我が家を出発して
高速道路を使うと30分ほどで
池の平温泉スキー場に到着する。
小雨を散らつかせていた空に、気分もローぎみだったが
妙高原ICを降りた頃
雪に変わっていた。
スキー場までの道のりは
一面の霧である。
濃かったり、薄かったりと、
登る度に濃度が違う空間がある。
もうすぐ冬が終わるこの時期の
急に暖かくなった空気である。
積もった雪との温度差で発生したのだろう。
除雪された雪の壁は2mくらいだろうか
坂道にエンジンを唸らせながら登る。
前にも後ろにも車はいない
心なしか、
気持ちがうわずっているのである。
今シーズン
スキーとブーツを新調したからである。
メーカーも同じ
SALOMONで、旧モデルを安く買ったのだ。
前のは
10シーズン以上は使ったお気に入りだったが
ついにガタがきてしまったのだ。
新潟に引っ越してきた頃は
毎年シーズン券を買って、頻繁に滑っていたが
近年では、
年に2、3回程度しか行かなくなっていた。
引っ越してきた頃は毎日が忙しく
仕事もプライベートも予定がびっしりと埋まっていた。
それでも
隙間を見つけて、スキー場に足を運んだ。
なのに
今はあの頃に比べると、時間があるというのに
ダラダラとしていて、行動に移さない。
あの頃、
『もっと時間があればな』
って、思っていたのに
これはスキーに限った話では無く
ライヴもそうなのだ
お世話になっているライヴハウスの
防音工事がきっかけで
月に2回は立っていたステージが、
今では2ヶ月に1度くらいだ。
オファーが無くても、
いくらでも演奏するところはあるのに・だ
これじゃあダメだね!
そう思った。
自分が行動しない理由を、
自分に言い訳をしている。
それは、歳のせいだの・・とかね
そんなことを考えはじめてしまったから
重いからだをむりやり起こして
朝、スキー場にぶっ飛んできたのだ。
一度、行動に移すと、後は惰性で動くもの
抱えている問題の大小に関わらず
生きていれば悩み続ける。
苦労をして課題を解決しても
すぐにまた次の課題が発生する。
どうでもいいような小さな障害も
自分で勝手に課題に変えてしまっているようだ。
余計な時間が
ネガティブな思考を生み出しているのかもしれない。
じゃあ、どうすればいいのだろう?
他のことで
なるべく楽しいことで
あたまの中をいっぱいにすればいいのかな?
そう思う。
しばらく放置した道具のように
うごかないと、錆びてしまう。
一度錆びてしまうと再び動かすのに、
大きなエネルギーが必要になる。
ちいさくてもいいから、
うごいていなければダメなんだ。
10時を過ぎた頃に、
雲の切れ間から、太陽の光が差し込んできた。
雪面にできたいくつもの起伏に、
その光が反射し、屈折して踊っている。
眼下に広がる景色は壮大である。
大きく息を吸い込む
できたての酸素だ!
まずは計画を立てよう!
旅行がいいかな
ライヴがいいかな
それとも
おいしいものを食べに行こうかな

