同じ機能の商品が並んでいるとき、私たちは何を基準に選ぶのでしょうか。

価格や使いやすさを比べることもあります。けれど、ときには「これは自分らしい」「今の自分に必要だ」と感じた商品に心が動きます。

人は商品そのものだけでなく、それを選ぶ自分にどんな意味を感じられるかも見ているのかもしれません。


この記事でわかること

  • エドワード・バーネイズが、商品の機能だけでなく社会的な意味を結びつけた方法

  • 「自由のたいまつ」キャンペーンが、たばこと女性の自由をどう結びつけたのか

  • ラッセル・ブランソンがバーネイズの考え方から読み解く、アイデンティティ・感情・リフレーミング

  • 商品説明の前に受け取り方を整える「プリフレーム」の考え方

  • 商品の価値を、顧客の目標や挑戦と結びつけて伝える方法

  • 意味づけの力を使うときに大切な、誠実さと説明責任


商品に「意味」が加わると、選ぶ理由が変わる

たとえば、あるオンライン講座を考えてみましょう。

「動画が10本付いています」「テンプレートをダウンロードできます」と説明すれば、講座は学習のための便利な道具として伝わります。

そこに、

  • 新しい仕事に挑戦するための学び

  • 自分の経験を誰かに届けるための準備

  • 同じ目標を持つ人たちと進む機会

という意味が加わると、受け手が思い描くものは変わります。

購入するのは講座でも、その先にある「これを選んだ自分」や「これから進みたい方向」に魅力を感じていることがあります。

バーネイズは、商品と社会的な意味を結びつけた

エドワード・バーネイズ(Edward Louis Bernays)は、広報と大衆への働きかけに大きな影響を与えた人物です。

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エドワード・バーネイズ(Edward Louis Bernays)

彼の著書『Propaganda』は1928年に出版されました。

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エドワード・バーネイズ『Propaganda』
画像出典:Nate D. Sanders Auctions 1928年刊行の確認:米国議会図書館の書誌情報

バーネイズの仕事を語るときによく取り上げられるのが、1929年の「自由のたいまつ(Torches of Freedom)」と呼ばれるキャンペーンです。当時、女性が街頭でたばこを吸うことには社会的な抵抗がありました。バーネイズは、たばこを女性の自由や自立を象徴するものとして見せる企画を行いました。これは、たばこの機能や味を伝えるのではなく、商品に社会的な意味を結びつけた事例として知られています。

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ただし、この事例は「効果的なマーケティングの手本」としてだけ読むべきではありません。女性の権利という価値を、たばこの販売促進に利用した側面があります。歴史的な事実を知ることと、その手法をどう評価するかは、分けて考える必要があります。

ラッセル・ブランソンが注目した「アイデンティティ」

ラッセル・ブランソンは番組「The Psychology of “Propaganda” Influence That Every Marketer Needs to Know」で、バーネイズの『Propaganda』を取り上げています。番組紹介では、商品を売るだけでなく、アイデンティティや感情、リフレーミングを通じて人々に影響を与える考え方を、ClickFunnelsのムーブメントづくりにも関連づけています。

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The Dark Playbook Behind Success (Mind Control & Propaganda) | Russell Brunson YouTubeより

 

ここでいうリフレーミングとは、物事を別の枠組みから見せることです。

あるサービスを「ソフトウェア」と紹介すれば、機能や価格が比較されるでしょう。同じサービスを「自分のビジネスを形にするための道具」と伝えれば、受け手は自分の目標とのつながりを考え始めます。

もちろん、言葉を変えれば商品の価値が自動的に高まるわけではありません。約束する内容と実際の提供が一致していることが前提です。

機能の説明が始まる前に、受け取り方がつくられる

この考え方は、プリフレームにもつながります。

プリフレームとは、商品説明に入る前に、相手が話をどう受け取るかに影響する情報や体験を届けることです。たとえば、ある商品を紹介する前に、顧客が抱えている課題や、目指したい変化を共有する。その導入があることで、相手は機能を「自分に関係のあるもの」として理解しやすくなります。

同じ講座でも、単に「動画教材です」と案内するのか、「自分のアイデアを形にして、最初の顧客に届けるための学びです」と案内するのかで、受け手が注目する点は変わります。

これは相手を誘導するための小細工ではありません。商品が誰のどんな課題を支えるのかを、誠実に伝えるための設計です。

あなたの商品は、何を支えているのか?

商品を紹介するとき、機能や仕様を説明することは大切です。それに加えて、次の問いを考えてみてください。

  • この商品は、顧客のどんな挑戦を支えるのか。

  • 顧客は購入後、どんな一歩を踏み出せるのか。

  • その商品を選ぶことは、顧客にとってどんな意味を持つのか。

  • 広告で伝える期待と、実際の体験は一致しているか。

人は商品を通じて、自分の目標に近づこうとします。だからこそ、マーケティングでは「何が付いているか」だけでなく、「それが相手にとって何を可能にするのか」を伝える必要があります。

バーネイズの事例は、意味づけが人々の受け取り方に影響する力を示しています。同時に、その力を使う側には、何を誰の利益のために伝えているのかを明らかにする責任があります。

ファネル全体で、価値をどう伝えるか

商品に意味を持たせるのは、見出しの言い回しだけではありません。最初に見てもらう広告、登録ページ、ウェビナー、購入後の案内まで、一つひとつの接点が「これは自分に関係がある」と感じてもらえる流れをつくります。

その流れをどう設計するのか。ラッセル・ブランソンが長年の講演や実践で伝えてきたファネルの考え方をまとめたのが、『Funnel Hacker Book』です。

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ファネルを単なる販売ページの並びとしてではなく、顧客が価値を理解し、次の一歩を選ぶプロセスとして学びたい方は、ぜひ手に取ってみてください。

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▶︎ Funnel Hacker Book 公式ページ

参考資料

よくある質問

1. エドワード・バーネイズとはどんな人物ですか?

エドワード・バーネイズは、広報や世論形成に大きな影響を与えた人物です。ジークムント・フロイトの甥としても知られ、心理学の考え方を広報やマーケティングに取り入れました。

2. バーネイズの『Propaganda』はいつ出版されましたか?

『Propaganda』は1928年に出版されました。世論や大衆の行動に働きかける方法について論じた著書です。

3. 「自由のたいまつ」キャンペーンとは何ですか?

1929年、バーネイズがたばこを女性の自由や自立の象徴として見せたキャンペーンです。商品の機能ではなく、社会的な意味を結びつけた事例として知られています。

4. なぜ人は商品の機能だけでなく「意味」でも選ぶのでしょうか?

商品を選ぶことが、自分の価値観や目標、なりたい自分と結びつくことがあるからです。機能に加えて「自分にとってどんな意味があるか」が、選択の理由になる場合があります。

5. プリフレームとは何ですか?

商品説明に入る前に、受け手がその情報をどう理解するかに影響する前提や背景を伝えることです。顧客の課題や目指す変化を先に共有すると、商品の機能を自分に関係のあるものとして理解しやすくなります。

6. 商品に意味を持たせて伝えるとき、気をつけることはありますか?

広告で伝える期待と、実際に商品が提供する価値を一致させることが大切です。顧客の感情や価値観に訴えるときも、誤解を招く表現を避け、何を提供するのかを誠実に伝えましょう。