定、お客様は我々オッサン三人組を
見るなり顔が強張ります。
「何だよ、このデブで汚いオヤジ三人は
」
あからさまに顔がモノを言っていました。
助っ人の管理者がお話をして
リラックスしていただこうと
試みるも効果が得られないまま出発です。
教習所の卒業検定試験さながら
慎重にハンドルを握る私![]()
車内沈黙。病院に到着、車いすのハンドルを
握るのは私、ガクガクフラフラ。
着替えを担当するは大物助っ人の管理者と社長、
手が、言葉が震え、挙げ句ズボンの
前後ろを間違える始末。
真冬なのに三人とも朝ダーダー![]()
ベッドへの移乗。
いよいよ暗雲が垂れ込めるお客様の
表情を見るに見かねた看護師さんが
替わりにやっている姿を遠巻きに
突っ立って眺めるオヤジ三人組でありました。
以上、社運を掛けた介護タクシー劇場の閉幕。
帰り際、
「慣れてないから大変だっただろ、姉ちゃんにしっかり教えてもらって次も頼むな」
のお客様からの一言は喜んで良いのやら・・・。
その後、何度か代行要因として招集され、
今では一人で行けるようになりましたとさ。
めでたしめだたし。


