診察では、「DHEA無しでの採卵の振り返り」と「採卵を続けるか否か」などを某氏と話した。


 まず、DHEA無しの採卵の評価について。

DHEAの有る無しが卵巣刺激KPIに与えた影響の分析はこちら


でまとめた。最新の採卵について、あとでわかる未熟卵もなかったので、数字はこれで合っているはず。

某氏にも共有してみたところ、興味深く見てくれた(気がする)。結果の捉え方は某氏と私で少し違うところもあり、私の出したKPIでの評価が必ずしも正解というわけではないので、某氏のコメントもなるべく皆さんにも共有してみる。(もしかしたら参考にしてくださっている方がいるかもしれないので)

私の中では、DHEAの有る無しで卵巣の働きを比較すると、FOI(採卵数/AFC)の値からトントンかな、と思っていたが、某氏は採卵個数という絶対値を重視しているようだった。

「AFCなんかは僕らが見ても数え間違うこともあるものだから。」「(採卵)数は(DHEAを抜くと)減ってる。」みたいなことをおっしゃっていた。つまり、AFCは見えづらく曖昧模糊としたもので、卵巣のその周期のポテンシャルをそれだけで決定するほどのものでもないので、成果をFOIだけで評価するのはどうか、という意味かと思う。

それはその通りだと思うので、3、4、5回目の周期頭のホルモン値も追記しておく。

・3回目 

FSH 10.6

LH 6.9

E2 42.0

P 0.65 

・4回目

FSH 13.9

LH 7.0

E2 25.1

P 0.56

・5回目

FSH 11.9

LH 6.9

E2 35.8

P 0.56


AFCの個数は3回目が16個、4回目が9個、5回目が11個。

今回に限っては、ホルモン値を合わせて考えても

ポテンシャルは

(3回目)>(5回目)>(4回目) で変わらなさそう。

取れた成熟卵は3回目10個、4回目7個、5回目8個なので、DHEA有る無し比較の観点で、取れ高の評価は人に寄って分かれるくらいに微妙なラインかと個人的には思う。


 次に、移植フェーズに入るかどうか、についても話した。某氏は最初、「自分ならそろそろ移植に移るかな。」と貯胚リストを見ながらおっしゃった。

 それに対し、私の考えは「あと一回採卵をやってみたい」というものだ。その理由は「胚のバリエーションを増やしたいから」。FORTとORRから、DHEAの有る無しで、私の卵巣が全く別の動きをしていることはわかった。「出力がとても大きく歩留まり5、6割の工場」と「出力はそこそこで歩留まりが9割弱の工場」でできた製品は、質も違う可能性はあると思う。私はPGTを使っていないので、正常胚の有無を突き詰めるところまではやっていないが、だからこそ、別々の環境で育った胚を、貯胚のバリエーションとして加えることは意味があると考える。したがってもう一度だけ、DHEA無しで採った卵子を、願わくば良い状態の夫の精子と掛け合わせて胚を作りたい。

(1〜4回目までDHEA有りで採卵を続けてきたので、DHEA有りでの貯胚はもう十分であろう。)

 これを聞き、某氏は「DHEAは昔、個数も質も上がるという考えが主流だったが、現在は変えるのは個数だけで質までは変えないと考えるのが一般的(逆を言えば、DHEAが質に悪影響を与えることもないということ)。故に、DHEA有無に関わらず貯胚できたことに意味があると思う。」としながらも、「確かに今回Cのつかない胚だけができた、ということを考えると、DHEA無しでもう一度やってみるのは、アリだと思う。」と答えてくれた。


 不妊治療とは、最終的には、楽器や車のチューニングの様に、患者に合わせた治療の最適化がものを言う世界なんだと思う。誰にでもハマる治療法、誰にでもハマる薬なんてこの世に存在しない。DHEAも然り。


 次の採卵まで、身体を休め、心身ともにエネルギーを貯め込もう。