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アニー・M・G・シュミット『アーベルチェの冒険』(岩波少年文庫)を読みました。
オランダでは有名な児童文学らしいです。きりぎりすさんのブログで紹介されていた本です。
主人公はタイトルの通り、アーベルチェという少年なのですが、デパートでエレベーターボーイとして、働くことになります。
エレベーターには当然行き先ボタンがついてるわけですが、一番上に小さなみどり色のボタンがついてるんです。押したらどうなるんだろう? と当然思いますよね。
アーベルチェも思うわけです。押してみたいなあと。でも5階のボタンを押さなくっちゃ。ああでも押してみたいなあ。むむむ・・・。ぽちり。
すると次の瞬間、エレベーターは急上昇して、デパートの屋上を突き破り、はるか上空にいってしまいます。そこから、エレベーターでの冒険が始まります。
エレベーターの中に入っていたのは、アーベルチェと、女の子と、歌の先生をしている女性と、虫よけ玉を売っている男性の4人。
エレベーターは、上のボタンを押したら浮かび、下のボタンを押すと着陸できるわけですが、移動はコントロールできないんです。そして4人はニューヨークへ行ったり、南アフリカの国へ行ったり、ニュージーランドへ行ったりします。
行く先々で、大金持ちのこどもに間違えられたり、プロポーズされたり、大統領に祭り上げられたり、などなど様々な騒動を巻き起こします。4人は果たして、無事にオランダに帰ることができるのか? というお話です。
オランダの児童文学なので、行く先々で言語が通じないのが個人的には面白かったです。語学マニアとしては。英語もできないわけで。あと女の子の飼っている、逆立ちするウサギもよかったなあ。
物語のイメージとしては、『ドラえもん』のタイムマシンでの冒険を思い出してもらえれば、大体あってますね。『ドラえもん』は時空を超え、こちらは違う国へ行くわけです。どちらもアイデンティティーとしては、それぞれ「現在いる場所の自分」と「自分の国にいた自分」というのがあるわけです。
『アーベルチェの冒険』では、結婚を申し込まれたり、身分の変化のチャンスはあるわけですが、どれも本当の現実、つまり「自分の国にいた自分」とは結びつかないんですね。
あくまで「現在いる場所の自分」としての出来事なわけです。ダメになったらエレベーターで逃げ出せばいいわけで。ずるいっちゃずるいですよね。
すぐに自分の本来のアイデンティティーを取り戻します。大統領だった人が、また虫よけ玉を売っている人に戻ってしまう。まるで悪い夢でも見ていたかのように。
そうした、ハチャメチャな展開になると、特にこどもを探している大金持ちの所とか、振り回される現地の人がかわいそうだなあというのがありましたが、その辺はさすがにうまくバランスとっていましたね。
個人的には、主人公にもっとくせのあるキャラクター性とかがあるともっとよかったかなあと思いましたが、エレベーターに乗って、世界を冒険する話に興味のある人におすすめの一冊です。
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リンクですが、『ビルとテッドの地獄旅行』という映画があるんですよ。
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シリーズなので、『ビルとテッドの大冒険』から見た方がいいかもしれませんが、これは面白いです。B級おバカ映画なんですが、一応キアヌ・リーブスが出てます。
たしかタイム・マシーンがエレベーターっぽい形をしてました。はい、それだけです(笑)。B級映画がお好きな人はぜひぜひ探してみてください。