ジョン・レノン  労働階級の英雄 | 半兵衛のブログ

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◆Working Class Hero(労働階級の英雄) は1970年に発表されたアルバムジョンの魂 (John Lennon/Plastic Ono Band)に収録されています。

●イギリスにおける階級制度
日本人には階級意識が無いのでまずイギリスにおける階級制度を理解しなければなりません。

イギリスの人々の間に浸透している制度で法律で定められているわけではありません。
階級により、英語のアクセント、服装、読んでいる新聞が違い、同じ階級同士でいることが多く、違う階級を皮肉ります。

【上流階級】 王室、貴族、地主や資産家など 子供の頃から親元を離れ、授業料の高い私立学校に通い、上流階級にふさわしい、英語のアクセント、立ち振舞い、考え方を身につけ、オックスフォードやケンブリッジ大学に進学する。クイーンズ・イングリッシュを使う
【中流階級】 大学に進学するようなクラス ホワイトカラー
【労働階級】 義務教育終了後に就職 ブルーカラー コックニーと呼ばれる話し方をする


◆感想
あらためて思うのは、ジョンの反骨精神です。反骨精神がなければビートルズの成功はありえなかったと思うのです。現状に満足せず、常に正しいことを見極めようとしていた。そして、普通ならそのレベルで終わるのですが、ジョンの場合ははっきりものを言い相手から嫌われても世間からなんと言われようと行動し戦いますね!その戦いが虚しく空回りする事もありますし、自分たちを孤立させる事もありますが、その失敗を含めて人間ジョン・レノンです。ジョンの歴史は戦いの歴史でもあります。洋子という東洋人を妻にして人種差別とたたかい、最後まで洋子を守りぬく姿勢は尊敬に値しますし、いつでも弱いものの立場の人間を応援していく姿勢もやはり、ジョンの魅力です。ジョンの反骨精神は、幼いころの環境が影響していることは明白であり、労働階級出身者である事もそのひとつだと思います。冷静に考えれば貴族と庶民のちがい、労働者が汗水流して働いているのに、貴族は親が残した膨大な資産の利子だけで暮らしてろくに働いていません。更に名門大学に進学し、経済を牛耳っていきます。同じ人間なのにこんなことが許されるのはやはりおかしいことだと思います。資本主義の歪んだ実態です。この曲は労働階級出身の自分の事を歌っているのと同時に弱い立場の労働階級の人たちが 何らかの圧力によりがんじがらめの社会の中で世間に流されず自分を見失しなわずに生きることの難しさを示すとともに、最後の一行の「僕についてくることさ」とは成功者としてのジョン本人を指して労働階級出身者でも十分やれる!ということを歌っているのでないかと思います。※イギリス人はよく「のし上がるためにはサッカー選手かミュージシャンになるしかない」といいいます。その代表例がビートルズでありベッカムです。


●ジョンの両親は貧しい労働階級の出身
ビートルズの出身地リバプールという街は中産階級ばかりのロンドンとちがって明らかに違う雰囲気の街で、とても貧しい港街だった。
ジョンの父親はリヴァプールのプロレタリアの中でも最下層の出身で、失業していない時は船のウェイターとして働いていた。母親ジュリアの両親も最下層の出で祖父は沈没船の引き揚げ会社で働いていた。

●ビートルズ労働者階級(リヴァプール)の英雄となる
1963年11月4日ロイヤル・バラエティ・パフォーマンスに出演
エリザベス女王、マーガレット王女などの皇族の前で「シー・ラブズ・ユー」などのビートルズナンバーを演奏。

「安い席の方は拍手をお願いします。それ以外の方々は、すみませんが宝石をジャラジラ鳴らしてください。」7分35秒のところ

↑問題の発言 上流階級に対する強烈な皮肉を王室バラエティーショウで公然と言い放つジョン!

リバプール野郎がやった!と地元で彼らの成功をたたえた
「つまり、いまだに温かいハートを持ち、精神は労働者階級のものでありながら労働者階級独特のウィットでもって金持ち階級を征服したということだ」 文化史家リチャード・ボガード

●ジョンは上流階級を毛嫌いしていた
「みんな僕らが金を積まれたって言うけど、クィーンズ・イングリッシュを話す上流の連中と比べりゃそんなことは馬鹿げたことだって判るよ。ぼくらは働いて稼いでいるんだよ。連中は資本を手に入れ、その上澄みで稼いでいるだけなんだ。色んな人に会うたびに、これがすべて階級の所為だってことに気づくのさ。」 1963年のツアー中インタビューより

1965年10月26日バッキンガム宮殿でエリザベス女王より、MBE勲章授与される。
「僕は、ジョン・レノンという、ビートルズの一人が、ほかの人間とまるで違うなんて思ったことがない。本人が、そんなことはないと思っているもの。僕なんかただの人間さ。しかし、女王陛下は自分がふつうの人間ではないと考えないとならない。それは確かだな。 僕は、社会的なことなんかみんな大嫌いなんだ。僕達がひきずり出されるくだらない行事や拝謁なんて何もかもいやだな。みんなインチキだよ、そんなもの。全部見透かせるし、ああいう連中のことは分かるんだ。軽蔑だよ、あんな連中なんか。きっと出身階級が違うこともあるんだな。いや、そうじゃない。ああいった連中がみんなインチキだったからなんだ、大嫌いなのは。」 ハンター・ディヴィスインタビュー

●ジョンの訛りは労働階級の誇りだった
ロンドンでリバプール訛りを喋ることは、自分は貧乏で、教育もないといっているのと同じだったがジョンはあえてリバプール訛りをすてずに、誇りを持ってリバプールらしさを世界に吹聴していた。

●MBE勲章返還
1969年11月16日 MBE勲章返還 「僕にとっては身売りするようなものだからね」

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Working Class Hero
               作詞・作曲 John Lennon


きみが生まれるとすぐに
奴らは劣等感を植えつける
考える時間も与えないようにして
あまりの苦痛の大きさに何も感じなくなってしまう
労働階級の英雄になるのは大変だ
労働階級の英雄になるのは大変だ

奴らは家では傷めつけ、学校では殴りつける
賢いと憎まれるし、馬鹿なら軽蔑される
しまいには 頭がイカレちまって
やつらの言うことにさえ従えなくなる
労働階級の英雄になるのは大変だ
労働階級の英雄になるのは大変だ

奴らは20年もの長きにわたり
傷めつけ脅かしておきながら
就職させようとする
だけど きみは役立たずになり
不安でびくびくする
労働階級の英雄になるのは大変だ
労働階級の英雄になるのは大変だ

宗教やセックスやテレビの中毒になって
暮らしてるってのに
自分は賢くて階級がなく自由になったと思ってるようだが
僕に言わせりゃ
きみらはどん百姓そのものさ
労働階級の英雄になるのは大変だ
労働階級の英雄になるのは大変だ

まだ最上階に空き部屋があると君にいう
だけど 最初に笑いながら殺すことを学ばなきゃならない
そこではじめて 丘の上の住人になれるのさ
労働階級の英雄になるのは大変だ
労働階級の英雄になるのは大変だ

そう 労働階級の英雄になるのは大変だ
それでも英雄になりたいんなら この僕についてくることさ
それでも英雄になりたいんなら この僕についてくることさ

                        翻訳 半兵衛

歌詞のなかに「fuckin」という言葉が入っているので放送されにくい
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David Bowie - Tin Machine - Working Class Hero

◆インタビュー
「ぼくが知っている唯一のフォーク・ミュージックといえば、ニューキャッスルの炭鉱夫たちの歌か、あるいはディランさ、このような意味で影響は受けているけど、僕にはこの歌はディランみたいだとは思わない」 ジョン・レノン

◆私のこの一曲
「ジョンのことは大好きだから、1曲を選ぶのは難しいわ。”Mother”や”Isolation”も大好き、年を重ねるごとに、”Girl”をすばらしいと思えるようになった。(中略)でもやっぱり”Working Class Hero”ね。コード進行も好きなんだけど、なによりジョンの好きなところは、すべてが政治的なことがみごとに表現されている。ジョンとヨーコのやったことはすべて意識していた。バカげたこともあったけど、とても真剣でもあった。マリアンヌ・フェイスフル MOJO誌より