84.1.apple(s)をめぐって


私は果物は、甘いのより酸味のあるほうが好きで、一番食べているのはgrape-fruit、次がリンゴ、ぶどう、ミカンといった順であろうか。

江戸時代に日本にリンゴがあったのかどうか、私には未詳であるが、リンゴと言うと、青森、長野、岩手あたりが産地であろうか。昔なにかで知ったのだが、そしてそれが史実であるかどうか確信は持てないが、明治時代に来日した米国の宣教師が、弘前あたりにリンゴを持って来て、それ以後リンゴの栽培が始まったとか。

この頃の日本のリンゴは大玉で甘くて私は好きではない。小玉で酸味の強い紅玉が私には合うのである。

米国によく出かけるようになって、それが晩秋とか冬の場合は、向こうでもよくリンゴを食べていたが、日本の昔のリンゴの味をがして懐かしい。

日本人はリンゴを洗って皮をむいて食べている人が多いが、米国人皮もむかず洗いもしないで丸かじりしている人が多い。米国人の多くは、洗わない代わりにリンゴをセーター、ズボン、スカートなどで磨いて(polish)食べているのを何回も見かけたものである。私に言わせれば、あれはほこり(dust)をリンゴの皮にすりこんでいるも同然である。



84.2.apple-polisher

米国人のこの習慣を表す複合語がある。apple-polisher(s)で、<人に媚(こ)びる;へつらう人>のことである。

・Jane is an apple-polisher with her history teacher.

83.柿(persimmon)をめぐって


日本の秋の果物というと「梨」「柿」、それに「栗」であろうか。梨のほうが柿よりみずみずしいが、何かで読んだことには、柿のほうが栄養があるらしい。また、柿には「干柿」というのもある。

旧制中学一年の時、私の母(東京女子師範学校出身で、その前には高等女学校で英語を習い、その頃近所のイギリス人に少し習ったことがある)から少し英語の復習をしてもらったのであるが、「柿=persimmon」と習ったものである。

米国人何人かにpersimmonという果物を知っているかと訊ねてみたことがある。みんなその名前は聞いたことがあるが、実物を見たことも食べたこともない、と言うのである。

下記は熟していないと「渋い」のであるが、コレに当たる形容詞を私はいまだに知らない。<柿が渋い>ことと関係なく“shibui”という日本語は一部の英米人に知られていて、それは味覚の「渋い」ではなく、お寺の雰囲気や仏像や庭園について、彼らが“shibui”を連発しているのを聞いたことが何回かある。

[付]後年、ロンドンに1ヶ月ほど滞在していた時、市場で柿を売っているのを見かけたが、from Spainと書かれていた。店員に何か訊いておけばよかった。

82.2. grape hunting/hunting for grapesとは?


ある時、文部省の各教科の調査官が土曜朝早く甲州街道(中央高速)を甲府近くの温泉まで行き、その夜はそこで泊まり、翌日昼過ぎに現地解散となった。私は往きを、みなと一緒にバスに乗らず、マイカーで行き、私はお酒は飲まないので、英語科調査官だけが私の乗用車に便乗して帰京したのであった。

この帰京のドライブの道中に、次のような看板がいくつか目についたのである。

・ぶどう狩りできます

私はそこで、「『ぶどう狩り』のことは英語でどう表したらいいのだろう、grape huntingでいいのかな・・・」と考え、その晩友人であるネイティブ・スピーカーに go grape-hunting と言えるか、そしてそれは「ぶどう園」でぶどうを摘むことであるかと訊いたところ、「ぶどう園」でとる時は、別にhunting(獲物がいるかどうか探す)ではなく、たくさん実っているのを、ただpick upするだけだから、grape-pickingである、と説明してくれたのである。

「ぶどう狩りできます」というポスターを英訳すれば、次のようにでもなるである。

・Come and enjoy grape-picking in Our Vineyard!

一方、go grape-hunting のほうは、野山や林に分け入って、<野ぶどう(きぶどうとも言う)がないか、あちこち探しまわる>ことである。