(2022年9月5日のネトレプコ: ウクライナ戦争後、ウィーンに初めて復帰したラ・ボエーム公演)


ネトレプコがコロナ禍とウクライナ戦争問題を経て6年ぶりに、来年2月に米国・フロリダのパームビーチ・オペラでリサイタルを実施することがNYタイムスで話題になってます。


ネトレプコは過去に某大統領を支持したことを理由に2022年2月のウクライナ戦争後、多くのオペラハウスで出演を見合わせていましたが、同じ年の夏からヨーロッパでオペラ復帰し、日本でもリサイタルが行われて、来年4月にはサントリーホールでリサイタルが実施される予定です。一方で、NYのMETオペラを率いるピーター・ゲルプ総裁はこの米国復帰を非難しています。ネトレプコはNYのリバーサイドの大きなコンドミニアムを購入していたので、NYに復帰したいはずですが、ゲルプ総裁の意向で、METオペラの復帰はしばらくないでしょう。このゲルプの判断にはかなり違和感があります。まず、ネトレプコは数度にわたって、ウクライナ戦争を非難しています。現在進行中のパリ五輪では、個人選手として中立的なロシア人選手の参加は認められています(親政府側の選手は認められていません)。この判断同様に、ネトレプコは今は中立的なので、世界的に活動しても良いはずですが、METオペラに復帰できないのは、ゲルプ総裁の祖父母がウクライナとチェコ出身のユダヤ人で、ウクライナ問題について、かなり厳しく捉えているからでしょう。ゲルプは今年の6月26日のMETオーケストラ来日公演で、サントリーホールの1階15列16番の席に偉そうに座ってましたが、METオペラを衰退化させた張本人で個人的には好きではありません↓。今回のネトレプコへの判断もゲルプの個人的な出自が影響していて、不公平な判断だと思います。


これを受けて、ネトレプコはゲルブ総裁中はMETオペラに出演しないと自身で行っていますが、筆者も今のMETには魅力を感じておりませんし、6月のMETオーケストラのマーラーは駄演でしたので(先月のPMFオーケストラの方が上手でした)、ゲルプ総裁中はMETに行かないつもりです。


現在進行中のパリ五輪では、イスラエルは国家として正式に出場していますが、ICJ(国際司法裁判所)は「イスラエルはガザでジェノサイドと認定し、国際法違反」としているのに対して、何故、イスラエルは参加できて、ロシアとベラルーシは正式に参加できないのか、矛盾を感じます↓。


以前にも申し上げましたが、アーティストやスポーツ選手を政治問題に巻き込まないで欲しいと思っております↓。