「ごめん……
あまりにもびっくりして

久しぶり………」





「今日はカラーとカットですね。
したい髪型とかは決めてますか?」









急に口調が変わった。









彼も仕事中だし、
私も社会人だしすぐに空気をよんで、
私語は慎んだ。







「カラーは落ち着いた色でお願いします。

カットは少し短くしたいので……」







ある程度のイメージは伝えてシャンプー台へ~











仕事帰りだし、




メイクも崩れてる。






シャンプーは他のスタッフにお願いしたい……










「こちらへどうぞ」







若い女性スタッフだ。







ホッとした。







でも、シャンプーしている間に落ち付かなければ。。。








私も社会人、人と話すことは得意になった。





彼だって、
毎日お客様と1対1で話して仕事しているんだから…






もう10年前のプラトニックな2人ではない。









私は最近、





遠距離恋愛の彼と別れた。







1人もなかなか気楽で楽しいものだと





自由に生活していた。







行きたい時には男友達とも飲みに行ける。







そんな恋愛のない1人身に充実していた私に、







雷が落ちたように









恋心が甦って来た。















シャンプーを終えて席に着くと








彼が向こうから









シザーが刺さったバッグを腰にセットして
鏡越しに私を見ながら


歩いて来た
懐かしい恋から10年…






私もあれから何人かと付き合って






泣いたり笑ったり…






恋愛をして成長してきた。















社会人になった私は毎日が忙しく、








買い物や美容院に行く時間すら作れなかった。











ある日の仕事帰り、









いつもより早く終わったので









最寄り駅から近い美容院に電話をして






無理言って当日予約をした。

















『いらっしゃいませ』











『さっき電話した者ですあせる
無理言ってすみませんでしたあせるあせる








『いえいえ、ありがとうございます
御席にご案内します』







大きい鏡のある奥の席に通された。







『担当の者が参りますので、
少しお待ち下さい。』








私は雑誌を読みながら担当者を待っていた。








『お待たせしました』








顔を上げて鏡を見て








絶句した。









『やっぱりそうだ!
久しぶり。』








カツ君だ。








美容師になったのは風の噂で知っている。










こんな不意打ちの再会……









その再会はあまりにも突然で…







なかなか言葉が出てこない。








偶然というものが






また私の人生を動かした…
彼から身を引こうと決めてから1ヶ月……









彼からのベルが鳴ることがないまま







時だけが過ぎた。









彼を忘れた訳ではない。





諦めた訳でもない。





ただ、




喋ったことのないライバルに





負けたくない気持ちはあっても





私の方が彼との距離は近いと
どこか過信し過ぎて






負けないと自信があった。








そんな私に






マイが地獄へ突き落とすニュースを持ってきた









「リン…
言いにくいんだけど

ケイちゃんとカツ君



付き合うことになったんだって…」







ケイって子の友達とマイは





中学からの友達で






マイは恐らく


いろいろ私には言いにくい情報を知っていて





黙ってくれてたんだろう………





「いつから……なの……」






声を絞り出して聞いた。






「先週くらいからだって。
ケイちゃんが1ヶ月くらい前から
凄くプッシュしてたみたいで
2年付き合った彼氏と別れてきたから付き合ってって」






「そうなんだ…」








「カツ君は他に気になる人がいたみたいだけど
ケイちゃんもカツ君を待ち伏せしたり
何かいろいろ振り向かせる為に頑張ってたみたい…

気になる人ってさ
……………リンなんじゃ……」





「違うよ!違う!!
ケイちゃんって子
振り向いてもらえて良かったじゃん!
私もクラス変わって何だか疎遠になってなし
気持ちも冷めてきてたから、
何だかショックじゃないや!!」










精一杯の強がりを言って







私の恋は終わった。