前々回、中国の往時の列車旅の話をしたついでに、中国の多彩で広大な食文化の根本にあるものについて、私が経験から思うところをお話ししましょう
人間が生活する上で最も基本的な柱は衣食住です
その中でもいちばん重要なのは食でしょう(o^-')b
食いつながなければ、そもそも生命を維持することができません
そのことに対して中国人は、生活の中で本能的かつ直接的に向き合っています
たとえば、日本なら「こんにちは」、あるいは「儲かりまっか?」といった挨拶をするところ、中国では「メシ食ったか」という言葉が挨拶代わりになるほど
国民性が、命をつなぐ「食」にダイレクトに結びついているのですね
また、貧しいおかずで食事をしているとき、日本人は人に見えないよう隠して食べますが、中国人はどれだけ貧しいものでも、器を抱えて必ず往来のほうに向かい、時には堂々と立って食べます
すなわち
「俺はメシを食えているんだぞ」
というアピールですね
たとえ内情がどうであれ、食べていること自体が見栄というか、一種の面子なのです
そのあたりに和食と中華料理の原点の違いがあるように思いますv(^-^)v
それにしても本当に、中国で内向きに食べている人を一人も見たことがありません
また通りに向かって立って食べるということは、中国に屋台が多いことを思い起こさせます
食べているところを人に見てもらいたいという欲求が、彼らの血の中に存在しているのではないでしょうか
それはどこかで、中国人の男性はお腹が出ていることを隠さない、つまり大きなお腹は金持ちの証であるという考え方にもつながっているような気がします。
食に関わる面子ということでは「満漢全席」が有名です
たとえば李さんという人が出世して金持ちになり、家で満漢全席を出したとします。
でも決して食べ尽くしてはなりません。それが暗黙の決まりです(o^-')b
なぜなら、金持ちになった李さんのところには、会ったこともなければ聞いたこともないような親戚たちが全国から押しかけてくるからv(^-^)v
つまり、彼ら大勢の「李一族」たちにまで食べ物が回るよう、満漢全席の料理は残しておかなければならないのです
もっとも、全部食べることなど到底できない量(ノ゚ο゚)ノなのですが
このように、中国人は食とともに一族も非常に大切にします(^∇^)
これについては中国の老好友(ラオポンユー)から聞いた興味深い話もあるのですが、それはまたの機会に
ともあれ中国は実に奥深く、おもしろい国なのです(-^□^-)