さて、本題へ。
お客様のお気に入りのコートの綿100%のコート。
しまってある時に太陽の光が当たっていか、蛍光灯の光が当たっていたかいずれにしても紫外線による色抜けだと思われます。
服は何らかの方法で色が付けられているのですが、最近の服は昔と比べ色が抜けやすい物が多いように感じます。
染色堅牢度の弱い衣類が多いのも事実。我々も扱い難くなっている昨今。
色抜けには色々な原因が考えられますが、保管時に良くある色抜けは紫外線による退色とガスによる退色が多いと思います。
ガス退色は主にナイロン、アセテート、トリアセテートなどに見られるのですが、最近では綿製品のガス退色も時々起こっているようです。
ガスが原因での退色には、車の通りの多い道路沿いの家などの排気ガスによる変色・退色、コンロ(料理をする際は注意)ファンヒーターなどから出るガスによる変色・退色などが考えられます。
「クリーニングに出す前には、なかったのに着ようと思ったら色が抜けていた!」と、色が抜けている服のご相談でよくお聞きするのですが今回のような色抜けは、クリーニングが原因で、と言う事はほとんどないと思います。
染色する際、使う染料の光に対する耐光度、紫外線による耐久度などが低いと色が抜けやすくなり、この色の耐久度を色の堅牢度と言い1~5段階で評価されるのですが表示などには記されていません。
実際の堅牢度がどの程度なのかは私たちプロでも見た目では正確に判断することは難しく、実際には見えない部分でテストをし確認をしてからシミ抜きをしていく事になります。
綿製品などは見た感じで色落ちしやすそうと感じたら色落ちしやすいと思って良いでしょう。
綿麻製品は色落ちしないように染めることはできませんので色落ちはしてしまう物と考えて購入してください。
今回はこのコートの色目とデザインが気に入っていると言う事でしたので、全体を染め直しではなく色抜け部分のみを染色して直していきます。
ただし、目立たないよう染色することはできますが完全に元通りに戻す事はできません。
【着用していればわからない程度】を目安に修復をさせて頂いております。
お客様にもご説明させていただき、ご了解を頂いてから修復させていただきました。
色が抜けていると言う事はその部分は何かしら
の影響を受けていると言う事になります。
繊維には染まる場所があり、その染まる場所が壊れてしまうと染まらなくなってしまいます。
例えばビニールに絵の具で絵を書こうと思っても絵の具が弾かれ浸透しないため書く事ができません。
それと同じような状態になってしまうんです。
染まり具合は繊維の状態に依存します。染まらなくなっている繊維を染まる状態に少しでも復元したり、あるいは染まらない繊維をコーティング処理してコーティング剤に染色していくなど方法もあります。
いずれにしても繊維自体が綺麗に染まってくれる状態でなければ綺麗に染めることは難しいです。
今回も範囲が大きいため綺麗に染料が定着してくれる部分と弾かれてしまう部分があり、弾かれてしまう部分はバインダー(接着剤のような物)を使い染料の粒子を生地の表面に貼り付け定着させています。
シミ抜きで色まで一緒に抜かなくてはシミが取れない場合、シミ抜き後に染色して直していきますが、範囲が小さければほとんどわからなくなりますが、大きくなればなるほど多少の違和感も大きく見えてしまうため、わからないように修復していくのは難しくなります。
今回も平らにして広げ近くで見れば多少違和感は見えてしまうと思いますが、着ていればほぼわからない程度には染められていると思います。
色抜けの染色はお客様が思っているほど簡単ではなく手間がかかります。1センチ四方程度の大きさで1箇所500円~となります。
丸染めと違い部分染色は全体の風合い、色合いの変化が出ないと言うのが良い所です。



Before写真。
after写真は、明日投稿します!ごめんなさい。
不入流の師範が施す魔法のしみぬき・復元加工が出きるお店。10年以上前のシミも落とせる技術をもっています。染色補正も出きるお店。
当店では、郵送・宅配便でのクリーニングやしみぬき等を受付けております。一味違うクリーニング・しみぬきをお試し下さい。
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