チェンジリング    クリント・イーストウッド監督 アンジェリーナ・ジョリー主演 | 半兵衛のブログ

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※ヤフー映画レビューに投稿したものを転載しました。

ネタばれ注意!

                                         

「母親の愛は世の中を動かす」

                              

まず押さえておかなければならないポイントは実話をもとにしている事です。
そして、主人公は、一般的な人が体験しえないたくさん事に関わっています。

息子の行方不明
替え玉息子(チェンジリング)事件
精神病院強制入院事件
ロス市警と全面対決
ワインヴィル養鶏場連続殺人事件

一般的にはサスペンスと呼ばれているようですが、実は様々な要素が交錯しています。

の替え玉事件では、ミステリーの要素
と④では、警察の巨悪を暴く社会派ドラマの要素
では猟奇殺人(サイコ・スリラーの要素)

以上のように、主人公のたどった道を追っていくと、いくつもの要素が交錯してポイントの分かりづらいものとなってしまう。
監督がどこに力をいれるかによって、どんな作品にでもなってしまいます。

しかしこの作品では終始一貫して母親が巨悪権力に屈することなく子供を探すという母親の愛を中心に描かれています。

日本に置き換えると、北朝鮮によるめぐみさん誘拐拉致事件を追う母、横山早紀江さんのような視点ですね。

そして、ロス市警との確執は母親の行動を阻害する巨悪として表現されています。

この巨悪権力にいじめられ、遮られても、決してくじけず、ひたすら、わが子を探し求める姿がこの映画の命です。

結果的には、ロス市警の巨悪をあばくことにつながっていきます。

⑤の猟奇殺人の要素は、ワインヴィル養鶏場連続殺人での犯人の母親の関与や、性的趣向などが削除されて、猟奇性が大幅にカットされている。ポイントを絞る為の決断といえます。


このようにひとつひとつの要素がかなり強烈ですが、それらを全て取り上げるとにポイントの分かりにくい映画になり、削除すれば事実から遠ざかっていくという、難しい題材だったと思います。

往々にして、事実を元に構成された映画の多くが、ヒットさせる為の映画的な演出でゆがめられ、事実から遠ざかっていくものが多くなりがちです。(ホテルルワンダ等)

しかし、イーストウッド監督は淡々とした映像でつづっている事に好感がもてました。
アンジーも今までのド派手な演出から、一人の母親をうまく演じる事ができたのは、イーストウッド監督の力量だと思います。

回のイーストウッド監督はピンチヒッターだそうですが、ヒューマンドラマを撮らせたら、今この監督が一番ではないでしょうか?ほんとに心理描写が巧みですよ。生きる事の困難さ理不尽さの中で生と死を考えさせる監督ですが今回はどのように皆さん感じたでしょうか・・・



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