87.2.複数名詞refreshmentsというもの


名詞refreshment(s)は動詞refreshから来た語であることは、高校卒の者なら誰でも知っていることである。

まず動詞refreshであるが、語形成的には<re->+<fresh>である。日本語では、「リフレッシュする」「」リフレッシュした」「きれいさっぱりする」などと言っているので、この「する」に引かれて、私は初めつい、freshはてっきり動詞だと思ったものの、念のため英英辞典2、3冊でfreshには動名詞用法はない(近世英語期にはあったようであるが、動詞は現代英語ではfreshenという形で使っている)。

freshは形容詞なのである。しかし、これにre-(再び)という接頭辞をつけてrefreshとすると、動詞として使うことが出来るのである。

動詞refreshの意味は、<疲れたり飽きてきたりした状態をいい気分にする>ということである。

それを名詞refreshmentにすると<回復すること>という意味になることは、日本人として分からないことではない。

更に名詞複数形refreshmentsとすると、<疲れた体や気分転換が必要な心を回復させる食物、飲み物>という具体名詞になり、複数形にしてあるのは、それにいろいろの飲食物があるということを示している、と私には見えるのである。

このrefreshmensという語に初めて接したのは、米国での幼少児国際学会に招待されて出席した時、セッションの合間に coffee breakがあり、そのアナウンスの時に、

Refreshments are to be served and you are welcome to it.”

という英語文を聞いたからであり、この語の意味もその時の場面状況ですぐそれと分かったのである。


87.1.snack; snack bar


カタカナ語「スナック」という日本語が戦前と戦時中にあったかどうか私は知らない。私が知らなかっただけかもしれない。その私が戦後、それも終戦の日から9ヶ月くらいした、つまり1946年5月頃、その頃(まだ旧制中学5年生であった)私は街で知り合い交際を始めていた米軍の若き将校がある日の午後4時頃、次のように言ったのである。

A: Aren't you hungry, Linju?
O: Yes, a bit.
A: Okay, let's go to one of our PX's.
O: What's a PX?
A: It's a kinda snack bar. We can drink and have some snack in there.
O: What is a snack? It's the first time I've ever heard the word 'snack.'
A: Well, 'snack' is a quick light meal, like sandwiches, a hot dog, fried potatoes, ice-cream, soda, coca-cola.
O: Oh, they also serve alcolic drinks? You said a snack bar. Isn't a snack bar a kind of bar where alcolic drinks are served?
A: The 'bar' in the word 'snack bar' has nothing to do with liquor bars.
O: I have another question. You also mentioned something like hot dog asa name of the foods served in a snack bar. What is hot dog? You American people eat dog meat? I can't believe it. I hear some Chinese and Korean people eat dogs, though.
A: No, never. 'Hot dog' doesn't mean do meat.

このようなやり取りで、snackとはいわば軽食で、その内容にはいろいろあることが分かった。この米国人の説明文中の coca-cola もその時初めて飲んだものであり、hot dogもその時初めて食べて、太いソーセージであることがわかったのである。

なおこの時連れて行ってもらった米軍のスナックバーで、hamburgerがあったのかどうかは、私には分からない。とにかく、hot dogは食べたのである。

[注]snackという語の響きから、私などは<速い動き>をイメージしてしまう。この語のどこからそういうイメージがわくのかと言えば、語頭の sn-の部分で、他のsnap, sneak, sneeze, snort(荒い鼻息を出す)などは、みな速いとか、さっとすますとか、突然発するという響きを含んだ語であるからである。こういう事象を、sound symbolismと呼ぶ学者もいる。


86.「ジュースが飲みたい」を英語で表わせるか


私が旧制高校生以降に買った専門書、関連教養書は、主に洋書であるが、数千冊、いやほぼ一万冊はあるであろうが、私はこれらの本の山の中で日々暮らしていて、またその中で寝ているのである。

この莫大な洋書の山の中に、英米で買い集めた絵本、絵入り辞典、児童やローティーン・レベルの物語類がある。これらは私の基礎英語知識力を固めるためのものでもあった。

そういう児童ものの本の乱読によって、どれほど基本語について私は知り得たことであろう。

例えば、カタカタの「ヒップ」を英語のhipは違う。「ボート」とboatもズレている。太陽(the sun)の色はyellowで描かれている、などなど。

もう50年も前のこと、こういう本国人の児童(native-speaking children)向きのpicture dictionaryをパラパラとページをくって拾い読みをしていたところ、juiceとその説明図が私の目に止まったのである。鉄板皿の上に牛肉が一切れのっていて、この肉片のまわりに液体がにじみ出ていて、それをjuiceと示していたのであった。それまでも私は、当然juicy beefという表現は知ってはいたが、いわゆる「肉汁」をただjuiceと表わしているのが興味深かったのである。

そして私は一方では英米人と<語学的対話?>は年中していて、その中である時、「日本人は果物のジュースをただjuiceが飲みたい、と言うが、これは変である。英語では具体的に、orange juice, grapefruit juice, apple juice, pine-apple juiceなどと表わしている。まあまずfruit juiceと言っても通じるであろうが、結局はどのfruitのジュースか言わざるを得なくなるのである・・・」

これを要するに、juiceという語は「ジュース」より広義である、ということである。したがって、I want to drink juice.などというのは、日本人式英語である、ということになる。


[小山田注]juiceは「100%果汁」の飲み物なので、通常のいわゆる「ジュース」はsoft drinkです(このことも、以前小笠原先生に伺いました)。