20150314-2

Tetzlaff Quartett

Mendelssohn - 弦楽四重奏曲 第 2番 イ短調 作品13
Berg - 抒情組曲

2013年録音
レーベル:Avi Music

演奏 ☆☆☆☆ (評価は5つ星が満点です)

実を言うと、私はクリスティアン・テツラフはまだしも、妹のターニャ・テツラフのチェロには今一歩感を抱いていて、過去に聴いたテツラフ四重奏団の演奏もそんなには感心していませんでした。
しかしこのアルバムで聴く彼らの演奏は、まるで一皮むけたかのような響きの滑らかさと豊かさ、そして確かなアンサンブルが感じられます。
それはロマン派保守本流のメンデルスゾーンでも、現代物の様相の高いベルクの楽曲でも感じられます。
楽しんで演奏している彼らの微笑みが見えるかのような雰囲気もありますが、その響きには昨今の現代的な四重奏団の持つ洗練された美しさがあります。

録音 
☆☆☆☆ (評価は5つ星が満点です)

派手さを感じることはありませんが、しっかりとした音の輪郭や適度な切れが感じられ、定位も定まった録音だと思います。
左右の広がりも弦楽四重奏として不自然さのない範囲でワイドであり、定位の良さと音の融合感とが巧くバランスしています。
場の雰囲気が伝わってくる実在性も豊かで、楽器の質感が見えるかのようです。
刺激的な成分のない響きながら、都会的で洗練された雰囲気を感じることが出来る好録音だと思います。

(画像をクリックして頂くと、HMVの当該サイトにリンクしています)

 

2015年 3月15日(日)
開場14:15 開演15:00
兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール

Gaetano d’Espinosa 指揮

Rachmanino - ピアノ協奏曲 第 3番 ニ短調 作品30
Lise de la Salle (p)
Sibelius - 交響曲 第 2番 ニ長調 作品43

今月の定演は1978年生まれのイタリア人指揮者ガエタノ・デスピノーサ 、美形のフランス人ピアニスト、リーズ・ドゥ・ラ・サールを招いての比較的ポピュラーな楽曲でした。
リーズ・ドゥ・ラ・サールはショスタコーヴィチの協奏曲のアルバムも持っていますし、2010年8月にシンフォニー・ホールでPMFオーケストラと共演したショパンの第2ピアノ協奏曲も聴いていて、好印象を持っていました。
今回の彼女のピアノには大曲に挑むかのような気迫すら感じられ、以前に感じていた女性らしい可憐さは低かったかも知れませんが、彼女の成長を垣間見れた演奏だったと思います。
ただ、それでもやはりラフマニノフ独特の濃厚さ、重厚さに対しては、女性ならではの域にあったようにも思えます。
アンコールにはバッハのオルガン曲集よりBWV639『主イエス・キリスト、われ汝を呼ぶ』をしっとりと演奏してくれました。
ブログを読み返してみると2010年のPMFオケとのコンサートの際にも同じ曲をアンコールに弾いていたようで、彼女お気に入りの曲なのかも知れません。

シベリウスの第2交響曲は、特に弦楽陣の響きの厚み、美しさが感じられる演奏でした。
まさに『良く鳴っている』と言えるその音色、響きは、CDで聴くヨーロッパの世界的なオーケストラに引けを取らないとの印象を受けました。
ホルンは少し破たんした場面もありましたが、トランペット、トロンボーンも立派な響きで、今年のPACオケの金管群には不安が殆どありません。
交響曲冒頭の特徴的な木管群の音色には、もう少し鮮やかさ、軽やかさは欲しいと感じる部分もありましたが、それでも楽曲の楽しさを損なうようなものでもありませんでした。

そして一番印象的だったのは実はアンコールで演奏してくれた楽曲でした。
デスピノーサ自身の作曲による弦楽合奏曲『アンダンテ・フォー・ドミートリー(ショスタコーヴィチへのオマージュ)』は、バーバーの弦楽のためのアダージョを思わせるとても美しい楽曲でした。
PACオケの特筆すべき出来栄えの弦楽陣によるこのアンコール曲は、まさに今回の定演を締めくくるに相応しい楽曲、出来栄えだったと思います。

1978年生まれのデスピノーサ、かなり気さくな方のようで、アンコール後にはコンサート・マスターをハグする場面もあり、自身の楽曲の日本初演を素晴らしい演奏で行ったPACオケに対して感謝をしていたのでしょう。
PACオケからあれだけの弦楽の美しさを引き出して見せたデスピノーサ、今後注目の指揮者になるように思えます。

さて、今回も聴衆マナーは悪かったです。
いつもの居眠りおばちゃんは開始早々いびきをかくし、飴玉おばちゃんも健在でした。
ラフマニノフの第2楽章冒頭では、かなり長いおしゃべりをしていたおばさんたちもいて、目も当てられない聴衆マナー、流石に後半直前の館員のアナウンスも、その飴玉おばちゃん、おしゃべりおばちゃんの近くで声を大にして一般的な注意として飴玉ごそごそやおしゃべりをしないように注意はしていました。

ただこうも毎回マナーが悪いと、私の方も変に慣れてきてしまい、マナーが悪くとも演奏に集中できるようになってはきましたが...。

20150314

Paavo Järvi指揮
Orchestre De Paris(パリ管弦楽団)

メタボール 2013年録音
ヴァイオリンと管弦楽のための夜想曲『同じ和音の上で』 2012年録音
Christian Tetzlaff (vn)
交響曲 第 1番 2013年録音

レーベル:Waner Erato

演奏 ☆☆☆☆ (評価は5つ星が満点です)

アンリ・デュティユー(Henri Dutilleux, 1916-2013)は、フランスの作曲家ですが、私は初めて聴きました。
現代音楽の様相が全面的ですが、変にグロテスクな部分は少なく、HMVの解説にあるように、フランス近代の流れを汲む精妙な美しさと迫力を兼ね備えたものに思えますが、フランス音楽そのものを余り理解できていないので...。
しかしながらパーヴォ・ヤルヴィの才能の豊かさは確かに感じられ、彼の現代物も初めて聴きましたが、とても上手く楽曲を掴んでいるように感じます。
テツラフをソリストに迎えた『同じ和音の上で』は、協奏曲と言えるほどヴァイオリンが活躍するわけではありませんが、しっかりとした実力者であるテツラフとヤルヴィ、パリ管の役者揃いでの演奏ですので、これまたしっかりとした演奏に思えます。

録音 ☆☆☆☆ (評価は5つ星が満点です)

漆黒の静寂感が背景にありながらも、そこには潤うような音場感もあります。
左右への広がりもワイドで、コントラバスやファゴットの低域の響きにもタイトで弾む豊かさがありとても魅力的な再生音です。
定位も奥行き感も良く、現代音楽を楽しむに必要とされる音響的な愉悦感も高いと思います。

(画像をクリックして頂くと、HMVの当該サイトにリンクしています)