(2/22のミュンフン指揮・東京フィルの定期公演)


5/15と5/17のグレゴリアンのコンサートは東京フィルでしたが、見たことの無いメンバーばかりで、グレゴリアンの美声が活かされない箇所が散見されました。グレゴリアンが怒ってないか、この8月に本人に確認したいくらい酷かったです。東京フィルのコンマスは3人体制(全員男性)ですが、グレゴリアンの公演では女性の枝並さんと言うフリーランスの方がコンミスをされてました。正コンマスやゲストコンマスの肩書きが無い方がコンマスをやるのは珍しいと思いますが、彼女はポップス系のコンサートのコンミスをされている印象があります。このグリゴリアンのコンサート前後には東京フィルは大稼働しており、 

① 5/7-11のミュンフン指揮の韓国ツアー(5/12に帰国)

② 5/16-29の新国立劇場の「椿姫」(5/14がゲネプロ)

③ 5/15と5/19の「午後のコンサート」

④ 5/15と5/17のグレゴリアンのコンサート

と4つのプロジェクトが少なくともありました。そのため、先週は、少なくとも3つの体制で公演を行っていたと思われます。①の韓国ツアーで乗っていた実力のある某首席奏者は韓国から帰国後の残りのコンサートには乗ってませんし、今月は定期演奏会が無いので韓国ツアーしか乗らないらしいです。東京フィルはHP上では160名のメンバーがいると書いてありますが↓、上記の本番をこなすのは160名ではどう考えても対応できず、多くのエキストラや団友らが乗ることになります。


東京フィルは国や自治体からの補助金が減り、多くの公演をこなすことで、160名のメンバーを支えていく経営手法としては理解できますが、本来のオケの姿としてはどうなのでしょうか。東京フィルの事業部の方に聞いた話では「東京フィルは編成のレベルを均等にして保つようにしているので、オペラなどで批判される」と言ってましたが、前半部分は本当なのでしょうか(後半の批判される部分は合ってます)。また、同じ事業部の方は「東京フィルと新星日響と合併したので、2つの部隊で活動している」と言ってましたが、合併したのは23年前の話で、この間に徐々に人員整理をして、1つのグループで活動すれば良かったと思いますが、人数がむしろ少し増えて、上記のように3つのグループで演奏活動しているので、事業部の方の主張は大いなる矛盾であります。例えば、2月のミュンフン定期公演や5月の韓国公演は筆者の知っている範囲ですと、1軍レベルのメンバーが乗っていて、新国立劇場やグレゴリアンは2軍・3軍のような気がします。3軍はポップス系のオケレベルと近いイメージです。こうなると、もはや、1つのオケとしてカウント(認識)できませんし、オケの個性やキャラクターが無くなり、組織能力は落ちてしまいます。例えば、N響ならドイツ音楽が強いとか、都響はマーラーが得意などの個性がありますが、東京フィルにはあまり無いと思います。さらに、東京フィルは「日本で最も古い歴史と伝統を誇るオーケストラ」と書いてありますが、オケとして受け継がれる伝統やDNAは薄くなっているでしょう。ベルリン・フィルではカラヤン時代の作品解釈や演奏技法などが代々と受け継がれてますし、N響と共演する指揮者は「サヴァリッシュの音がする」と言う人もいます。これがオケの伝統とDNAであり、個性や特色が無いオケは魅力に欠けます。毎日のように同じメンバーが稽古場やホールなどで一緒に会話することで、伝統が受け継がれていくものです。上記の理由から東京フィルの1軍でも大したコンサートでないことが多く、今の東京フィルは3つの別人格のオケの総称として捉えることしかできません。音楽マネジメント会社の方には、グレゴリアンのような超一流の歌手が出演する場合は東京フィルを避けてもらいたいです。新国立劇場の7割を担当する東京フィル公演にも行きたくなくなります。筆者の手持ちの東京フィルのチケットはありますが、今後は、よっぽどのことが無い限り、東京フィルのコンサートに行かないようにしたいと思います。こんなオケは海外に他にあるのでしょうか。ボストン響とボストン・ポップスのように名称が異なる事例があるように、3つのグループの名称をそれぞれ変えてもらった方が、こちらとしてはありがたいですし、法人格としての東京フィルでそのまま運営することは可能であると思います。


《追記》

これだけ書いても本ブログの意図を読解できない方がいるので、補足しますが、2月のミュンフン指揮の定期演奏会でも駄演だったと思います↓。東京フィルの1軍レベルでも、多くのエキストラによるキズなどがあり、伝統・技術継承面などの点で世界基準で体をなしていないことを主張しております。つまりオーケストラの組織論として微妙な形態であることを言っているのです。