「落とし物」のあれこれ | ニソクノワラジ ~行政書士とウェブ屋の雑記~

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江東区東陽町で契約書や利用規約の作成&確認、著作権相談&登録などを専門とする行政書士の顔と、個人事業ホームページ制作屋さんの顔をもつフリーランスの活動の日々を綴っています

物を落とした!!” ”物を拾った!

このような場合、交番などに届け出ると思いますが、この落とし物を拾った時に落とし主から謝礼のようなものがもらえたり、時間が経つと自分の物になる、ということを漠然と知っている方も少なくないですよね。
逆に、落とし物を拾ってもらった時はどうするのか?いくらお金を払えばいいのか?ということも不安になるかもしれません。

そんな落とし物について規定しているのが「遺失物法」(以下「法」。法文はこちら)ですが、これを読んでいると今まで知らなかったことがいくつかありました。
上記に挙げた謝礼や所有権の移転についても、いろいろ数値として細かいことが決められています。

そんなこと常識だよ?!ということかもしれませんが、知っていると意外と役に立つかもしれない点を挙げてみようと思います。


■ デパートやショッピングモール、乗り物などの施設で拾ったものは24時間以内にその管理者に届け出る

これをやらないと、拾った物の提出や保管に使ったお金や報酬(報労金)を落とし主に請求できる権利(※後述)が失われます。(法34条)
24時間以内」という規定があるのですね。
電車内で拾った財布を1週間後に届け出た、というのはダメなようです。

また、届け出る先は「施設の管理者」(法4条)で、いわゆる遺失物係のようなところですね。
(まあデパートで拾ったものをわざわざ外の交番まで持って行くケースは少ないと思いますが・・・。)


■施設以外で拾ったものでも1週間以内に警察に届け出る

1週間以上経過して届け出た場合は、前項と同様に報労金などの拾い主としての権利が失われます。(法34条)


■費用や報労金の請求ができるのは落とし主に返却されてから1ヶ月以内

拾った物の提出や保管に使ったお金や謝礼(報労金)を請求できるのは1ヶ月以内だそうです。
これらのお金は(先述のように権利を失っていない場合は)拾った人が受け取る権利があるので、堂々と主張しても良いですね。
(でも「報労金くれ!」とは言い出しづらい感じもわかります


■公告から3ヶ月経っても落とし主が現れないときは拾い主のものとなる

これは遺失物法ではなく民法(240条)の規定です。
※「公告」とは、落とし物の種類や特徴、拾った場所と日時を、警察署の掲示場に掲示するか、またはいつでも関係者が見ることができる書面として備えておくこと。

落とし物に気付いたら、3ヶ月以内に申し出ましょう。

なお、どんなものでも拾い主のもの(所有権を取得する)となるわけではなく、
・法令で所持が禁止されているもの
・いわゆる個人情報が入っているもの
は拾い主のものとはなりません。(法35条)
例えば、駅で拾ったSuicaなどにはいわゆる個人情報が入っているため、拾い主のものとはならないようです。


■拾い主が所有権を取得しても、2ヶ月以内に引き取らないと権利を失う

前項の規定で落とし物が拾い主のもの(所有権を取得)となっても、その日から2ヶ月以内に引き取らないと拾い主のものとはなりません。(法36条)

なお、落とし主も現れず、拾い主も引き取りに来ず、という場合は、基本的には届けられた警察署の属する都道府県が所有権を取得します。(法37条1項)
いわゆる個人情報が入っているものや所持が禁止されているものは、速やかに破棄されます。(法37条2項)


■落とし物が返還された際は落とし主は拾い主に報労金を支払わなければならない

任意の謝礼、御礼ではありません。「支払わなければならない」ようです。(法28条)
その金額は、落とし物の価格の5~20%。私は10%と覚えていましたが、実際には結構幅がありますね。

なお、施設で拾われた物の場合は、報労金の額は上記の半分、つまり2.5~10%だそうです。

ちなみに、拾い主の同意があった場合、落とし主はその拾い主の氏名や住所を教えてもらうことができるようです。(法11条2項)
また、拾い主側からも、要望すれば落とし主の氏名などを教えてもらうこともできるようです。(法11条3項)


以上、簡単に挙げてみましたが、街中で落とし物を拾うことはあると思いますし、それ以上に物を落としてしまうことがありますので(私だけ?)、こういった法律の規定を知っていると役に立つ場面があるかもしれません。