第1回 本は買う? 図書館で借りる? ーー或いは本棚について | 文学どうでしょう

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立宮翔太の読書ブログです。
日々読んだ本を紹介しています。

〈本をめぐる冒険〉の記念すべき第1回は、本は買うか、図書館で借りるかです。さあみなさんはどっち? 早速コメントの方どぞー。

買っている人と図書館で借りている人はどっちが多いんでしょう。わくわくです。これ気になるところです。いや、あれですね、コメントがなかったらちょっと悲しいですね。まあそんな時はそっとしておいてください。

本は買うべきかどうか。ぼく自身の結論から言うとですね、どっちでもいいんです。「えええ、まさかの投げやり!?」と思った方。あわてないあわてないぽくぽくぽく、です。もうちょっと詳しく言うと、どちらが自分にとってストレスがかからないかということが重要になります。

実は本を買うか、図書館を使うかというのは二者択一の問題ではない部分があります。世の中には買えない本というのがあります。文学全集や辞典など、値段が高くてとても買えない本、古い雑誌、絶版になっている小説などなど。図書館は利用方法を覚えるとかなり便利ですよ。

古い文学作品などが好きな場合、本屋を探すより、図書館で探した方が早い場合があります。特に全集や古い岩波文庫など。その方がストレスがかからない。

一方、図書館で新刊のベストセラーを読もうとすると、予約が殺到していてなかなか順番が回ってきませんよね。新刊を多く読む人は、本屋さんで買ってしまった方がストレスがないはずです。

自分がどれだけ本を読むか、またその本を買いたいというこだわりがあるかどうかを考えながら、時には本を買い、時には図書館を使うという方法がベストではないかと思います。新刊だけ買って、同じ作者の本を図書館で借りて読むなど。

というわけで、結論としてはどっちでもいいということになります。自分にとってあう方を選んでいればそれで正解です。本を買うことのメリットについては、また第2回でも少し扱います。

さてさて、ここからはぼく自身の経験談なので、興味のある方だけどぞー。

ぼく自身のことを書くと、高校生から大学生にかけての学生時代は絶対買わなきゃ気が済まなかったんです。今思うとなんでだか不思議です。友達から借りるのもダメでした。本を所有することにすごくこだわっていたんです。

だから本は絶対買ってました。本は買うといくつか楽しみがあるんです。まず買う時の楽しみ。どれを買おうかなあというわくわくがあります。

それから本棚に並べる楽しみ。これ結構楽しいんです。作者順で並べたり、岩波文庫の赤帯だけ揃えてむふふと笑ったり。本棚を見ればその人のことが分かるという言葉がある、かどうか知りませんが、なんとなくそんな気がします。

そして読む本を選ぶ楽しみ。自分の本棚から読む本を選ぶ時にも、なんともいえない楽しみがあるんです。あれ読んで、それからこれ読んでとにやにやしてました。

学生時代に本を買うとなると、予算の都合上、文庫本が多くなります。ぼくがその当時好きだったのが新潮文庫です。今もありますが、ヨンダクラブというのがあって、カバーについているマークを集めると景品がもらえるんです。ぼくは文豪リストウォッチというのが欲しくて、新潮文庫を片っ端から読んでいくようになりました。

ジャンルにこだわらず読んでいたことが、読書の幅の広がりになったと思います。

その後、2つのことがきっかけで、ぼくは図書館を主に使うようになります。今はもう違う仕事をしていますが、1つは司書として図書館で働くようになったこと、もう1つは読む本が『源氏物語』など古典文学作品になったこと。

その当時はかなりの蔵書量を誇っていたと思いますが、それに見合った本棚や部屋の広さではなかった上に、読み終わった本も所有し続けていたので、部屋のあちこちにダンボール箱が置いてあるという状態だったんです。

すると、読みたい本がどこにあるか探せないんです(笑)。もう図書館で予約した方が早いんです。この時から徐々に図書館を自分の家の本棚のように考えるようになって、引越しの度に本を捨てていって、今は洋書は多少残ってますが、日本語の本はほとんど持ってないです。

それから、古典文学作品を読もうとすると、やっぱり色々な全集を読み比べる必要性があって、それをとても全部は買えない。本を所有するというこだわりと捨てると、図書館のよさが色々分かってきます。

ベストセラーや新刊にこだわらなければ、図書館はかなりストレスがないです。読みたい本がすぐ手に入ります。わりと図書館が近くにあるというのもあるかもしれません。

まず透明なカバーでコーティングされているので、ブックカバーがいりません。それからこれは人にとっては嫌な要素かもしれませんが、返却日があることです。

どこかでも書きましたが、実はぼくは放っておくと本を読まない人間なんです。そこでこうしたブログなんかを書くことで、ある種の義務にして本を読むようにしているんです。好きなことは好きなので。

ぼくの場合、その日までに読まなければならないというのはいい刺激になっていて、本を読む力のガソリンになります。本を買っていた時代は、読むよりも買う方が多くて、やっぱり積んである本が多かったんです。図書館を使うようになってからは、読むぞと決めた本はわりと高確率で読めているように思います。

ぼくが図書館を使っていてストレスになるのは、何巻もある本の場合。そういうのは買った方がいいかもしれません。トルストイの『戦争と平和』の3巻だけ借りられているとかそういうことがあります。

あと6冊とか同じシリーズを借りると、当然他の本を借りる冊数が減るので、そういうのもストレスになります。

ぼくはブログを始めて多少変わりましたが、読書のスタンスとしては、書き込みはしないし、基本的に読んだ本は読み返さないので、図書館利用がかなりあってます。部屋も広く使えますしね。何度も読む本、たとえばブックガイドなどは、買った方がコストパフォーマンス的によいかもしれません。

そうそう、豆知識ですが、図書館に所蔵がない本は、基本的に取り寄せてもらえるシステムになっているはずです。相互に協定を結んだりしているので。古い本で読みたい本が図書館にない場合、一度窓口で相談してみるとよいですよ。ぼくもリクエストを出して、買ってもらったり他の区から借りてもらったりしています。

図書館は使いようによってはかなり使えるので、一度近くの図書館に行ってみるとよいかもしれません。

次回は、「本に線は引く? ーードッグイヤーと文学研究」です。来週の週末に書きますね。


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