とうよう師が選ぶ大衆音楽100選-12 M.M.誌創刊20周年企画’89 | 偽クレモンのブログ

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Mohamand Fouad、Iman El Bahr Darwish、Midhat Salah、Ahmad Adaweya<現時点(1989年現在)での断面図を見せる50枚、の10>

’モハンマド・フウァド、イマン・エルバハル・ダルウィッシュを中心に、エジプトの人気歌手4人を集めた’87年ギリシャプレスのCDである’・・・いや、流石に知らんがな。youtubeにあるかな?で、探してみたが、はやりこのCD自体はない。個々のアーティストの音源はあるが、最近っぽい映像が多いので、なるべく見た目で若い頃のものを選んでリンクする。まずは先頭に名前のあるモハンマド・フウァド。

Mohamed Fouad - Hawaddaak - Master I محمد فؤاد - هاودعك - ماستر (youtube.com)

サウンドからして、たぶん’90年代だな。ま、でも、おそらく基本姿勢は変わっていないと思う。歌唱の発声や節回しはアラビックだが、バックはほとんど打ち込みと思われる。ストリングスや民族楽器っぽい音も生っぽくない。しかしあざとくなく自然に聴こえるのは、国内に向けての音造りであり、欧米に寄り添ったものではないから、と、とうよう師もレビューで述べている通り。アラブの大衆音楽の正常な変化の上の音楽だ。たぶん’87はもうちょっとイナたかったのでは?と察する。リンクした曲はスムーズ過ぎてちょっと物足りない。

 

続きまして、2番目にあるイマン・エルバハル・ダルウィッシュ。この人はこのCDのジャケ写と同じ写真のアルバムがフルでアップされていた。じゃ、聴いてみる。

سي قفاعة ايمان البحر درويش (youtube.com)

面白い。この感触のアラブ音楽って初めて聴いたかもしれん。他のアラブのアーティストもアルバム中1曲か2曲は抜いた感じのポップスを入れているものだが、この人のこのアルバムは前曲こんな感じだ。にしても不思議なサウンド。発声と節回しにアラブ臭なし。無理している感もないので、これはこの人の自然な歌い方なのかもしれん。何を聴いて育ったらこの音楽を作るに至るのだろうか?面白いのでもう1曲。

دنجي دنجي ايمان البحر درويش (youtube.com)

シンプル過ぎるドラムとベース。単純なフレーズを繰り返す歌唱と、歌唱に倣ったバックのアレンジ。歌唱に倣ったバックというのはアラブの伝統的なやり方ではあるが、普通はもっと複雑なアラビック音階で展開されるものだ。この人はこういう音しか作れない人なのか?伝統的な音楽を演る人が一周廻ってこれなのか?興味は尽きないが、調べても何も出てこない。アラビア文字で検索すれば何か判るやもしれんが、そんな気力はない。

 

続きまして、とうよう師もレビューで名前を記してないので正確な読み方が判らんが、ミドハット・サラーでいいかな?この人もこのCDと同じジャケ写が使ってある曲があった。

السهرة تحلى مدحت صالح (youtube.com)

これこれ、この感じ。これこそが’87頃のアラブポップスのプロトタイプではないだろうか?これが進化すると’90年代と思しき1曲目のような感じに成る。やはり’87頃はイナたく、変な話しだが、日本でいう昭和歌謡感が満載。打ち込みのボトムにブリブリのモノフォリックシンセ。パーカッションとストリングスがアラブを醸す担当。安い歌謡感が何とも言えない。好き嫌いは’歌謡’を理解するかどうかに依る音楽だな。このコンピレ欲しいな。もはや手に入らないだろうな。もはや、と言うか、当時手に入ったかどうかも疑問だが。

 

図らず、’90前後のアラブポップの歩みを耳にすることとなった。総じて、西欧ポップスのテクノロジーを取り入れてはいるが、けして西欧に売らんかなで迎合していないのが目出度い。それが極東の島民の耳にもフレッシュで面白いサウンドに聴こえるのは正常な大衆音楽の仕組みだ。それはおそらく西欧人の耳も同じだ。ヘタな例えで言うと、子供向けの映画は子供に向けて造ってはいけない。むしろ大人が楽しめるように造ったほうが、かえって子供の心にも響くものになるのだ。映画版クレヨンしんちゃんが好例中の好例だ・・・ちょっとたとえがズレすぎか・・・西欧の影響は受けつつ、根っこは地をガッツリ掴んでいれば、かえって西欧人の耳にもカッコよく響くはず、と言いたかった。