REC/レック 2007年制作スペイン映画
監督 ジャウマ・バラゲロ
出演者 マニュエラ・ヴァラスコ他
ジャンル ホラーR15指定
お勧め度 ★★★★☆ B級ホラーの傑作!
<ストーリー>
地元のテレビ局のアンヘラは消防署の密着取材をしていた。通報のあった建物(アパート)へ消防士に同行取材する事ができました。今回の任務は閉じ込められた老婆を救出することです。消防士はその建物のドアを壊して、老婆を救出しようとますが、何と、その老婆は全身真っ赤な血に染まっており、いきなり同行していた警察官めがけて走りだし、警察官の喉元に噛みついた、重傷となった警察官を病院に送り込もうとしますが、その建物はすでに政府によって何らかの理由により、隔離されており外に出る事が出来なくなってしまいました。隔離されたのは数名の住人と警察官、消防士、地元テレビ局のキャスターとカメラマン・・・・
彼らは無事に建物から脱出できるのか?
未知ののウィルスの正体は?
スペイン映画という事で、見知らぬ言語が飛び交います。
撮影の手法は最近流行の、全篇ビデオカメラを用いた主観撮影(POV)による作品です。例「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」「グローバー・フィールド」「ダイヤリー・オブ・ザ・デッド」など・・
このPOVとは、映画のカメラマンが登場人物を撮るのではなく、あくまでも登場人物の目線から見た映像なので、主観撮影といわれております。この映画の場合は作中に登場するカメラマンからの映像になります。ですから階段を上り下りするとカメラも上下に揺れますし、登場人物が倒れれば、カメラももちろん倒れます。擬似ドキュメンタリーのような作りです。
F1のレースなどでも遠くから撮る映像もいいですが、車載カメラから見る映像のほうが自分が運転しているような気持ちになるというものです。
この作品は恐らく製作費もあまりかかっていないB級ホラーですが、手持ちカメラにする事で、セットを細かく緻密に作らずとも、臨場感たっぷりな映像にする事ができるのです。本国スペインでは大ヒットしました。公開は本国スペインと日本だけのようです。あまりにも出来が良いので、ハリウッド版のリメイク映画『Quarantine』が製作されました。
<感想>
前半の消防士の密着取材のシーンでは、いきなり中だるみの様な印象を受けましたが、いざ問題の建物に入ると一転して緊迫感あふれる映像に変わります。平和な日常が、突然地獄絵図に変化する様子が凄い迫力です。この感じはディア・ハンターと同じ感覚です。前半の平和なシーンを長く流すと感情移入も完了して、残酷なシーンがより残酷になるのです。
凶暴化した老婆にかまれると唾液を通じてウィルスに感染し、かまれた人も凶暴化します。そして殺してもしばらくすると息を吹き返すのです。
まるで凶暴化ゾンビです。一人また一人とどんどん建物に残された人が犠牲になって行きます。住人の中には何故か日本人家族もいます最初は中国人家族だと思っていましたがインタビュー中に、「あなたうるさいから黙ってて!」と旦那を制止する時に日本語でしゃべるのでわかります。しかもこの日本人口べたで、何を言いたいのかさっぱりわかりませんが、そこが変にリアルだったりします。
主人公を含めた住人の様子がドキュメンタリータッチで手をとるようにわかり、怖さひとしおです。
そして、スペイン人はつねに声出しすぎます。言葉にすることで落ちつことしているのかもしれませんが、絶望的な状況を自ら言葉にしてしまいますので、かえってパニック状態に陥ります。
特に主人公のリポーターは最後まで叫び続けます。うるさいのなんのってありませんが、これが結構パニックをうまく表現しています。
とにかく臨場感が半端じゃないのです!
という事で、文句なくB級ホラーの傑作です!