20150531
Carducci String Quartet

弦楽四重奏曲 第 4番 ニ長調 作品83
弦楽四重奏曲 第 8番 ハ短調 作品110
弦楽四重奏曲 第11番 ヘ短調 作品122

2014年録音
レーベル:Signum

演奏 ☆☆☆☆ (評価は5つ星が満点です)

HMVの解説に拠ると、カルドゥッチ弦楽四重奏団はイギリスの新鋭クヮルテットとして注目を集めているとの事ですが、とても安定していて落ち着き感のある若さが好ましい演奏だと思います。
ショスタコーヴィチ演奏に私が期待する、触れれば指が切れてしまいそうなほどの緊張感とは一線を画す演奏スタイルですが、深刻ではなくともアンサンブルの妙を遺憾なく楽しめる彼らの表現は素晴らしいと感じます。
特にチェロ、ビオラの存在感が高く、低音好きの私にはかなりの好感触でもありますが、突出しているわけでもなく、全体的なアンサンブルのまとまりに乱れや齟齬はありません。
確かに第8番などでは、強奏時の表現が少し荒削りだったり、弱音時の安定感に物足りなさはあるものの、今後全集を予定しているカルドゥッチ弦楽四重奏団のリリースはとても楽しみです。

録音 ☆☆☆☆ (評価は5つ星が満点です)

瑞々しさがある木質系の響きが素晴らしい録音です。
定位も良く、個々の楽器の音の輪郭も、豊かさが感じられながらも滲みはなく、弦楽四重奏としての響きの融和も高いと感じられます。
演奏同様に鋭敏さはなく、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲をリラックスして聴ける仕上がりになっていますが、それでも音響的にも高い満足感が得られる録音だと思います。

(画像をクリックして頂くと、HMVの当該サイトにリンクしています)
20150505

Paul Dombrecht (ob), Marcel Ponseele (ob), Danny Bond (fg),
Chiara Banchini (vn), Richte Van der Meer (vc), Robert Kohnen (cemb)

トリオ・ソナタ 第 4番 ト短調 ZWV181-4
トリオ・ソナタ 第 5番 ヘ長調 ZWV181-5
トリオ・ソナタ 第 6番 ハ短調 ZWV181-6

1988年録音
レーベル:Glossa Cabinet

ゼレンカのトリオ・ソナタ全集のDisk2です。(全集は2枚組CD)
Disk1 トリオ・ソナタ 第 1番 / 第 2番 / 第 3番もご参照下さい。

演奏 ☆☆☆☆☆ (評価は5つ星が満点です)

ゼレンカの楽曲は、本道のバロック音楽の趣がありながらも堅苦しさや変な華美さが鼻につかない深さと接しやすさがあるように感じます。
演奏にもその趣を大切にした雰囲気が漂っていて、決して聴き疲れを起こさせるようなことのない暖かさがあるように思えます。
ファゴットの早いパッセージなどにも技術の素晴らしさを印象づけながらも、技術だけではない楽曲へのアプローチが感じられます。

録音 ☆☆☆☆ (評価は5つ星が満点です)

少しだけチェンバロの存在感が低く感じられなくもありませんが、温度感の高い木管楽器の響きには、奏者の想いが感じられ、それがちゃんと伝わってくる録音です。
定位は明瞭で音の輪郭にも不足はありませんが、個々の楽器の響きには融合感と一体感が備わっており、鋭利ではないふくよかな感触です。

(画像をクリックして頂くと、HMVの当該サイトにリンクしています)


2015年 5月17日(日)
開場14:15 開演15:00
兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール
Neville Marriner指揮

Haydn - 交響曲 第96番 ニ長調『奇蹟』Hob.I.96
Tippett - 2つの弦楽合奏のための協奏曲
Mendelssohn - 交響曲 第 3番 イ短調『スコットランド』作品56

御年90歳のマリナー、グレーのジャケットという比較的フランクな出で立ちでの登場でした。
世界的な成功も収め、高齢にも拘わらず極東の若いメンバーから成るオーケストラに客演してくれるなど、その人となりは尊敬に値すると思います。
そんなマリナーの指揮に応えるべく、オーケストラも充分な演奏をしてくれたと思います。
特にハイドンやティペットの楽曲は、今期とても素晴らしいと感じるPACオケの弦楽陣の魅力が遺憾なく発揮されたと思います。

ティペットの楽曲は弦楽四重奏をCDで持っているだけでしたが、とても興味深くも趣と面白さが高い楽曲でした。
弦楽の配置も両翼配置でコントラバス、チェロが正面奥に左右対称に並んでいました。
複弦楽四重奏を弦楽合奏版にしたような楽曲には創意と工夫が凝らされていて、CDでも聴いてみたいと思える楽曲でしたね。
ショスタコーヴィチと同年代のティペットですが、現代音楽の様相は殆どなく接しやすい印象でしたが、要所要所には古典派やロマン派ではない響きをしっかりと取り入れています。

さて、メインとなるメンデルスゾーンでしたが、残念ながら余り感心できる出だしではなく、今期のPACの美点である弦楽陣の鳴りの良さもヴィオラに関しては今一歩でした。
ヴァイオリン、チェロ、コントラバスは十全なのですが、ヴィオラの音色は少し他の弦楽陣に比べれば聴き劣りを否めません。
課題といえる木管群の存在感の低さも感じられ、皆さん頑張っているのは伝わってきますが、少し弦楽陣に対して音が埋もれがちでした。
それでも曲が進むにつれ演奏はその質が高まり、終演後の拍手は盛大でした。

アンコールにはメンデルスゾーンの交響曲第5番『宗教改革』から第3楽章を演奏してくれました。

聴衆マナーはいつもの通り、決して褒められるものではありませんでしたが、最早慣れてしまって殊更腹が立つ事はなかったのですが、来シーズンこそは最初の定演の際に、音楽を楽しむための最低限のマナーに関して佐渡産からお話いただきたいと思う今日この頃です。