ダブルスタンダード社会3 「規則」と「その時の都合だけ」?
ダブルスタンダード社会3 「規則」と「その時の都合だけ」?
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私はこのグラフを見ると哀しくなります。2000年以来、「成人男子で原子力発電所に勤めることを自分の意志で決めた従業員」に対して、電力会社は「1年1ミリの被曝」に抑えるために約2倍の従業員を雇用しているのです。
なぜか? それは1年1ミリに制限しないと従業員の健康が損なわれ、社会の批判を浴びるからです。このことを進めてきた当の本人・・・東電・・・は文科省大臣が「福島の子供たちに1年20ミリ」としたときに声をあげないのです。
もし人間としての誠意があったら、「それはダメです。私たちでも成人男子で自分の判断で働いている人でも1年1ミリにしてきたのです。まして福島の子供たちは被曝の感度が3倍高く、強制的に被曝しているのです。是非1年1ミリ以下にしてください」と叫ぶはずです。
でも、実は東電の人は二面性を持っているのです。・・・世間がうるさいし、従業員を増やしても電気料金をあげれば良いのだから、従業員は1年1ミリにしよう。でも福島の子供たちが病気になるかどうかなど自分たちに関係が無い・・・ということです。
・・・・・・・・・
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Bandicam_20110918_225115879]
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私はこの二つの通達と法律を見て哀しくなります。これまで経産省(原発担当省)は常に「一般公衆の被曝限度は1年1ミリ」として大臣通達を出し、原子力関係者は医師も含めて「被曝は少ない方が良い」と繰り返し、法律まで作ってきたのです。
それなのに原発事故が起こると自分たちの責任を減らすために、NHKと共同して「1年20ミリでよい」、「福島に住んだ方が安全だ」、「被曝をすると元気になる」と言い出したのです。NHKも原発事故まで「法律を守るよい子」の放送をしてきましたが、それは単なるカモフラージュだったのです。
・・・・・・・・・
誰もが東電と同じです。子供の将来などまったく心配せず、自分がかつてどう言ったかも隠し、その時(事故が起こっていないとき)、その時(事故が起こったとき)で自分の都合の良いように言っているだけです。
こんな人たちが日本を指導しているのは、「出された問題に答えることがうまい人が東大に行く」という社会を作ってしまったからです。日本人の大切な能力は「誠実、礼儀、信義」などであり、まったく違った人が指導していることに原因があります。今の教育は「その場限りの言い訳のうまい人」を選別しているのですから。音声あり。
「takeda_20111027no.280-(8:04).mp3」をダウンロード
中部大学武田邦彦
(平成23年10月27日)
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Photo]私はこのグラフを見ると哀しくなります。2000年以来、「成人男子で原子力発電所に勤めることを自分の意志で決めた従業員」に対して、電力会社は「1年1ミリの被曝」に抑えるために約2倍の従業員を雇用しているのです。
なぜか? それは1年1ミリに制限しないと従業員の健康が損なわれ、社会の批判を浴びるからです。このことを進めてきた当の本人・・・東電・・・は文科省大臣が「福島の子供たちに1年20ミリ」としたときに声をあげないのです。
もし人間としての誠意があったら、「それはダメです。私たちでも成人男子で自分の判断で働いている人でも1年1ミリにしてきたのです。まして福島の子供たちは被曝の感度が3倍高く、強制的に被曝しているのです。是非1年1ミリ以下にしてください」と叫ぶはずです。
でも、実は東電の人は二面性を持っているのです。・・・世間がうるさいし、従業員を増やしても電気料金をあげれば良いのだから、従業員は1年1ミリにしよう。でも福島の子供たちが病気になるかどうかなど自分たちに関係が無い・・・ということです。
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Bandicam_20110918_222228753]私はこの二つの通達と法律を見て哀しくなります。これまで経産省(原発担当省)は常に「一般公衆の被曝限度は1年1ミリ」として大臣通達を出し、原子力関係者は医師も含めて「被曝は少ない方が良い」と繰り返し、法律まで作ってきたのです。
それなのに原発事故が起こると自分たちの責任を減らすために、NHKと共同して「1年20ミリでよい」、「福島に住んだ方が安全だ」、「被曝をすると元気になる」と言い出したのです。NHKも原発事故まで「法律を守るよい子」の放送をしてきましたが、それは単なるカモフラージュだったのです。
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誰もが東電と同じです。子供の将来などまったく心配せず、自分がかつてどう言ったかも隠し、その時(事故が起こっていないとき)、その時(事故が起こったとき)で自分の都合の良いように言っているだけです。
こんな人たちが日本を指導しているのは、「出された問題に答えることがうまい人が東大に行く」という社会を作ってしまったからです。日本人の大切な能力は「誠実、礼儀、信義」などであり、まったく違った人が指導していることに原因があります。今の教育は「その場限りの言い訳のうまい人」を選別しているのですから。音声あり。
「takeda_20111027no.280-(8:04).mp3」をダウンロード
中部大学武田邦彦
(平成23年10月27日)
人類が繁栄するのは自然や生物界に悪いことか?
人類が繁栄するのは自然や生物界に悪いことか?
トキを絶滅から救うことはトキにとってとても残酷なことだと私は思い、小学館から「生物多様性のウソ」という本を2011年に出した。本当は「トキは逝ってくれ」という題名にするところだったが、刺激的ということでややおとなしい題になった。
生物はその長い歴史の中で繁栄と絶滅を繰り返してきた。(このブログに貼り付けた図はクリックすると若干大きくなります。)
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Bandicam_20111027_100707266]
この図からも判るように、5億5千万年前に誕生した多細胞生物は、古生代、中生代を経て現代に至っているけれど、誕生と絶滅を繰り返し、その間に生体の防御能力がついてきた。紫外線や放射線で言われるホルミシス効果も絶滅によって獲得してきた能力である。
その時代時代には、その時代の環境にもっとも適応した生物が繁栄する。古生代なら三葉虫やアンモナイト、中生代の恐竜、そして新生代の人類などがそれに当たる。そしてその時代の支配的な動物が自らその競争力を放棄した例は無いと思われる。
つまり、恐竜が繁栄していた頃、恐竜が「こんなに恐竜ばかりになったら自然を破壊する」とか、「俺たち以外の動物が絶滅するのは許せない」などと考えるはずもない。自然や生物界というのは競争力の強いものが繁栄するのを「良し」とするようにできている。
そして三葉虫、アンモナイト、恐竜はすべて「繁栄しすぎて絶滅した」のではなく、古生代と中生代の間に起きた第氷河時代と隕石の落下によって滅びたと考えられている。「発展しすぎて滅びた」生物は見あたらない。
私たち現代人も、前のネアンデルタール人が11万年続いた前の氷期を乗り越えられずに絶滅した結果として登場してきたのだ。最近、ある地域のサイの絶滅が話題になっている。サイは現代の哺乳動物の中でも比較的古い種で、その絶滅は時間の問題でもある。
「人間だけは他の生物と違う。人間には知性がある」と言うけれど、それは私たちが人間だからそう思うだけで、やはり多くの生物の中の一つだろう。このように考えるのはあまりにも傲慢な気がする。
そうすると、人間が都市を造り、畑を耕し(里山)、動物を飼育するのは特に「悪い」ことではないのではないか。そして1300万年後の次の隕石が落下するときか、あるいは生物の活動の元であるCO2が2000万年後に無くなってしまうか、どちらかまで大いに繁栄したらどうだろうか?
生物の絶滅が自然を破壊するという考えはあまりに浅薄なように感じられる。いずれにしても1000万年から2000万年ぐらいで人類は絶滅する可能性が高いのだから。ひさびさ、音声あり。
「takeda_20111027no.278-(6:41).mp3」をダウンロード
中部大学武田邦彦
(平成23年10月27日)
トキを絶滅から救うことはトキにとってとても残酷なことだと私は思い、小学館から「生物多様性のウソ」という本を2011年に出した。本当は「トキは逝ってくれ」という題名にするところだったが、刺激的ということでややおとなしい題になった。
生物はその長い歴史の中で繁栄と絶滅を繰り返してきた。(このブログに貼り付けた図はクリックすると若干大きくなります。)
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Bandicam_20111027_100707266]この図からも判るように、5億5千万年前に誕生した多細胞生物は、古生代、中生代を経て現代に至っているけれど、誕生と絶滅を繰り返し、その間に生体の防御能力がついてきた。紫外線や放射線で言われるホルミシス効果も絶滅によって獲得してきた能力である。
その時代時代には、その時代の環境にもっとも適応した生物が繁栄する。古生代なら三葉虫やアンモナイト、中生代の恐竜、そして新生代の人類などがそれに当たる。そしてその時代の支配的な動物が自らその競争力を放棄した例は無いと思われる。
つまり、恐竜が繁栄していた頃、恐竜が「こんなに恐竜ばかりになったら自然を破壊する」とか、「俺たち以外の動物が絶滅するのは許せない」などと考えるはずもない。自然や生物界というのは競争力の強いものが繁栄するのを「良し」とするようにできている。
そして三葉虫、アンモナイト、恐竜はすべて「繁栄しすぎて絶滅した」のではなく、古生代と中生代の間に起きた第氷河時代と隕石の落下によって滅びたと考えられている。「発展しすぎて滅びた」生物は見あたらない。
私たち現代人も、前のネアンデルタール人が11万年続いた前の氷期を乗り越えられずに絶滅した結果として登場してきたのだ。最近、ある地域のサイの絶滅が話題になっている。サイは現代の哺乳動物の中でも比較的古い種で、その絶滅は時間の問題でもある。
「人間だけは他の生物と違う。人間には知性がある」と言うけれど、それは私たちが人間だからそう思うだけで、やはり多くの生物の中の一つだろう。このように考えるのはあまりにも傲慢な気がする。
そうすると、人間が都市を造り、畑を耕し(里山)、動物を飼育するのは特に「悪い」ことではないのではないか。そして1300万年後の次の隕石が落下するときか、あるいは生物の活動の元であるCO2が2000万年後に無くなってしまうか、どちらかまで大いに繁栄したらどうだろうか?
生物の絶滅が自然を破壊するという考えはあまりに浅薄なように感じられる。いずれにしても1000万年から2000万年ぐらいで人類は絶滅する可能性が高いのだから。ひさびさ、音声あり。
「takeda_20111027no.278-(6:41).mp3」をダウンロード
中部大学武田邦彦
(平成23年10月27日)
サカナは食べられるか?
サカナは食べられるか?
8月から10月にかけての太平洋側のサカナの汚染状態について整理をしてみたいと思います。基本的には状況は変わっていません。結論としては、次のようになるようです(太平洋岸の北海道から静岡まで)。
1)時々、大人でも食べてはいけないサカナが見られる(セシウム)。
2)おおよそ、子供は食べない方がよい(セシウム)。
3)ストロンチウム、プルトニウムのデータがほとんど無く、小魚を骨ごと食べるのは避けた方がよい。
4)汚染の数値はセシウムの値を2倍にするのがメヤス。
結局、東日本の太平洋側のサカナは買わない方がよいのですが、その理由は、1)暫定基準値が高く設定されいるので、表示されていなければ1年5ミリの被曝になる可能性がある、2)安全レベルの1キログラム40ベクレル以下のものもあるが、40ベクレル以上のものも「安全」として売られているので区別がつかない、3)相変わらず福島近辺の海からとれるサカナが汚染が高く、海の海流などでのセシウムの拡散が遅いようだ、4)川魚、貝類、藻類も同じように危険、ということです。今年は買うのをやめておいた方が良いでしょう。(川魚の汚染と水道の汚染のつじつまが合わずに、若干困っています。)
・・・・・・・・・
1. 8月のグリーンピースのデータ
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Bandicam_20111025_123318880]
8月のデータでは、アイナメ、メバル、サクラマスなどの主力魚が200から1000ベクレル程度汚染されています。1年1ミリの被曝として、空間0.4ミリ、水0.1ミリ、ホコリ0.1ミリ、食材0.4ミリと割り振ると、サカナは1キログラム40ベクレルが限度になりますから、いずれもまったく食べることができないぐらいでした。
日本にいてグリーンピースのデータを使うのは残念ですが、私が最初にサカナの汚染を調べたのもグリーンピースでした。今までグリーンピースの批判をしていましたが、国がダメなときには「徹底的な反対派」がいることも大切ですね。
2. 9月の水産庁のデータ
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Bandicam_20111025_124453085]
9月は8月と同じく福島近辺では50ベクレルから1700ベクレルぐらいになっていて、状態の変化はありませんでした。これを「放射性物質の移動」という意味では海に流れた放射性物質を陸揚げしているということを意味しています。特に海に流れたと考えらえられるストロンチウムやプルトニウムをサカナを媒介して陸に揚げていることも心配されます。
また水産庁の測定は信頼できると思いますが、肝心のストロンチウムとプルトニウムの値が出てこないので、その点で不誠実と思います。またサカナも一部が公開されているのか、全体から見て、ここで示したサカナが何%なのかも判らない発表のしかたです。
3. 10月の水産庁データ
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Bandicam_20111025_124738036]
青森県から宮城県沖でとれたサカナは、タラ、カレイ、ブリなどの主力魚がおおよそ10から40ベクレルぐらいで、「汚染されているが食べられる」というレベルにあります。もし、国が食材について1年0.4ミリシーベルトというまともな規制を引いていたら、これらのサカナは堂々と「安全」というレッテルを貼って出荷されるでしょうが、なにしろ基準値が500ベクレルなどになっているので、これらのサカナも紛れて危険になってしまいます。
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Bandicam_20111025_125027907]
茨城沖も10から50ベクレルぐらいでギリギリの状態が続いています。このような状態は北海道の太平洋側から神奈川まで続いていて、静岡のデータはほとんど得られません。静岡のデータが見つからないのは、私の探し方が悪いのか、本当に測っていないのか判りません。静岡はお茶の時に「測定しない」という方針をとったので、その名残があるのかとも思っています。
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Bandicam_20111025_130709613]
川魚はどうかというと福島などは汚染されていますが、100ベクレル程度の汚染がみられます。このデータは栃木県のアユですが、子供は絶対に止めた方が良いという値です。これでも国の暫定基準値(1年5ミリ、セシウムだけ)の範囲に入るのがとても残念です。
このような状態なので、「検出せず」のサカナも多いのですが、基準値が高いので、やはり避けた方が良いと思います。総じて、水産の人にも順法精神と日本の子供を守る日本の大人としてのプライドを求めます。
中部大学武田邦彦
(平成23年10月25日)
8月から10月にかけての太平洋側のサカナの汚染状態について整理をしてみたいと思います。基本的には状況は変わっていません。結論としては、次のようになるようです(太平洋岸の北海道から静岡まで)。
1)時々、大人でも食べてはいけないサカナが見られる(セシウム)。
2)おおよそ、子供は食べない方がよい(セシウム)。
3)ストロンチウム、プルトニウムのデータがほとんど無く、小魚を骨ごと食べるのは避けた方がよい。
4)汚染の数値はセシウムの値を2倍にするのがメヤス。
結局、東日本の太平洋側のサカナは買わない方がよいのですが、その理由は、1)暫定基準値が高く設定されいるので、表示されていなければ1年5ミリの被曝になる可能性がある、2)安全レベルの1キログラム40ベクレル以下のものもあるが、40ベクレル以上のものも「安全」として売られているので区別がつかない、3)相変わらず福島近辺の海からとれるサカナが汚染が高く、海の海流などでのセシウムの拡散が遅いようだ、4)川魚、貝類、藻類も同じように危険、ということです。今年は買うのをやめておいた方が良いでしょう。(川魚の汚染と水道の汚染のつじつまが合わずに、若干困っています。)
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1. 8月のグリーンピースのデータ
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Bandicam_20111025_123318880]8月のデータでは、アイナメ、メバル、サクラマスなどの主力魚が200から1000ベクレル程度汚染されています。1年1ミリの被曝として、空間0.4ミリ、水0.1ミリ、ホコリ0.1ミリ、食材0.4ミリと割り振ると、サカナは1キログラム40ベクレルが限度になりますから、いずれもまったく食べることができないぐらいでした。
日本にいてグリーンピースのデータを使うのは残念ですが、私が最初にサカナの汚染を調べたのもグリーンピースでした。今までグリーンピースの批判をしていましたが、国がダメなときには「徹底的な反対派」がいることも大切ですね。
2. 9月の水産庁のデータ
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Bandicam_20111025_124453085]9月は8月と同じく福島近辺では50ベクレルから1700ベクレルぐらいになっていて、状態の変化はありませんでした。これを「放射性物質の移動」という意味では海に流れた放射性物質を陸揚げしているということを意味しています。特に海に流れたと考えらえられるストロンチウムやプルトニウムをサカナを媒介して陸に揚げていることも心配されます。
また水産庁の測定は信頼できると思いますが、肝心のストロンチウムとプルトニウムの値が出てこないので、その点で不誠実と思います。またサカナも一部が公開されているのか、全体から見て、ここで示したサカナが何%なのかも判らない発表のしかたです。
3. 10月の水産庁データ
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Bandicam_20111025_124738036]青森県から宮城県沖でとれたサカナは、タラ、カレイ、ブリなどの主力魚がおおよそ10から40ベクレルぐらいで、「汚染されているが食べられる」というレベルにあります。もし、国が食材について1年0.4ミリシーベルトというまともな規制を引いていたら、これらのサカナは堂々と「安全」というレッテルを貼って出荷されるでしょうが、なにしろ基準値が500ベクレルなどになっているので、これらのサカナも紛れて危険になってしまいます。
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Bandicam_20111025_125027907]茨城沖も10から50ベクレルぐらいでギリギリの状態が続いています。このような状態は北海道の太平洋側から神奈川まで続いていて、静岡のデータはほとんど得られません。静岡のデータが見つからないのは、私の探し方が悪いのか、本当に測っていないのか判りません。静岡はお茶の時に「測定しない」という方針をとったので、その名残があるのかとも思っています。
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Bandicam_20111025_130709613]川魚はどうかというと福島などは汚染されていますが、100ベクレル程度の汚染がみられます。このデータは栃木県のアユですが、子供は絶対に止めた方が良いという値です。これでも国の暫定基準値(1年5ミリ、セシウムだけ)の範囲に入るのがとても残念です。
このような状態なので、「検出せず」のサカナも多いのですが、基準値が高いので、やはり避けた方が良いと思います。総じて、水産の人にも順法精神と日本の子供を守る日本の大人としてのプライドを求めます。
中部大学武田邦彦
(平成23年10月25日)