「 THE BATMAN-ザ・バットマン- 」は2022年3月11日に日本で上映が開始されました。
監督 : マット・リーヴス
脚本 : マット・リーヴス / ピーター・クレイグ
原作 : DCコミック
出演 : ロバート・パティンソン / ゾーイ・クラヴィッツ 他
上映時間 : 175分
ロッテン・トマト評価 批評家85% オーディエンス89%
半兵衛の評価:90点
おすすめ度 ★★★★☆
お子様おすすめ度 : 違いがわかる大人になったら見てほしい作品。
<ストーリー>
ブルース・ウェインがバットマンとして活動を始めた2年目の物語。ゴッサムシティはどうしようもないほど荒れていた。麻薬組織が暗躍し、検事や警察官までもが悪の手先となる中、一人では無理と分かりながらもバットマンとして悪に立ち向かってゆく。 幼い頃、両親を亡くした復讐心が今もブルースの心の中に渦巻いている。
◆新しいリブート作品
まず、おさえておきたいのは、今までのバットマンシリーズとは違うリブートされた作品です。ですので、ノーラン監督の「ダークナイト・トリロジー3部作」や、ホアキン・フェニックスの「ジョーカー」、「ジャスティス・リーグ」等とは区別してください。 この作品はお子様向けのバットマンではなく、大人向けのバットマンです。 監督は猿の惑星(新世紀・聖戦記)やクローバーフィールドのマット・リーヴス。
◆ロバート・パティンソン
新しいバットマンは歴代ケツアゴの役者さんが演じてきましたが、設定がバットマンとなってから2年目のルーキーですので、若い俳優のロバート・パティンソンさんが演じています。 彼はティファかエアリスかを熱弁するほど、ファイナルファンタジーⅦの大ファンですので、意外と親しみを感じます。 代表作は「トワイライト」「TENET テネット」など、テネットでは、ダークナイト・トリロジー3部作のクリストファー・ノーラン監督とも仕事をしています。
◆3時間に及ぶ大作
上映時間がほぼ3時間あり、普通の映画の2本分のボリームですので、映画館で鑑賞される場合は、しっかりトイレに行き、水分を取りすぎないように注意が必要です。
映像はセピア色ぽい、輝度を落としたトーンで統一されています。 ゴッサムの町はもう、本当に昔からあった町という感じで、CGを含めて、これに関しては日本映画では太刀打ちできないレベルです。
◆悪に染まる直前の正義
戦闘に関しては2年目のルーキーバットマンですので、荒削りで、結構銃弾浴びまくっています。そこはルーキー主人公というこだわりが感と、復讐心に駆られていますのでちょっと間違えると悪に染まってしまいそうな危なっかしさがあります。パンチ一つをとってみても、相手を殺しかねないほど力加減わかっていない感じです。
◆バットマンの魅力
バットマンはスーパーマンのような特殊能力も、アイアンマンのようなロボットスーツもありません。生身の人間がカーボンのような特殊な繊維でできたスーツを着るだけです。お金は持ってますので戦闘アイテムには無限にお金をかけることできますが、いかんせん中身は普通の人間です。
24(トゥエンテイフォー)のジャックバウアーもそうなんですが、社会のルールを守っていてはテロは防げないので、犯人を拷問したり、大使館に忍び込んだりします。結果的にジャックの力でテロを防ぐ事ができるのですが、ジャックは同時に犯罪者になってしまいます。
バットマンは、警察のように取り締まるという 社会から認められた権力を一切持っていません。しかし、警察の力では、ゴッサムシティの悪は解決されません。 何の権力も持たないたった一人の自警団として戦います。 例えば、バットマンはペンギンを追うために町中でカーチェイスを繰り広げますが、その際、タンクローリー等など多くの車が事故に巻き込まれます。 一般市民からすれば、冗談では済まされない危ない人間です。 一般人から見たら、正義の為に戦う狂ったアウトローなのです。 しかしその活躍があってこそ結果的に市民が救われたりするのです。
ネタバレを含む感想
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かなりいい作品ですが、率直に言って「ダークナイト」は超えられていないです。まぁ、私が一番好きな映画を一本あげるとするなら、「ダークナイト」は必ずその選択肢に入るような作品ですので、そう簡単には超えられません。
一番わかりやすいのはバットマンと敵対する悪役、ダークナイトのジョーカーと今回のリドラーを比べれば分かりますが、仕掛けた罠の大きさ、鮮やかさ、そして、悪役としての度胸や魅力、全てジョーカーに軍配が上がります。リドラーが小物すぎる感が勝敗の原因です。
また、悪役の動機ですが、リドラーとウエインとは貧乏な孤児と裕福な孤児という共通点があり、リドラーもまた、バットマンの力を借りて、ゴッサムの悪をやっつけようとしているようなので、悪の動機が不明瞭なのに対して、ジョーカーはバットマンは俺のおもちゃと公言しており、楽しむ目的だけの純粋な悪という感じがします。
ただ、バットマン自体の復讐心に駆られる正義の男という設定は、ちょっと間違えると悪に染まるという、絶妙な設定でした。ダークナイトのバットマン(クリスチャン・ベール)が裏も表もない出来すぎな完璧な男に見えますね。
キャットウーマンが登場しますが、バットマンが超凝った衣装(装備)なのに対して、キャットウーマンはタイツにほっかむりという、対象的な姿です。リドラーも普通のお兄さんですし。ペンギンはただのヤクザ(※元の俳優がコリン・ファレルだと分からないほどの特殊メイクしています)ですが、これらは。恐らく、リアルの悪者は変な衣装を着ていないという、こだわりなのでしょうが、見た目の怖さを感じないところが欠点だと言えるでしょう。 その点も「ダークナイト」のジョーカーやトゥーフェイスに負けています。
バットマン作品トップ3 ダークナイト>ジョーカー>ザ・バットマン(今作品)という感じでしょうか。
ちなみにロッテン・トマトの評価は、ジョーカーより高評価です。
ダークナイト 批評家94% オーディエンス94% アカデミー賞8部門ノミネート 2部門受賞
ジョーカー 批評家68% オーディエンス88% アカデミー賞11部門ノミネート 2部門受賞
THE BATMAN 批評家85% オーディエンス89%
謎解きサスペンス・アクション と公式に出ていますが、リドラーが出す謎をバットマンが一瞬で解いてしまうので、オーディエンスは考える時間がありません。