掲載コラム記事5月号分 | クリニック開業・医院経営にまつわる話

クリニック開業・医院経営にまつわる話

医院・クリニックの開業に適した物件のご紹介!
クリニックモール(医療ビル)企画や、クリニック医院開業支援を通じて感じることを、刻々と綴っています。
開業をご検討中の医師(ドクター)にとって、クリニック・医院・での開業 医療経営の参考になれば幸いです。

5月号掲載分(執筆原稿、原文のまま)


医院・クリニック開業支援・開業物件を斜めに見てしまおう


『物件選定の段階から薬の処方をどうするのか検討することが必要』

医薬分業率は全国的には60%を超え、首都圏を始め一部の地域においては70%をも超える状況だ。

昨今、開業する医師のほとんどが、薬はアウトソースいわゆる院外処方を選ぶことが多いのが現状だ。筆者が医師の開業相談を受ける際にも院内処方での開業を選択する医師もいるのだが、今回より院外処方での開業を前提に話をしていきたい。

薬局を業とする筆者には時として薬局出店の相談も少なくない。開業の場所も時期も決まっているのだが薬をどうするのか決まっていない・・・との相談だ。もちろん、特定の薬局との関係は法的には認められていないことは言うまでもない。

調剤薬局の出店もクリニック開業同様、シビアな視点で見極めることになる。数年前までは単独単科での新規開業であっても薬局も勇んで同時出店する時代もあったのだが、昨今の出店判断は大手チェーン薬局と言えど躊躇すると言っても過言ではない。

筆者が医療モールを企画する際にも重要視しているマーケティング(診療圏調査)的な分析が基本的な判断基準となるわけだが、医療モールや同時に複数の医療機関から処方せんを応需できるような立地は別として、近隣病院からの独立開業で患者数がおおよそ期待できる内科系でない限り新規出店はハードルが高いと思って間違いではない。

特に土地購入やハウスメーカーに多い戸建てレントタイプで開業物件地を優先に進める場合は注意が必要だ。物件地ありきで進めてしまうと、医師本人はわかっているつもりでも調剤薬局のことをどうするかを後回しで忘れてしまいがちだからだ。

いまだに新規開業と同時に薬局も喜んで出店してくると思っていたり、薬局は後で探してまずは物件契約と先走るコンサルタントや開業にまつわる業者もいたりするので注意が必要だ。

物件選定の際、近くに薬局がある物件を絶対条件にしてしまうと物件候補数自体が絞られてしまうが、マンツーマン薬局との連携が必須なのか場合によっては面分業でも構わないのかを想定しておくことも必要だ。

また、最近はドラッグストアでも処方せんを積極的に応需しており、応需体制が整っていない店舗でも場合によっては改装の上、応需対応してくれるドラッグストアも多いので持ちかけてみても良いであろう。

では、近くに薬局が見込めない場合、とりあえず院内処方にて対応することも検討余地だ。

ある程度の患者数を見込めるようになった折りには分業する計画で、薬の買い取りは勿論だが機器什器の引き取り、場合によっては職員についても引き取ってもらうよう特定の薬局に打診しておいて協力してもらう手筈でも良いだろう。

最後に一つ後回しになりがちなこととして、採用薬が挙げられる。電子カルテを納入する際、採用薬リストを事前に納入業者に渡しておかないと、マザーデータから引っ張ってくる作業は医師本人となる場合もある。開院直前にこの作業は一苦労なので早めにリスト準備しておくことをお薦めする。