スッポンは洋の東西を問わずに食べられている高級食材です
イギリスでもフランスでも日本の皇室でも、公式なディナーのときにタートルスープというものがよく出されますが、あれはスッポンだと思います
スッポンは滋養になって食べると体が元気になりますから、賓客の健康を気づかうという意味も込めて出されるのでしょう
食べ物で重要なのはおいしさだけではないということですね
さて、スッポンにはちょっと意外な話があります
一般的にスッポンの旬は冬とされていますね
京都では俗に「まる鍋」と呼ばれるスッポン鍋も、冬になるとスープの上に脂がにじみ出て、とても濃い味になります。スッポンの身にも脂がつき、黄色みを帯びてきます
ですから私も、冬においしいスッポンの旬は当然、冬であると思ってきました(;^_^A
ところが、あるとき日本料理の有名な板前さんが「かつてスッポンは夏の風物詩でした」と言うのです
「昔は金魚売りが『金魚~スッポン、金魚~スッポン』と言って売り歩いていたんですよ」
これには驚き、思わず「それは違うだろう、スッポンは冬の風物詩だろう」と言ったところ、
「正木さん、野生のスッポンは冬に冬眠します。養殖のない時代、冬にスッポンを獲る方法なんてありませんよ」
と言われて勝負がつきました(^_^;)
自分がそうだと思い込んでいることが完全なる勘違いであったという、よい例です
今、スッポンを冬に食べることができるのは養殖のおかげです
スッポン料理といえば京都が有名ですが、養殖の本場は第一に静岡県、第二に大分県です
静岡では浜名湖周辺の養鰻場がスッポンの養殖も手がけているため生産量が多いのだと思います
それでいて、当地にうまいスッポン料理があるという話は聞きません
鰻料理は知られているのに、なぜ
これは一つの謎といってよいでしょう(^_^;)
また、食材は養殖より天然もののほうがおいしいといわれる中で、スッポンに限っては養殖のほうがおいしいというのもおもしろいところです
養殖では人間がていねいに温度管理をして、冬眠をさせずに若いうちに大きく育てるためでしょう(o^-')b
野生のスッポンはカメ一般の例に洩れず、何でも食べる悪食の生物として知られています(ノ゚ο゚)ノ
それが養殖になるとトウモロコシなど栄養価の高い餌が与えられますから、その影響もあるはずです(o^-')b
最後に東京でスッポン料理のうまい店をご紹介しましょう
渋谷区富ヶ谷の『田吾作』です
一年を通じておいしいスッポンを出す店で、著名人もたくさん来店します
この店の名物は、ニンニクを利かせたスッポンの唐揚げ
とてもおいしいのでご主人に詳細をうかがうと、あるとき韓国のお客さんが「パンチのあるニンニクを入れて揚げてみてくれないか」とリクエストしたので、やってみたらとってもおいしかったとv(^-^)v
そこで以降はニンニクをまぶして唐揚げを作るようになったということです。
親子で営んでおり、すべての料理が非常に繊細です
特に、最後に出てくる雑炊や漬け物を味わうと、この店の繊細さをはっきりと感得できます(^∇^)
私はよく友達と一緒にこの店でスッポンを楽しみます
席数の少ない人気店ということで予約は簡単ではないかもしれず、また料金も決して安価ではありませんが、
味は私が保証します(o^-')b
食いしん坊の皆さん、ぜひ一度行ってみてください