◆The Beatles Rain
1966年5月発売の曲で、シングル版の「ペイパーバック・ライター」のB面として発売されました。
◆レアソング
この曲は当時としては結構レアで、シングル盤としてしか耳にすることができませんでした。レットイットビーのB面の「ユー・ノウ・マイ・ネーム」と同じような扱いで、アルバムに収録されたのは1988年ビートルズが解散されてから約20年後のパスト・マスターズ Vol.2です。 ですから、ビートルズの曲としては耳にする機会がとても少ないとてもレアな曲です。
また、レアな曲なのにもかかわらず、ビートルズの中では数少ないプロモーションフィルムが撮られている曲でもあり、何とも不思議な立ち位置です。
レコーディングはアルバム「リボルバー」の頃なので、自分でアルバムを編集して、リボルバーに入れてもいいかもしれませんね。日本では梅雨時に結構ラジオのリクエストでかかる事があります。
◆これこそがビートルズ
いつもながら関心するのは、こんなにたくさん実験的な試みをしているのに、普通に聞いていたら全くわからない。しかも、ちゃんと聞きやすい曲として成立している。更には歌詞も優れたメッセージがある。演奏も素晴らしい。リンゴの切れ込むようなドラムにポールのうねるようなベースライン。絡みつくようなギターリフ。こんなにすごい曲がシングルのB面だという事実。
<以下ウィキペディアより抜粋>
●リズム・トラックはテープの録音速度を上げて通常再生時にスローになるようにし、ジョンのボーカルは逆にテープの録音速度を下げて通常再生時にピッチが上がるようにするというテクニックを利用している。
●リンゴ・スターはこの曲のドラムがベストプレイであったと語っている。
●ポールの歌うようなベースラインと、途中で聞くことができる当時のベーシストには珍しい速弾きが曲をいっそう盛り上げている。
●ジョージ・ハリスンはインド風の持続音をギターで鳴らし続けてポールのベース音に呼応している。
●ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500では463位にランクされている。
-------------------------------------------
Rain
作詞作曲:レノン・マッカートニー
雨が降ってくると みんな頭を隠して走りだす
濡れると死んじゃうかのようにね
雨が降ってくると 雨が降ってくると
陽が照ってくると みんな木陰に避難して
レモネードをちびちび飲む
陽が照ってくると 陽が照ってくると
雨が降ったって僕は気にしない
陽が照ってれば天気がいいってだけのこと
いいこと教えよう 雨が降りだしたところで
なにひとつ変わるわけじゃない
それは確かだ それは確かだ
雨が降ったって僕は気にしない
陽が照ってれば天気がいいってだけのこと
聞いてるかい 降ろうと照ろうと
要は気分の問題さ
僕の言うこと ちゃんと聞いてるかい
訳:ビートルズ歌詞全集より
--------------------------------------------
◆優れたメッセージソング
ニーチェの言葉に「事実というものは存在しない。解釈だけが存在する。」というものがありますが、雨が降った時の気持ちは十人十色です。雨を嫌なものとただ単に捉えるのではなく、ジョンは「雨が降ったって僕は気にしない」と言っています。
半兵衛の解釈ですが、ジョンの言いたいことは、”目的地に進んでいけば途中で雨が降り出すことがある、そこで引き返してしまえば終わってしまう。雨に濡れてでも進んでいれば目的地はどんどん近づいてくる濡れるの嫌だけどただそれだけの事。。”
死の直前のインタビューで、この曲のことではありませんが、ファンの皆さんに宛てたメッセージで、次のように述べています。
「未知なものを恐れるからこそ、みんな走りまわってあらゆることを追っかけているのさ
けれどもそれ(未知なものへの恐れ)は幻想にすぎないのさ
未知だということを恐れずに受け入れれば、あとは順調な航海が待っているよ
こいつが解れば、一歩進むことができるのさ そうじゃないかい?」<プレイボーイ誌インタビューより>
↑ドラムセットがないリンゴの不満顔が印象的ですw
↑ポールの前歯、一本ないw(バイク事故があったそうです)
The Beatles-Rain music video
うねるベースに絡みつくギターのリフ、そしてなんといってもリンゴのドラムが光りますね! リンゴのインタビューでもベストプレイはこの曲だといっています。
◆ジョン・レノンインタビュー
「これはかつてなかった最初のテープの逆回し(テクニック)。ヘンドリックスよりも、ザ・フーよりも、どんな連中よりも先だ、ぼくが基本の曲をつくって、ラフミックスを家に持って帰った。その日、ぼくは疲れていた。いつものように、その日とったテープをすぐに聞いていたら、どうしたわけか逆回しで再生されてしまった。ぼくは座ったまま釘づけになちゃった。イヤーフォンをつけて、でかいハシシのジョイントを吸いながら、全曲を逆回しで聴いた。次の日、ぼくはみんなのところに駆け込んでこう言ったんだ。「この曲をどうしたらいいかわかったぜ、これを聴いてみろよ!」
そしてテープを逆回しにして、みんなにさかさまに演奏させた。フェードをかけたけど、あれは逆回しでぼくが歌ってるんだ。」<プレイボーイ誌インタビューより>
※最後のヴァースにあるジョンのヴォーカルの一節が逆回転になっている。
・ジョン・レノンクイズその1の答えです。
たくさんの皆さまからの回答をいただきまして誠にありがとうございました。
以下トム・パヌンジオの回想シーンからの抜粋です。
翌日ジョンにことの次第を話すと、彼は声をたてて笑い、
「あの歌が嫌いだったのかい?」と言った。
それから彼とロイとでぼくの写真を撮り、
「いつかきみが偉いプロデューサーになったら、この写真をみせてあげるよ、ドジを踏んだときの証拠写真としてね」と言った。
ジョンはまた声をたてて笑い、それから仕事に戻ってレコードを作り終えた。
ジョンのあの思いやりはけっして忘れないし、僕に自信をつけたことも決して忘れない。
という事で正解は②番の大笑いして、そのエンジニアの顔写真を撮った。
ジョンは、仕事上の失敗など全く気にせず、落ち込んでいる彼に対して、暗に君は将来大物になるプロデューサーだから、失敗など気にするなと言いながら、ジョークで彼を笑わせようと写真を撮り、逆に励ましたのでした。