告白 2010年公開作品
原作 湊かなえ
監督・脚本 中島哲也
ジャンル サイコサスペンススリラーではないかも^^
★★★★☆ 4.5 見る人を選ぶ傑作!
<ストーリー>
とある中学校の1年B組、終業式後の雑然としたホームルームで、教壇に立つ担任の森口悠子(松たか子)が静かに語り出す。「わたしの娘が死にました。警察は事故死と判断しましたが、娘は事故で死んだのではなくこのクラスの生徒に殺されたのです」教室内は一瞬にして静まりかえり、この衝撃的な告白から物語は始まっていく……ヤフー映画より
興行収入が40億円に迫る作品であり、ハリウッドの3社からのリメイクのオファーがあり、第34回日本アカデミー賞では最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀脚本賞・最優秀編集賞を受賞しています。その一方で、2010年映画芸術誌の日本映画ワースト1位に選ばれております。
見方によっては評価がわかれる作品であります。
うーん 見終わって唸る・・・・
最愛の娘愛美を失った森口先生の復讐劇
ここまで、やるか?と思わせる残酷さ・・・・
復讐劇にもいろいろありますが、
復讐を遂げるのは、拳銃を持った元FBI捜査官ではなく
復讐をする相手も犯罪組織でもない・・・・
そこに居るのは、一人の教師と生徒だけ・・・
とにかくダークです
映像も暗いし内容も暗いこんな映画見たくない
そう思いながら、どうなって行くんだろ?と
いつの間にかどんどん引き込まれていく・・・・
まてよ、これって日本映画だけど、これってもしかして、キューブリックの作品か?
キューブリックのフルメタルジャケットは、海兵隊員養成の訓練中に正気を失い自殺する隊員や、実践では狙撃されていく隊員たち・・・ミッキーマウスを歌いながら、尚も戦場に向けて行進を続ける隊員たち・・・
まったく救いようがない反戦映画ですが、だからこそ戦争を憎むのです。
この作品も、救いようのない終わり方をします。
モンスターペアレンツや、自分のクローンの子供を作り出せない母親のいらだちや、離婚などの問題で、ゆがんだ子供たちが作り出されていってしまう現実といじめや自殺といった様々な問題を、すっきりと解決して、ああ良かったねで終わる作品ではなく、逆説的な方法、つまり教師が生徒に復讐する事で、あらためて問題を提議しているのではないかと思うと、なんてすごい作品なんだろうと思います。
キューブリックも真っ青ですね!
中島監督の作品は、悲惨な内容でもコミカルな漫画チックな表現方法で、アニメなども取り混ぜ、さらに、ミュージカル等も取り入れ独特な作品を作っていきました。
しかし今回はコミカル抜き、アニメ抜き・・・漫画チックな表現もなし
ある意味自分の今までの作品での表現方法を全て壊して最初から作り上げたといえます。
しかし、それを抜きにしても、映像の切り替わり、アングルやテンポ、陰影の使い方、特殊効果、さらには役者の完璧な演技、演出、全て絶妙です。特に爆発がまき戻るシーンはテリーギリアムの作品を見ているようでした。映像美きわまるという感があります。今一番出来る監督は日本では中島哲也監督だと思います。(パコはちょっとしくじったかもw)
<演技>
チェンジリングのアンジーの演技のように、役者の演技力は優れた監督によって引き出されると思います。
松たか子 最初から最後まで、小さい声で口ごもるように話す演技は、大げさの演技の対極で、恐らく監督の指示だと思いますが、これが、内に秘めたる恐怖感を倍増させます。
かつて、キングクリムゾンがヴォーカルやギターやドラムの音を高域と低域をばっさり切り捨て、無機質な音でまったく新しいサウンドを作り上げたのを思い出しました。
特に復讐の無意味さは本人の倫理観を越えた所にあると想わせる、ファミレスを出た直後のシーンの演技は良かったです。
今まで見た彼女の作品では最高の演技だったとおもいます。
修哉演じる西井幸人さんの演技も大変素晴らしく、憎たらしい、マザコンの秀才の役を見事演じました。
デスノートのライト役やらせると、絶対はまると思いました。デスノートの藤原竜也さんはちょっと私のイメージとはかけ離れていました。
木村佳乃さんの演技も、モンスターペアレンツ(実際には精神的に弱い直樹を守りたい一心な母親)になり切っており、だんだんと正気を失っていく様子をうまく演技していました。声をわざと低音のハスキーな声にしているところも演技のこだわりを感じました。