先生「結果が出ましたよ」
私はあの検査から一週間後に再び病院を訪れていた。
もちろん一人。龍には何も伝えずにいた。
先生「ここ、見てください。陽性反応が出ています。これはクラミジアという性病です」
先生は一枚の紙を私に見せながら検査した全ての項目を分かりやすいように説明してくれた。
不幸中の幸いなことにクラミジア以外はすべて陰性で、クラミジアも薬を飲めばすぐに治るということだった。
そこで私は疑問に思っていたことを聞いてみることにした。
私「先生、これはやっぱり性交で感染するものなんですか…?」
先生「そうだね、彼氏さんはいるのかな?2人で治さないと意味がないから一度連れておいで」
私「はい…」
その私の力のない返事に、カルテに目を通していた先生がこちらを見た。
龍が病院に来るはずがない…。普通の病院でもダメなのに、婦人科なんて…絶対無理
そんな私を見て先生が察してくれたのか、優しい声で提案をしてくれた。
先生「もし彼氏さんが来るのが難しいのなら薬を出すこともできるよ。ただ診察券を作らないといけないから彼氏さんの許可を貰ってね。」
私「はい、ではそうしてください…。すいません」
先生「わかりました。じゃぁ今度はピルについてだね」
先生の提案はすごく嬉しかった。ここの病院を選んでよかったと改めて感じる。
その後はピルの説明を受けて1シート出してもらった。
ピルは性病を防ぐことはできないけれど、避妊にはうってつけの薬。
間違いなく飲めば90%以上の避妊が望める。
ただ薬によっては副作用が出たりするので、体に合わなければ遠慮せずに変えてもらいましょう!
てな感じなので、私も出してもらったピルをまずは1シート試してみることにしたのだ。
副作用は吐き気や頭痛、だるさや多少の体重増などなど。
女性ホルモンを飲んでいるのだから仕方がないとは思うんだけど…。
この副作用のせいで敬遠してしまう人も多い。
ただ副作用はずっと続くわけじゃないし、妊娠の恐怖に怯えるのなら薬を飲んで安心した方がいい。
なので私はピルを選んだのだ。
説明を受けてから待合室へ出た。
そしてそのまま龍へ電話をした。
龍「はい」
私「私。あのね、相談があるんだけど」
龍「なに?」
私「今、病院にいるの」
龍「は?なんで?」
私「性病検査。陽性だったの」
龍「・・・・・・」
龍は黙ってしまった。
私は龍以外に関係を持ったことがないので、どこからの感染なのかは龍だって気付いたはずだ。
男性は症状がないので自分では気付かないだろうし、龍のことだからそんなこと考えてもみなかったに決まっている。
私は容赦なく続けた。
私「薬飲んだら治るって。龍の分出してもらうのに許可が必要なの」
龍「なんで?」
私「ここに来るの嫌でしょ?先生が診察券作ったら薬出せるって。それとも来る?」
龍「お前に任せるよ」
私「わかった」
そのまま電話を切った。
受付で龍の診察券を作ると、先生の言う通り2人分の薬を処方してもらえた。
薬代でかなりかかってしまったが仕方がない。
一生懸命働いたアルバイト代でなんとかギリギリ払うことになった。
数日後、龍に薬を渡しに電車に乗った。
龍「これ飲めば治るんだよな?」
私「そう」
龍「絶対だな」
私「ちゃんと一週間分飲めばね。その間は関係を持つのは禁止。意味ないからね」
関係を持つのは私とだけではない。
他の誰とも禁止だと言葉の裏にあったが…龍は気付いているだろうか。
それからきっちり一週間、龍は私に連絡してくることはなかった。
関係を持てなければ私といる価値がないと、そう言われているような気がした。