尾道国独立宣言 | ポケット剪定・ポケット家庭菜園シリーズ

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■[政治]尾道国独立から2週間…緊急現地ルポ(2011-03-14-Mon)

統一地方選挙を前に3月1日、日本からの独立を宣言してから日本国:自衛隊と交戦状態にある尾道国は、今、緊張感に包まれている。尾道国首脳は独立宣言にあたり広島空港を尾道空港へ、福山市松永町の吸収、福山大学を尾道第二大学とし、近隣の若者を尾道在住化することを明言。また千光寺周辺と比肩する観光地である鞆の浦を制圧し、外貨の獲得を行うと宣言していた。


尾道国首脳は独立宣言の際、若者へ「しまなみ解放軍」への参加を訴えた。また独立宣言にあたっての演説では「しまなみ海道を制圧し、封鎖。四国からの交通料金は尾道国が徴収する」と語った。日本国は即座に陸上自衛隊および海上自衛隊の派遣を決定。しまなみ海道奪還作戦「オペレーション・ブリッジ」を開始。今も交戦中である現地を取材した。



◆深刻な食糧難
「白い米が食べたい。イチジクやみかん、尾道ラーメンにわけぎを付けて食べる生活はもうたくさん」…尾道国因島区に住む長谷川京子さん(32歳、仮名)はこう語る。独立直後に始まった広島県による経済封鎖のため、尾道国民への食糧供給はほぼ絶たれた形になっている。頼みの漁業も、自衛隊としまなみ解放軍との交戦、封鎖により漁船が出漁できない状況が続く。国民に配給されるのはわけぎのほか、備蓄してあったイチジクとみかん、そして尾道ラーメンだけだ。このため国民の間ではメタボ対策が最大の関心事となっている。しかし、メタボ対策に有効な黒烏龍茶やヘルシアも国連の人道援助に頼らざるを得ず、女性子供に優先して配給されているものの、到底必要数には足りていない。



◆頼みの綱、早くも断絶
長谷川さんは続けてこう語る。「独立宣言した時の観光地:鞆の浦の接収ができたと思ったけどすぐに獲り返された。外貨の獲得ができてない。これでは何のための独立だったのか」。尾道国は独立当初、鞆の浦を第一級接収地区に指定し、接収後は観光客が落とす日本円を重要な外貨獲得手段と位置づけていた。しかし、「尾道」へ編入された場合の行政支援の無さを懸念した鞆の浦観光協会は、急遽鞆の浦警備隊「海援隊」を編成、頑強に抵抗した。海上地域を担っている旧村上水軍を主力とするしまなみ解放軍の鞆の浦接収部隊が鞆の浦をようやく占領できたのは10日のことだった。


当日、尾道国観光相が「尾道鞆の浦」への改名を高らかに宣言したものの、その後、鞆の浦に自衛隊が投入され、12日には鞆の浦制圧作戦「いろは丸の出航」が開始された。鞆の浦接収部隊は、仙酔島を確保するのが精一杯。外貨獲得の夢は消えた。


尾道空港も期待にそぐわない。陸上封鎖により尾道国と日本の間は行き来できず、しかも千光寺もしまなみ解放軍の司令部となっている状態では、「尾道空港には存在意義がない。誰も尾道全体を目当てに行こうとは思わない。千光寺観光ができない今、尾道に行きたいと思う人がどれぐらいいるのか」(航空会社幹部)。


広島県は、従来から「お荷物」となっていた広島空港の破棄、および広島湾5号埋め立て地沖合に滑走路5本を備える新空港を建設することを早くも県議会で決定した。「海・空からのアクセスが飛躍的に改善し、国際線と国内線を一体として処理でき、便数も増える。願ったりかなったりだ」(広島県道路整備計画幹部)と、喜びを隠せない。



◆日本国政府・広島県庁は平静、関係自治体は熱狂
尾道国独立に対し、日本国政府は鞆の浦制圧作戦としまなみ海道制圧作戦の他には実力行使を控えている。その制圧作戦も、鞆の浦観光協会や坂本竜馬にゆかりのある地を守りたいというソフトバンク社孫社長の意向によってやむなく実行したとの説が永田町では有力だ。民主党内部には「強硬手段に訴えてでも早期に鎮圧すべき」との声もあるが、大半は慎重だ。「自衛隊の武力行使は極力避けるべき」(参院自民党幹部)との声のほか、「この際封鎖によって尾道の経済力を徹底的にそぐほうが日本のため」という意見も見られる。


これは、尾道の切り捨てによって他地域が恩恵を受けるからだ。尾道国独立と経済封鎖により、今まで尾道が担ってきた地位を代替しようと、日本の各地方自治体は躍起になっている。向島でのみかん供給が止まったことで、和歌山・愛媛といったみかん産地の自治体は「喜ばしいこと。この際兵站拠点にもなっている向島を徹底的に叩くのがいいのではないか」(和歌山県関係者)と手放しで歓迎している。さらに尾道から東京への牡蠣出荷が止まったことで、築地市場での牡蠣の価格も上昇。広島・岡山・岩手といった牡蠣供給県は思わぬ「特需」に沸いている。岡山空港や神戸空港周辺自治体も、広島空港(現:尾道空港)が無くなったことにより国内線の便数を大幅に増やせることから、基本的には今回の「騒動」を歓迎している。


長年に尾道と対立していた三原市では、市長が「三原市義勇軍」の募集を始めた。「完膚無きまでに尾道を叩き、三原の優位性を確立する。もう尾道人に「三原って三万石せんべいしかないよね?」とは言わせない。将来的には尾道を三原の植民地とするつもり」(与党市会議員)と、鼻息も荒い。



◆多々羅大橋のある大三島が観光名所に
四国と尾道国の境界線であるしまなみ海道は、自衛隊や機動隊が出動し完全に封鎖している。普段は見ることができない実戦配備の自衛隊とあって、四国全土はもとより全国各地から観光客が今治に押し寄せ、ちょっとした特需状態となっている。瀬戸内海にかかる多々羅大橋(愛媛県大三島)では、週末ともなると露店が立ち並び、お祭り状態だ。


地元で親子二代50年以上にわたって漁師兼寿司屋の店を営む田中角三さん(62歳、仮名)は「こんなに人がいるなんて大三島始まって以来のことじゃないか。尾道国さまさまだ」と喜ぶ。店は観光客らで終日ごった返し、3月の売り上げは既に前年同月に比べ3倍以上になったという。「不測の事態があり得る。絶対に近づかないように」との政府広報も今のところ効果がない。



◆首脳陣雲隠れ…亡命説も
華々しく独立宣言を発表した尾道国臨時総理大臣は、7日の憲法制定議会選挙実施の延期発表以降、公の場に姿を現していない。それまでは「目覚めよ尾道国民!尾道国民よ独立の時だ!」と毎日のように国営尾道テレビを通じて演説していただけに、国民の間には「自分だけ亡命した」「既に三原市義勇軍により暗殺された」との噂がまことしやかに流れている。


今回取材した尾道国民は「独立なんてしなければよかった」「旧尾道市長の独断専行だった」といった尾道国政府への不信感を口々に述べた。尾道国浦崎区では、どさくさに紛れて福山市浦崎町としての編入を目指すレジスタンスの地下ネットワークが構築されつつあるとの説もある。国民の高まる不満、沈黙する尾道国政府、多々羅大橋で睨み合っている自衛隊としまなみ解放軍・・・・今や尾道国は奇妙な静寂に包まれている。


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