音楽の話 ポストパンク一発屋の5組 | 偽クレモンのブログ

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’70年代後半にパンクが世間の若者に示した、あ、音楽って何やってもいいんだ!という勘違いは、1980年頃から始まったアホみたいに楽しいポスト・パンクの数年間に繋がった。その時に雨後の筍のように現れたバンドの多くは、一発屋として今も私の心に引っかかり続けている。本当に一発で消えた奴らもいれば、2ndアルバム以降からは売れるためにレコード会社に魂を売り、詰まりもしない音に急変した奴らもいる。後者はその御蔭、実は息の長いバンドだったりするが、私にとってはそんなのは一発屋に等しい。

では、無人島100から漏らしたポストパンクの一発屋を5組紹介する。

 

○まずは、イッツ・イマテリアル。1980年頃からポツポツとシングルを発表していたらしいが、私が彼らを知ったのは1986年のメジャーデビューアルバム。私のCD黎明期にして、ポストパンクの終焉近く。CD買いたい欲求と、面白いバンドが減った買い手市場状態の合せ技で、レビュー読んだだけで購入した。エレクトロ・ポップとソウル、エスニック風味がチャンプルーされた面白いサウンドだった。ではデビューアルバムから。

It's Immaterial - Driving Away From Home (Jim's Tune) (1986) - YouTube

このまま音楽力が上がれば、と期待されたが、この後、ムーディーな部分だけが強調された音に成り下がり・・・元々そういうのが演りたい人達だったのかもしれん。一部ではその後も評価が高かったようだが、ポストパンク好きとしては一発で終わった人たちという印象。では、よく作り込んであるのは認めるが、個人的にツマランその後の曲をどうぞ。

It's Immaterial - New Brighton - YouTube

 

○続きまして、デルタ5。英の女性3人と男性2人のバンド。男性が2人居るのにデルタ5とはこれ如何に?それはさておき、一般的には無名だが、ある意味、ポストパンクの象徴的なバンドだった。ヘタヘタファンキーなギターサウンドに素っ頓狂な女性ヴォーカルが乗り、人によっては痛快な、人によっては不快なサウンド。数年前にiphoneのCMに初期のシングル曲が使用されてビッツラした。では、そのCM曲とは違う初期のシングル曲を。

You - YouTube

よい。Appleが彼らの初期曲を採用したのは、取り仕切る人が私世代だったからかな?それともこのサウンドの先鋭さは世代を超えるのかな?

デルタ5は、シングルを何枚かインディーズから発表した後、一部の期待を受けて1stアルバムをリリースした。私も購入した。が、イマイチだった。楽曲は悪くなかった。しかし、プロらしく整ったサウンドで、シングル作の痛快さが消し飛んでいた。売るためにメジャーに迎合したという感じではなかったが、アーティストの成長が無垢の面白さを隠してしまった、ってところか。こじこじボキャブラも小学生までだったなぁ・・・では、その1stアルバムから。

Delta 5 - Telephone - YouTube

やっぱり悪くはない。アーティストの成長が垣間見られる。成長って難しい。

 

○続きまして、モダン・イングシッシュ。4ADという英のインディーレーベルがある。大鷹俊一氏が好むよなダークな音を主幹とするレーベルだった。そのレーベルのラフガイド的なコンピレ・レコードのA面1曲目を飾った曲をどうぞ。

Gathering Dust - YouTube

ダークではあるが、ポップさも隠し持った、よく言えば華がありそうなバンド、という印象を持った。4ADの新しい方向性を示すフラッグシップ的なバンドになるのかな、と思っていた。(もっとも、そのコンピレアルバムは大鷹俊一氏監修だったので、大鷹氏の思いだったか)そして、その7,8年後にリリースされた楽曲がこんなだ。

Let's All Dream - YouTube

変化するにもクソがある。デルタ5の変化とは違う次元の低さ。元々こういう人たちだったのだ。4ADと契約するために4ADに無理に迎合してダークを装っていたに違いない。これを聴いた私は大鷹氏共々肩透かしを喰らい土俵下へ転落である。この手の迎合的変化に接するにつけ、やるせない気持ちになるは何でだ?元より自分に関係ない人たちだから聴かなきゃ済むだけの話なのに。自分もバンド時代に、レコード会社と契約する際に変に変化してしまった奴らを何人も見てきたからかな?

 

○続きまして、グラクソ・ベイビーズ。小学生男子が’ウププ・・グラクソだって・’と喜び噛み締めそうなバンド名である。’70後半に英ブリストルから出たバンドだけに、かのザ・ポップ・グループとやたら比較されていた。が、そりゃポップ・グループに失礼であった。でもグラクソ・ベイビーズにもB級の面白さがあった。では、1曲。

Glaxo Babies - Nine Months to the Disco (1980) - YouTube

明らかにザ・ポップ・グループを意識した音。才能豊かでない人がその手を演るとこうなる、ってことだな。でも面白い。

彼らの音は’80前後しか知らなかったし、今webで探してもそれ以降の動向は分からない。無垢に、単に、こういう音が出したかった人たちだったのかな。このままじゃ永らえないのも、腑に落ちる。売るために悪く変化するよりもあっさり消えた方が粋でもある。

 

○最後に、リエゾン・ダンジュルーズ。1981年にデビューしたドイツのエレクトリック・ミュージックのバンド。たぶん1枚アルバムと数枚のシングルを発表したのみで消息を断った。一般知名度は著しく低いが、一部の同業者の間では、エレクトロニック・ボディ・ミュージックの祖として崇められている。つまりは肉感的なテクノの祖である。肉感的なテクノって?じゃ、1曲。

Peut Être ... Pas - YouTube

大の初期DAFファンとしては、綺麗に整ったDAF、という印象だ。それは当時も今聴いても変わりなし。ちょっと前(私のちょっとは0~20年)にクラブシーンで再評価されてたような気がする。それも判る。1981年にこの音を出したのは乙である。いや、心地よい。CDで書い直そうかな。

 

ポストパンクのバンドの良かった頃の音は、今でも地下鉄・バスで聴いている。簡素で時折突拍子もない音は車両に揺られながら聴くのに凄く合ってる。1980年前後のようなロック界の状況は、もう二度と起こらないだろう、たぶん。楽器のソロをすっ飛ばして聴く奴ら。それならまだましで、ジングルみたいな音ばっかり聴く奴らも発生しているらしい。CDは必要ない、と言っているやつらは、特に音楽が好きじゃないのだろう。

 

ニセク檸檬は今、1曲3分程度で14曲入くらいのアルバムを制作中だが、それが終わったら次は1曲10分の4曲入だな。