10年間 ボストンバッグ 作りたかった。 | 裏くらばー。

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ゴルフクラブ好きのつぶや記
I LOVE 70's to 90's Golf Gear

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ボストンバッグを携えて、知らない街を歩いて来ました。
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バックパックを背負う人たちが多いですが、ボストンバッグを右手、左手と持ち替えながら、ぶらりと街を歩くのです。
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立ち止まり、ボストンバッグを置くとき。
カチャン!と底鋲の音がします。

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真鍮の底鋲。コレがいい音を出すのです。
重かったな〜を一瞬で忘れる音色です。

このボストンバッグを見た人が言いました。
「ずいぶん昔のバッグ使ってるんですね」

いえ、つい先日出来上がったばかりなんですよ。
最新作です。

そう返すと、へぇ〜!と驚かれていました。

でも、新しいモノですが、作りもフォルムも古いモノのままなので、昔のバッグ に見えるというのは、最上級の褒めことば。ずっとそれを作りたかったのですから。

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70sの定番ボストンバッグです。
BURTON製のモノです。
ずっと、コレを集めて来ました。
小さいのや大きいの。中くらいのも。

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斜めに切り込んだファスナー。
これだけで口元はガバッと大きく開きます。
今のボストンバッグはたいていストレートなファスナー。口元開きにくい気がしていました。

いつか、このボストンバッグを作りたいな…。
そう10年くらい思って来ました。

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クイーっと斜めファスナー。
ついに作ることができました。

上の赤いバッグではファスナーが真ん中で終わってしまっていますが、今回作ったボストンでは、バッグの底近くまでファスナーを延ばしています。

コレ、大きいタイプでは、ヴィンテージでもそうなっているのです。

サイズは中でも作りは、大。
そんな味付けを随所にしています。
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小物入れを付けたのも、大サイズの仕様を踏襲した点です。

それと、庫内内張に高密度で知られる倉敷帆布の分厚い6号を使いました。長く使っても切れたりしないように。また、庫内がなるべく明るくなるように、無染色な最もピュアなものを選びました。暗い庫内でガサゴソするのイヤですから(^^;)

6号帆布は分厚いので、
「とてもじゃないけどまとまらない。無理です」

職人はそう言いました。

まとまらない とは、バッグ本体のパーツが一纏めに重なるちょうどパイピングされた外周部のことです。分厚いレザーパーツが2〜3枚、同じくレザーのパイピング、その下に分厚い6号帆布…これをどうやって隅でまとめて縫える? 無理です!となるのです。

でも…職人は6号帆布でサンプルを作って来ました。
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6号だけでなく、9号やそれよりも薄いモノも支給し、まとまる範囲で最も厚いのでサンプルアップして欲しいと頼んでいたのです。

そして、届いたサンプルバッグ。
無理だと言っていた6号が使われていました。
職人の意地 だと言っていました。

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できないですよ。
大変ですよ。

手間でなく、時間でなく、あくまでも決められた上代(希望販売価格)から逆算された「工賃」で、大手メーカーのOEMを受けてくるうちに、手のかかること、時間がかかること、どうすれば縫える? 縫ったあとひっくり返せる?と考えることすら避けるようになっているのでしょう。

それがまず、無理です。大変です。という職人の口癖になってしまったのです。

この工賃なら、なるべく簡易に進めたい。

その気持ちが現在のボストンバッグに見られる 簡便な普通のやり方 を生み出したのだと思います。

今回は、昔のデザイン、製法縛りでした。
「工賃はまず作ってみて、その上で決めてください。上代はその工賃をベースに決めます。工賃を値切ったりしませんから」

そう約束して始めたことなのです。

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大変だったけど、ひさしぶりに楽しかった。
やりがいがある仕事をありがとう。

職人は、そう言いました。

手を抜く仕事よりも、手がかかる仕事の方が愉しい。気合が入る。職人の気質だと思います。

おかげ様で、10年ごしの願い 具現化できました。
あとは、こういうバッグが欲しかった!と喜んでくれる人に出会うだけ。

それが最も難しい!大変!なことかもしれませんが、じっくり取り組んでいくしかないですね。存在を知ってもらえるように。

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Ciao!★