心房細動の記録その5
足を骨折中に心房細動になった話。
救急搬送され、数日間入院することに。
スマホひとつで搬送されたため、なにも持っていない。ほぼ手ぶらだ。
移動に必要な松葉杖も無い。
入院翌日は幸い土曜日だったため、休日の夫に松葉杖や着替え諸々を持ってきてもらう。
生理もくすぶっていたため、サニタリーショーツやら一式もお願いした。
コロナ禍対応のため受付に荷物を預けてもらい、病棟に配達される仕組みだった。
病室で荷物を受け取ると、退院用にお願いした着替えは、次男の部屋着だった。
心配したサニタリーショーツは案の定入って無く、代わりにペチコートパンツが到着した。(女性ならこのぜんぜん違う感がわかると思う)
幸い、すぐ退院できたからなんとか乗り切れたのでまあ、許す。
松葉杖で、心電図の電源を付け、手の甲には点滴用の針が刺さったままの状態でナプキンを持ってトイレに行く。
正気の沙汰ではない。
もう、閉経に向かっているのだからこの煩わしい生理は必要ない。全く。
そんな時間を過ごし、回診の時が来た。
今回の動悸は発作性の頻脈がでたようだ、と。
今すぐ命にかかわる状況ではないけども、血栓ができる確率が上がるのでしばらくは血液をサラサラにする薬を飲みましょう、と。
金曜に入院し、日曜には退院させてもらった。
コロナ禍の入院は、同じ病室の誰とも顔を合わせることがない。
永遠の人見知りには、割と気楽な状態の入院だった。
この動悸の発作以降、しばらく動悸をうっすら感じながら生活していくことになった。
心房細動の記録その4
トイレから戻り、処置室のベッドに横たわる。
ん?少し動悸がおとなしくなっている?
まだ明確に動悸はあるけど、背中まで震わすような不快な動悸は薄らいでいる。
薬の効果が出てきてるようだ。
トイレに行くことも動悸が止まるきっかけになることもあるよと看護師さんが教えてくれた。
夜が明け、朝8時くらいになっていた。
ようやく夫が処置室に呼ばれた。
今日はひとまず入院となる、と説明を受ける。
入院に必要なレンタル品などの手続きはやってくれた。
その頃にはこちらも意識がハッキリして会話も苦にならない。
今日は燃えるゴミの日だよとか日常の事を伝えた。
そこで処置室の看護師さんに、貴重品持込禁止を告げられ財布も持たずに入院することになった。
スマホは持っているのでまあ、なんとかなると思っていたが、貴重品=現金は少しは無いと困るものだった。
なぜ貴重品持込禁止と言ったのか未だに謎だ。貴重品ってなんのことだった?
夫は、いったん帰宅し翌日必要なものを持ってきてくれるという。
彼に生理用品は判るだろうか・・・
病院の待合室で徹夜した夫は、そのまま20分歩いて帰宅し、その日の午後から出社したそうだ。
夫もなかなか大変な1日になってしまった。
いったん救急病棟へ入院。
救急病棟は、男女の区別なく一時的に入る病棟。足にギプスをして入院しているものだから、なにで入院しているのかなんだか良くわからないおかしな状態だ。
朝に入院したから、朝食の配膳は間に合わず、食事は昼から出してもらえた。それまでは飲み物も無い。
とんでもなく口が乾いていた。
心房細動の特徴らしい。
飲み物がなく、看護師さんになにか飲み物だけ欲しいというと、朝食で使うお茶なら出せると。それで充分ありがたい。湯呑に一杯いただいてしのいだ。
うん、現金無しはどう考えても困る。
水道水を飲む選択肢は無い。
金曜に入院し、夫の休日の土曜に入院用荷物を届けてもらう手はずになっていたため、飲み物をたくさん持ってきてもらうようお願いした。
入院したその日のうちに通常の病棟へ入ったのだが、その頃には激しい動悸はもうほとんどなかった。
心電図はモニタリングしてくれていたのだけど、まだ脈拍は140ほどあるとかで、経過を観察してもらう。
検査やらなんやらで忙しく、疲れもあってかよくウトウトしていた。
足のギプスのせいで移動は全てナースコールし、車椅子をお願いする。
楽をしている感覚にはなれない。自分の意志で移動できないというのはわずらわしいものだった。
嫌な顔一つせず、快く対応してくれる看護師さん達にはホントに頭が上がらない。
心房細動の記録その3
心臓がおかしな動きをして救急搬送。
息苦しさに、風邪をこじらせたのかと思っていたら、夜中に心臓がブルブル震えながら大きな動悸を始めた。
夫がホームドクターに連絡すると、救急車を呼んで病院で検査してもらったほうが良いと言われたそう。
そして、近くの大学病院で処置をしてもらう事になった。
処置室で医師から、この頻脈を伴う激しい動悸を止めましょう、と。でもどの方法が効果あるかは人それぞれ、やってみないとわからないと。
時折、意識が楽になるものの、目も開けられないほどしんどい。早くもとに戻してほしかった。
早速、腕の点滴針を通して1つ目の投薬が始まった。
・・・、しばらくしてもなんにも変化がない。数値も変化なかったようだ。
2つ目、3つ目と次々に投薬を受けるも変化がない。ときには息堪えもした。でも脈拍は早く、不快な動悸も続く。
夜中の2時頃に搬送されどのくらい時間が経ったのか全くわからない。
眠いのか、意識が朦朧としているのか自分でも良くわからない。
投薬を受けている間は、はっきりとは覚えていない。
そのうち、とても不快な薬を入れますねと。脈拍を強制的に下げるので頑張ってくださいって。
えーこわい~と思っても、どうにもできない。
投薬が始まると、すぐさま目を閉じているのにキラキラまぶた裏が、星空になる。得も言われない、暴れたくなるような不快感が全身を巡る。
キツイ。
不快を全力で顔にだす。
看護師さんや医師から「頑張って!ツラいねー!」と大声で励まされる。
・・・、でも脈拍は下がらす動悸も止まらず。もう、この薬は使って欲しくない。
そんな事を繰り返していた。
すると、別の医師が新たに登場したようだ。循環器に明るい医師のようだった。
既存の医師がいろいろ相談している。
新たに来た医師のほうが先輩のようだ。
さっそく、この動悸を止める処置に参加してくれた。
「じゃ、息とめてみて。意外と効く人多いのよ~、タイミングも今なら効果出るかもしれないし」って。
さっきもやったけど、こちらが息苦しすぎて10秒と止められなかった。
改めて、息を止めてみる。
10秒、20秒、30秒、40秒、50秒・・
え?
全然止められるんですけど?
肺活量ないのに、こんなに長く止められるって怖いんですけど?
さすがに1分超える前に息を吸ったけど。
ま、動悸はやっぱり止まらない。
このときなんでいつまでも息を止められたのかは謎のままだ。
すると、またあの不快な薬をやると。
ホントに滅入った。でも仕方ない。
新たに加わった医師が、さっき投薬してくれた医師を指導するかたちで投薬開始。
さっきより、より深く薬が体を巡るような不快感。気絶寸前を維持されるようななんとも言えない感じ。
また大声で励まされる。
しんどさに心で泣きながらなんとか耐えた。
この薬の効果が出るまではしばらく時間がかかるらしく、いったん様子を見ることになった。
点滴を受けたりなんだりで体にだいぶ水分が入ったらしい。
トイレに行きたくなった。
骨折しギプスの足では動けないので車椅子でトイレに連れて行ってもらう。
ヘトヘトになりながらも、用を済ませ
廊下を通ると、夫が待合室で待っていてくれている。
ごめんよ、徹夜したね。
空も白んできていた。