"曇った眼鏡で人を判断すると、真実は見えない"
十二人の怒れる男 1957年アメリカ映画です。
ピぐ友さんのお勧めで12人の怒れる男を見ました
あらゆる意味ですごい作品なので、見る事をお勧めします。
★★★★★ 星5つ
●ストーリー
裁判官が評決を12人の陪審員の出す結論に任せた所から始まります。
被告人の有罪に妥当な疑いがあれば無罪
疑問が無ければ有罪となり死刑となる
そして、全員一致である事が条件となります。
ここから陪審員たちは小さな会議場のようなところに移され、外からカギがかけられます。
陪審員たちは暑くて狭く空調もきかない一室で、結論を出そうとします。
被告はスラム街に住むろくでもない不良で、父親を殺害してもおかしくないうえ状況証拠がそろっています。
有罪で決定的な空気が流れており、さっさと多数決をして、それぞれの生活に戻ろうとします。一日3ドルの報酬では、それなりに済ませたいと考えているからです。
そこで多数決をとる事になりますが、ひとりだけ、無罪に手をあげました
「私が賛成したら簡単に死刑が決まる
人の生死を5分で決めて 間違っていたら?」
この人の提案で1時間だけちゃんと話し合う事になりました。
●感想
この映画で語られる事は、日本にも陪審員制度が導入され他人事ではなく、身近な問題となりました。
私たちは偏見で人を見てはいけないと分かっているものの、実際には知らずのうちに曇った眼鏡で物事を判断していることがあると思います。
そのような偏見の上で、状況証拠があるのだから疑いようがないと考える
もし私がその中のひとりの陪審員だったら、あのような勇気のある発言ができたろうか?
つまり陪審員は、あらゆる情報に惑わされず、真実のみを見据えないといけない重大な仕事なのです。それはすなわち、陪審員が今までの人生で培ってきた考え方や生き方が問われる事になるのです。
つまり曇った眼鏡で人を判断すると、真実は見えないということです。
この映画のすごいところは、ほぼ全編が、陪審員の狭い部屋での会話でなりたっています。 犯行の様子や状況証拠も、語られるのみで決してカメラは外に出ません。
話が面白ければ、場所なんか関係ない事を見事に証明しています。
ある意味脚本の金字塔的な作品でもあると思います。
さらにすごいところは12人も登場し、名前さえ分からないのに、その一人一人の発言、態度、行動の一つ一つが実に個性的にリアリティー豊かに迫力満点で描かれています。