Disney+ SHOGUN 将軍 2024年作品 | 半兵衛のブログ

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「SHOGUN 将軍」は日本では2024年2月27日よりDisney+により独占配信開始されました。

 

原作:ジェームズ・クラヴェル(1975年)

製作国:アメリカの作品

製作総指揮:ジャスティン・マークス(トップガンマーヴェリック)

プロデューサー:真田広之他

衣装:カルロス・ロザリオ

話数:全10話

出演:真田広之/コスモ・ジャーヴィス/アンナ・サワイ/浅野忠信/二階堂ふみ他

 

おすすめ度★★★★★ 97点 秀逸なストーリーと圧倒される美術で歴史に刻まれるドラマ、 エミー賞最有力候補

 

※ディズニー+で配信中です。1ヶ月1000円足らずなので映画一本見たつもりでひと月だけ契約してみてはいかがでしょうか?無料期間もありますので無料期間内に契約を止めれば無料で見れます。個人的にはあまりディズニー作品は見ませんのでまた見たいのがあるまで1ヶ月課金にしました。ビートルズファンなら「レット・イット・ビー」や「ゲット・バック」がここでしか見ることが出来ません。

 

専門家130レビュー 視聴者574レビュー 2024/6/11現在

 

<ストーリー>

1600年、天下統一目前の日本。五大老の一人、吉井虎永(真田広之)は、その勢力を急速に拡大していた。しかし、そんな虎永に対して、他の大老たちは反発を強めていた。ある日、虎永は石堂和成(平岳大)ら他の大老たちに、不当に領土を拡大し、亡き太閤の側室である落葉の方(二階堂ふみ)を人質としていると糾弾される。窮地に立たされた虎永は、反撃の糸口を探していた。

そんな中、伊豆の網代に、オランダの商船エラスムス号が漂着する。嵐に遭い、漂流してきた船には、たった数人の乗組員しか残っていなかった。 その船を見た網代領主の樫木央海は、叔父である武将の樫木藪重(浅野忠信)を呼び寄せ、生き残った乗組員たちを捕虜にしてしまう。捕虜の中には、イギリス人のジョン・ブラックソーン( コスモ・ジャーヴィス )もいた。

ブラックソーンに興味を持った虎永は、彼と面会する。ブラックソーンは、イエズス会の神父とポルトガル商人を壊滅させる秘密を持っていた。虎永は、ブラックソーンの持つ秘密を利用して、石堂和成らに反撃することを決意する。しかし、ブラックソーンと虎永の運命を左右するのは、通訳を務めるキリシタンの戸田鞠子(アンナ・サワイ)だった。 <半兵衛>

 

◆セリフの約7割は日本語

英語圏の人は字幕が苦手なので基本吹き替えで見ますが、最近では日本のアニメを本場の日本人声優の声で聞きたがる人たちが増え字幕で見ることに慣れて来たようです。この作品は基本日本語作品にもかかわらず放送開始から6日間で900万回再生を記録する人気作品となりました。それを受けてシーズン2・3の制作も決定しました。※ただしクラヴェルの小説はすべて描ききっているので、まったく新しいシナリオになります。

 

◆クラヴェルの小説のモデルになった人物

ジョン・ブラック・ソーン  ウィリアム・アダムス( コスモ・ジャーヴィス )

吉井虎永 徳川家康(真田広之)

戸田鞠子 細川ガラシャ(アンナ・サワイ)

石堂和成 石田三成(平岳大)

落葉の方 淀君(二階堂ふみ)

樫木藪重 本田正信(浅野忠信)

 

ウィリアム・アダムスの史実⇓

 

◆ハリウッド映画にありがちな間違った日本描写を正す

主演とプロデューサーの真田広之は海外で作られるへんてこな日本描写に常に疑問を感じていて、自分が出演した作品には俳優として口出しをしていましたが、今回はハリウッド作品ながら制作のプロデューサー兼主演俳優として参加する事が出来、念願だった間違った日本描写を正すべく、時代考証・文化描写・日本人キャストの起用・日本人スタップの協力など、徹底的なリアルを追求しこだわりをもって作品に挑みました。制作費は発表されていませんが、ゲーム・オブ・スローンズ並だと推察されています。

 

◆見どころ
おもしろくて、勤務明けなのに寝ることなく10話一気見して、インタビューや評価も見て、更にこれを書きはじめましたので、面白い事は間違い有りません。

①まるで異世界

突然知らない言葉も通じない土地に放りだされた主人公、彼の認識では日本は野蛮人が住む未開な国です。まず、外人の目線で描かれる未知の異世界の日本というのが、文化の違い、生死観など価値観の違いを鮮明に移し出すので素晴らしいです。 

 

②宗教対決

世界征服をもくろむ悪の秘密結社ならぬポルトガルのカトリック対プロテスタントである主人公ソーンの宗教対決!カトリックは日本にどっしりと根を下ろしているところに、死に体のソーンは、たった一人で喧嘩を売りますが誰の目にも負けは目に見えていますが、その行方も見どころです。
 

③ロミオとジュリエット

カトリック対プロテスタントという敵対勢力の中で繰り広げられる恋愛要素があり、しかもそのジュリエットは文武両道!もうつまらないはずが無いストーリー展開です。

④成長

日本の文化を受け入れ成長していく主人公の姿も見どころです。

 

⑤ピンチの吉井虎永はどのように窮地を脱出するのか?
虎永もブラック・ソーン以上に絶対絶命状態で、知略を駆使してギリギリしのいでいきます。どんな知略が飛び出すかお楽しみです。
 

◆女性も強かった。

宇佐見藤役の穂志もえかさんのコメント

「女性の立場こそ弱かったかもしれないが、女性そのものが弱かったのではない。今も昔も、強く・激しく・美しい。死が身近にある中で自分の信念を見出し覚悟を持って生きる姿は、約400年後のを生きる私達に問いかけるものがあります。」

 

◆元祖ラップバトル?

新しい発見として、会話の中で歌(詞)を即興で読みあうという部分があるのですが、これはラップバトルだと思いました。

 

◆照明に注目

リアルを追及した作品なので、照明に注目してみて下さい。例えば夜の部屋にはシーリングライトがあるわけでは有りません。ろうそくの光があるだけです。

 

◆演技

武士が支配する戦国時代において、暗い時代であったのは当然で、どんよりと重い空気が漂う作品です。また武士が持つ生死観も壮絶です。そんな中、鞠子(まりこ)役のアンナ・サワイさんは初めて拝見する役者さんでしたが唐辛子のような、強烈な印象を残しています。個人的には主演女優賞確定です。この作品のハイライトととも呼べる侍の魂の部分を見事に演じ切った戸田広松役の 西岡徳馬さんの演技は素晴らしかったです。思い起こせば悪役と呼べる悪役はこのドラマに登場しませんが、どっちかづかずの悪役みたいな立場のフラフラした特異な存在樫木藪重という役を浅野忠信さんは演じ、海外での反響も高評価で助演男優賞ものです。このドラマの影の最高権力者的な落葉の方を二階堂ふみさんが演じましたが、以前にも一度、淀君を演じたそうです。ゾッとするような眼力で底しれぬ闇をもつ演技は圧倒的でした。藤役の穂志もえかさんも短い登場シーンの中でこれ以上ない最高の演技を見せています。生きることに必死で反抗心旺盛なブラック・ソーンを演じたコスモ・ジャーヴィスさんと威厳とカリスマという難題を表現した真田広之さんはどちらも主演男優賞を取るに値する迫真の演技だと思います。 日本の役者は舞台さえ整えば最高の演技ができるといつも思っています。

 

◆日本文化が世界中に影響力をもつ

最近は、いつも同じ事を書くのでしつこいようですが、アニメ人気だけじゃなく特撮作品でもゴジラがアカデミー賞を獲得し、時代劇までもがアメリカのドラマの最高峰を決める賞であるエミー賞を取れるかもしれません。円安も手伝って海外からの旅行者も多く、日本食のブームも来ています。もしかしたら恐るべき文化的影響力を世界で発揮しているかもしれません。こんなにすごい国なのに増税メガネなどの悪代官が政治を担っている絶望的な現状。

 

◆疑問の部分

ポルトガル人からポルトガル語の通訳する設定なのですが、何故か英会話です。

 

◆衣装デザイナーはカルロス・ロザリオさん

 

 

以下ネタバレを含む感想

 

 

◆間違った日本像を拡散という香原 斗志さんの記事

正しい日本文化を伝えるを旗印にした作品でしたが、プレジデントオンラインで歴史評論家の香原 斗志さんの逆に間違った日本人像を拡散しているという記事もありました。以下はその抜粋です。

 

●美術的部分

・石垣の積み方 

・大坂城の大広間 に天井が無い

・金碧障壁画 の位置・貼り方

・障子の桟 正方形ではなく長方形が正解

 

●武士や庶民の描き方

・武士はよほどのことがない限り刀は抜かない

天下人の城内で刀を抜くことも、抜こうとすることも、論外

昔の日本人はすぐに腹を切ったというのは、欧米人の思い込み以外のなにものでもない

武士は庶民を気まぐれで斬ったりしない

・漂着した船の船員への対応  記録には、ブラックソーンのモデルであるアダムスが乗ったリーフデ号が現在の大分県臼杵市に漂着すると、地元の人たちは衰弱した船員の病気の手当てをし、食事をあたえるなど、親切に介抱したとある。

・枯山水の庭に人を座らせて尋問するなど あり得ない。

・将軍(征夷大将軍) の定義 「長年崇められてきた称号」で「神聖な統治権をもつもの」であり、「人が到達しうる最高の地位」 は間違っている。 武家の棟梁を示す役職名 であり、豊臣秀吉の関白のほうが上

 

◆個人的に残念に感じた部分

撮影は主にカナダのバンクーバーなので日本ではありませんのでバンクーバーを日本に見せなければなりません。セットでまるまる網代の村をつくってしまったり、頑張っているのは伝わっていますが、大切な何かが足りなく感じたのですが、それは日本の象徴である富士山と田畑の描写が無いことです。

 

◆戸田広松の切腹を受け入れられないニキ達。

おそらく日本人なら誰でも納得の広松の切腹の意味を、死生観の違いからか?まったく理解できない海外の人の多い事にきっと驚くはずです。白熱の議論が展開されます。⇓

 

◆何故キリスト教国家は日本を植民地支配できなかったのか?