ある日の放課後、私は家に向かわずにある場所へ向かっていた。



家のインターネットで念入りに調べて決めたその場所は、なんの下調べもなく向かった一度目の場所よりも信頼できる…と思いたい。



私「すいません…初めてなんですけど…」


受付「はい、じゃぁこの用紙に記入してください」



病院内はとても綺麗で、設置された椅子は待っている患者さんでぎっしり埋まっている。

それ以上に立っている人もいて、待合室は満員状態だった。

制服で来ているのは私一人で少し浮いた風だったが、用紙に記入することで顔を伏せることができたので気にせずにすんだ。


私が来たのは婦人科。

妊娠した時に行った病院ではなく、家から少し離れた場所にある有名な婦人科を調べに調べて親にばれないように学校帰りに向かったのだ。


ちなみに今回は妊娠ではない。

私が不安に思っていたのは性病のことだった。


特に何かの兆候があったわけではないが、何人もの女性と関係を持つ龍のせいで性病にいつ感染していてもおかしくはないと思ったのだ。


名前を呼ばれて診察室へ入る。

先生は男性で少し戸惑ったけれど、「この人は男性ではなく医者という人種なんだ」と自分を誤魔化した。



先生「今日はどうしました?」


私「性病の検査と…あと、ピルをいただきたいんです」


先生「そうですか。あなたは一度中絶手術をしていますね?それで考えたのですか?」


私「はい…。ネットで色々調べてみました」


先生「わかりました。とにかく内診しますね。下着を取ってその椅子に座ってください」



言われるがままに少し離れた所にある椅子に座った。

婦人科の内診を受けたことがある方は分かっていただけると思うが、その椅子はマッサージチェアのような形をしていて、腰のあたりにカーテンがかかっていて前が見えないようになっていた。


椅子に座ると同時に女性の看護師さんが下半身にタオルをかけてくれる。

下着を取っているので恥ずかしい気持ちがあったが、そのおかげで少し安心できた。


看護師さんの「あがりますよ~」の声と同時に椅子が上にあがり、今度は背もたれが後ろに倒れた。

そしてそれと同時に足を乗せていた部分がガバァッと左右へ開く。


初めてのことだったので「こんなに開くのかっショック!!」とビックリしたけれど、ここまできてしまったらまな板の上の鯉状態汗

でもタオルがかけてあるし、腰元にはカーテンがあって医者の顔は見えない。

とにかくドキドキしながら天井を見つめていた。



先生「はい、じゃぁ少し冷たいですよ」


私「は、はい」



その瞬間自分の中にヒヤリとした器具が挿入された。

痛みはなかったが何だかとても気持ちが悪いえー



先生「では、膣内の粘膜を少し取らせてもらうね」



一瞬器具がぐりんと動き、スッと体の中から器具が抜かれた。

何をされたのか分からないけれど、時間的にはほんの一瞬であっけないものだった。

椅子が元に戻り、下着をつけて先生の前に座る。



先生「はい、おつかれさまでした」


先生「では、結果は一週間ほどかかりますのでまた来てください。ピルのこともその時にお話ししますね」


私「はい、ありがとうございました」



その後料金を払って病院を後にした。


内診というものは初めてで、かなり緊張したものの、痛みも感じず思ったよりもすぐに終わってしまった。

さすがに男性の先生だったのでダメな人は本当にダメだろうけれど、私は先ほど書いたように男性とは思わないようにすることで乗り切る事が出来た。

待合室にいた時間はかなりあったものの、診察の時間は10分ぐらいなものだった。



帰り道、このことを龍に話そうか迷ったけれど辞めておいた。

言ったところで「ふーん…」で終わるだろうし、お金を出してくれることもない。

なので言っても無駄だと自分に言い聞かせた。


そして一週間後、私はまた一人で病院へ向かった。

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龍「いやぁ、焦ったー!!急に帰ってくるんだもん」


私「…大丈夫だったの?」


龍「あぁ、大丈夫グッド!うまくやっといたから音譜



龍からの連絡の中で謝罪の言葉など一切出なかった。

それは龍にとっては当り前なことで、自分には一切非がないと常日頃思っているからだ。

私もそれ以上この話には触れないでいようと話題を変えた。



龍に謝罪を請求しても無駄で、それ以上に時間の無駄なことを私は学習している。

請求したところで逆切れするに決まっているガーン

断らなかったお前が悪いとかなんとか私をねじ伏せようと躍起になる。

私が諦めて黙らない限り延々とそれは続き、終いには私に対して「謝れ」と請求してくるのだ。

そんな風にギャーギャー言われるくらいなら触れない方が利口である。


ちなみに何に対する謝罪なのか聞いてみたところ、


龍「俺に意見をした(逆らった・反抗した)ことに対してに決まってんだろ」


と、堂々と言ってのけた時には呆れて物が言えなかった。

今まで散々呆れてきてはいるけれど、これ以上呆れさせるようなことを言える龍はある意味大物だと思う。



そんなこともあって、龍の朝の見送りはこれでお終いとなった。

さすがに二度目は同居人に殺されると思ったのか、そのマンションに連れて行かれることもなかった。

それはそれでいいのだが、人一倍強い龍の欲望を満たすには部屋も何も関係ないことを思い出してほしいしょぼん

アルバイトのある日以外の放課後はすべて龍に連れ出され、非常階段やビルの隙間など至る所で手を出された。


この頃はアルバイトに力を入れていたので回数的には減っていた。

私が相手をしないので龍が他の女の子に手を出していることだってあった。

浮気現場を見たことはないが、もちろんそれくらいは分かっている。


だが私が何も言わないことをいいことに、龍の行動は隠すことなく大胆な行動となっていった。



龍「俺さ、初めての人とするのが好きなんだよねーニコニコ


私「はぃ?」



龍が笑いながら話しかけてくる。

いつものようにヘラヘラしていて楽しそうだが、口から出た言葉に私は固まってしまった。



龍「いやだから、初めての人のピリピリ感が好きなんだよニコニコ


私「・・・・・・」



このピリピリ感(…説明するのも嫌なのだがガーン)押し広げていく感じのことを表しているらしく、両手を合わせて指先から開いていくジェスチャーまでバッチリ付けて私に説明していた。

更に…



龍「俺が浮気したのって何人だか知ってる?」


私「さぁ。3~4人じゃないの。私が知ってる限りでは」


龍「ブブービックリマーク5人は超えてるなぁニコニコでも安心しろよ、ただの遊びだから音譜


私「・・・・・・」



と、今思い出しただけでも虫唾が走ることをデートの最中に堂々と言ったのだ。

ビックリマーク私はこの時龍の彼女になって早4年…「遊びならいいや」と軽く事実を受け流した(流すことができた)のだ叫び


マインドコントロール…というか、うまく説明がつかないけれど、ずっと頭にモヤのようなものがかかっていて、何が正常で何が異常なのかが判断できなくなっていた。

それに気付いたのは別れて少し経った時。

なのでもちろんこの時はこの異常性に気付けていなかった。


なぜ龍が私にこんなことを隠さずに話したのか、考えたくもないけれど、きっと龍は自惚れていたに違いない。

コイツ(私)は何があっても俺から離れることはないと。


結局当時はそうだった。

龍と別れるということを考えたことすらなかった。

浮気しようがどうしようが、何だかんだで一緒にいるんだろうなぁとしか考えられなかったのだ。

なのでこの告白?も私の中では「何を今更…」と大したことはない程度に感じていた。



しかし意外なことに、この時私の中で一つの不安要素が生まれていた。

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