84.6.愛媛県産のオレンジ・ジュースを飲んだ米国人の口から“This isn't orange juice. It's mikan juice


これは、都内在住20年の米国人の発話であった。愛媛県産の“orange juice”と称する缶ジュースであったが、確かにフロリダ・オレンジとカリフォルニア・オレンジの国で本物の orange juice を日本に来るまで35年間毎日飲んでいたこの米国人にとっては、この愛媛県産の缶ジュースは、とてもorange juice とは言えないものであっただろう。たぶん、例えばオレンジ20%、ミカン80%のようなミックスものであったろう。それならそれで、正直に缶のラベルにそう示しておくべきであったのである。

[付]日本のミカンとorangeは別物であるとされていることは、英米人はミカンは美味ではないと思っていることにはならない。小玉で皮もすぐむける(peel)のでいいと言っている人も多い。

84.5. “What is cider made from?”は答えられるか


 この質問の答えは“Apples.”である。この答えを振るセンテンスで表す。

・Cider is made from apples.

 日本で作り売られているものは、「サイダー」と称しているが、これは cider ではない。日本の「サイダー」は英語では a kind of water である。リンゴなど使っていないからである。ciderはリンゴから作られるのである。リンゴを搾(しぼ)り、オsの汁を発酵させたものである。

 戦後、あるいは近年、日本の酒店(liquor shop)か、スーパーでそういう「リンゴ酒」を売っているかどうか知らないが、戦前は「シードル」というフランス語発音で知られていて、わが家でも祖父や祖母がそのしゃれた容器から、ちびりちびり飲んでいたのを私は見ている。「ボクも飲みたい」と言ったら、スプーンに2、3滴入れてなめさせてくれたが、舌がしびれるほど強くて、2度と試してみたいとは思わなかったのである。

 私の英語科生時代の恩師の一人(太田朗先生)は、私たちに英語の講義を初めから終わりまで流暢な英語でされた方であったが、フルブライト留学生としてミシガン大学英語学、言語学科大学院に行かれ、2年後に帰国された直後に、帰朝報告会でご自分の失敗談をされたのであった。

 「夏の暑い日、のどが渇いたので、ソフト・ドリンクのパーラーのようなところに入ってメニューを見ると“cider”と出ているので、“A glass of cider, please.”と言って、出されたものを見ると、日本で言う「サイダー」のように澄んでいなくてドロッとしていたが、とにかく一気にグイッと飲み出したところ、のどがピリピリとして、『これはなんだ』、と思ったのでした。」

[補]もう何年も前のこと、日英語の連想の違いを調べたことがある。
appleに対し、日本人は誰もciderとは言わなかったが、英米人はciderと反応した人が多かった。


84.3. Johnny Appleseed

そもそもリンゴは人間なり人類の歴史において古代からあるもので、リンゴを表わす語は古期英語にもあるし、そのもとである古期ドイツ語、更に古典ラテン語にもあり、更に遡ることができよう。ヘブライ語にもあるし、ヘブライ語で書かれた聖書にも登場してくる。

つまり、英国人やオランダ人たちが旧大陸から大西洋を渡って北米大陸にもたらしたものであろう。

そのリンゴの種子を米国の各所にまいた人がいる。米国では伝説の Jonny Appleseedと呼ばれ、その本名は John Chapman(1774~1845)である。



84.4. What is the color of apples?

ある小学生向けの英語教本に次のようなやり取りが出ていたが、これは呑気すぎる。

A:What is the color of apples?
B:They are red.

赤くないリンゴ、つまり緑色や黄色のものもあるからである。