清水久遊作の雛人形 | 続・ここはひとつ、高齢出産で!〜子育てモノ語り〜

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40代で初出産のワーキングマザーの子育て。忙しくても、高齢でも、楽しく育児できるように助けてくれるモノ、コトの紹介。

小木人形という良心的な店と出会ったことで、家に迎えることができたプーさんの雛人形は、清水久遊
という女流作家の人形だった。

この作家のお人形を置いているお店をあまり見かけないのだが、有職(ゆうそく)雛というスタイルで一流の人らしい。有職というのは古くからの宮中の儀式やルールなどを指し、つまり有職に則った様式でお人形を作ること。簡単に言えば着物の裂地、柄、文様、着せ方、小物などが宮中のルールに忠実で、リアルであるということだ。(有職の装束については綺陽会 と風俗博物館 のサイトが詳しい)

プーさんの人形の着物は以下のような仕立てだ。
衣装の裂地:正絹
織り方:唐織(古来伝統の織り方)
殿の着物の柄:雲立涌(官位の高い公家しか着られない文様)
姫の着物:唐衣:茜色 小花立涌
姫の表着:松叉木紋
姫の重ね:華菱紋
着物の色襲:紅梅




そして、この作家の秀逸なところは、着せ方がとてもエレガントなのだ。美しく波打ちながら後ろに流れる裾、正面から見てきれいな二等辺三角形のフォルム、着物の襲(かさね)の色遣いの美しさなどなど。他の人形と比較 するとよくわかる。

この作家の人形はお姫様も袴をちゃんと穿いていて(普通は一枚布を三角形に折っただけ)、座った時に膝頭が自然に前に出ている。だから見ていて安定感があり、作り物には感じられないリアルな存在感がある。



あと、嬉しい心遣いで、姫様は腰に縁結び・安産の神様で有名な神社のお守りをつけている。人形の持ち主の女の子が幸せな結婚をできますようにという祈りだ。


まだ数年はプーさんにはこの人形の良さはわからないだろうが、いつかモノがわかる歳になったら有職故実や古典の物語なども交えて、教えてあげたい。
しばらくは親王飾りだけだが、プーさんが大きくなって私たちももう少し広い家に住むようになったら、三人官女とか5人囃子とかも揃えていきたいと思っている。