こんにちは、培養室です。
今回はBMIと妊娠と出産がどのような関わりがあるのかを説明します。
BMI(Body Mass Index)とは、肥満や低体重を表す指標として国際的に用いられている体格指数です。
WHO(世界保健機構)の基準では、BMIが30以上であると肥満としていますが、
日本では、25以上が肥満、18.5未満が低体重(やせ)とされています。
BMIが22になるときの体重が標準体重で、最も病気になりにくい状態であるとされています。
近年、BMIは様々な指標として用いられており、BMIと妊娠や出産の関係性もわかってきました。
BMIの値が高い人(肥満)は排卵障害やPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)になりやすいこと、BMIの値が低い人(低体重)は排卵障害になりやすいことが知られています。
さらに、下の論文では、体外受精を行なった女性を対象とし、BMIの値が高い人(肥満)やBMIの値が低い人(低体重)は妊娠率、出産率が低下し、流産率が上昇することが報告されています。
Underweight(低体重)、Normalweight(標準体重)、Overweight(過体重)、Obese(肥満)と分けられておりBMIが30以上をObese(肥満)としています。
下のグラフからはPregnancy Rate(妊娠率)、Live Birth Rate(出産率)がBMIが高くなるにつれて(肥満になるにつれて)低下していることがわかります。
また、Underweighat(低体重)はNomalweighat(標準体重)に比べて、妊娠率、出産率が低下していることが分かりました。
また下の論文には
BMIの値が高い(肥満)やBMIの値が低い人(低体重)は妊娠までに必要とする期間が標準体重の人に比べて長くなるといった報告がされています。
標準体重の人と比べて妊娠までに必要とする期間はBMIの値が高い(BMI>35)と2倍に、BMIの値が低い(BMI<19)と4倍に長くなることが分かりました。
これらのことから、太りすぎも痩せすぎも妊娠や出産に影響を及ぼす可能性が高くなることが分かりました。
過度なダイエットや過食なども体調不良の原因になります。
無理をせずに体重管理を行うことがとても大切です。
女性の1日の推定エネルギー必要量は2000~2350kcalとされています。
例:ラーメン(醤油)440kcal、カツ丼 890kcal、サラダ(100g)16kcal、ざるそば 280kcal、ビーフカレー 950kcal
食べるものによってカロリーは変わりますが、朝昼晩の食事のバランスで必要なカロリーを摂取することが大切です。
一度、BMIの値を計算してみることをおすすめします。
お知らせ
当院はPGT-A実施施設として日本産科婦人科学会に承認されています。
PGT-Aを行うことによって、複数回の妊娠不成立や流産を繰り返す方に妊娠率の向上と流産率の低下が期待できます。
・直近の胚移植で2回以上連続して臨床的妊娠が成立していない方
・直近の妊娠で臨床的流産を2回以上反復している方
・夫婦いずれかにリプロダクション(生殖)に影響する染色体構造異常を有する方
※PGT-A対象者の方で当院に胚盤胞を凍結保存している場合、採卵を行わずに保存してある胚盤胞を用いてPGT-Aをすることができます。
PGT-Aをご希望の方、ご興味がある方は当院理事長または院長の外来診察をお受けください。
文責:培養室
〔理事長〕古井憲司