一昨日に続いて、グレゴリアンの2日目(Bプロ)のコンサートです。前半の曲目は一昨日と同じで、↓下記のブログに詳細を書きました。
今日の前半は前回と比べて、疲れがとれたのか、ややリラックスして、余裕のある歌唱でした。特に、ルサルカとオネーギンは何度も聴きたいくらい素晴らしい歌声でした。
後半の注目は重量級の「エレクトラ」と「サロメ」ですが、両方ともザルツブルク音楽祭のオペラで最前列で鑑賞しましまたが、2021年の「エレクトラ」は主役を喰ってしまうほどの存在感でした。2018年の「サロメ」は狂気的な演技を含めて、完璧な歌唱で、この時に世界的に脚光を浴びて、今は世界中で売れっ子歌手になりました。他のブログでは、サロメが物足りないと言う方がいますが、コンサート形式だから仕方ないでしょう。彼女のオペラの演技は海外でないと観れませんが、サロメは演技があって本領発揮できるものであり、日本で流行しているオペラの演奏会形式やコンサート形式では、オペラ歌手の醍醐味は体感できません。このような的外れな議論は日本のクラシック界がガラパゴス化している証左ですが、日本フィルもオペラ演奏会形式シリーズをやるそうで、オペラ演奏会形式がさらに活発化するのを憂います。オペラ劇場ではオーケストラの後ろの舞台から歌うわけですが、大オーケストラの音を悠々と乗り越えてくる圧倒的な声量で聴けるところも素晴らしい点なんです。こう言う点も含めて、日本のオペラ演奏会形式は見直した方が良いと思います(この見解に賛同されない方は、当ブログをおすすめしませんので、ガラパゴス音楽評論家・ブロガーの記事などをお楽しみ頂いた方が良いでしょう)。肝心の「エレクトラ」と「サロメ」はスコアありで歌っていたのが意外でした。何度もヨーロッパで歌っている曲なのですが、念のためと言うことでしょうか。サロメのモノローグの長曲は圧巻でしたが、やはりこの曲はオペラでの演技あって本領発揮できるものだと思います。サロメで歌い切った感があり、アンコールは今日はありませんでした。今が絶好調のグレゴリアンの魅力を集中して鑑賞できて本当に良かったです。彼女の歌唱コントロール能力は異次元で、演技力は抜群、強靭な声を出す歌手とは思えないくらい素晴らしい容姿・スタイルで、世界的にも稀有なソプラノ歌手だと思います。次回は8月のザルツブルク音楽祭でグレゴリアンを3回聴く予定です。
しかし、今回の東京フィルはどこのメンバーなのでしょう。コンマスは男性3人体制なのに、女性コンマスでしたが、この方はフリーランスの枝並さんと言う方でポピュラー音楽コンサートのコンミスを主にやっていて、オペラには慣れてなさそうですし、他のメンバーも見たことない方ばかりです。ちょうど、東京フィルは先週末まではミュンフンと韓国ツアー、新国立劇場で「椿姫」(5/16初日)を公演中および「コジ」をリハ中(5/30初日)、5/15から19は「午後のコンサート」がありますので、今回はエキストラ的なメンバーが多かったように思います。これだけ各地で公演を同時にやっていると、東京フィルのブランドとクオリティが管理できていない状態になるでしょう。今日のオルガンもケチってるように思えますし、東京フィルはツッコミどころ満載でした(このテーマはいずれ、当ブログで取り上げます)。指揮者とオケが今回のコンサートの玉に瑕で、超一流の歌手の時は最低でも東京シティや新日本フィルの方がトラが少なく安定感があるのではないでしょうか。
今回の東京公演では両日ともに残席が目立ちましたが、再来週の5/28にはウィーン国立歌劇場でグリゴリアンのリサイタルがあり、こちらは既にチケット完売です↓。
(評価)★★★★ 今日もグレゴリアンの圧倒的な歌唱を堪能できました
—
*勝手ながら5段階評価でレビューしております
★★★★★: 一生の記憶に残るレベルの超名演
★★★★:大満足、年間ベスト10ノミネート対象
★★★: 満足、行って良かった公演
★★: 不満足、行かなければ良かった公演
★: 話にならない休憩中に帰りたくなる公演
—
【第一部】
アントニン・ドヴォルザーク作曲
―歌劇「ルサルカ」
序曲
“月に寄せる歌”
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー作曲
―弦楽のためのエレジー「イワン・サマーリンの思い出」
―歌劇「エフゲニー・オネーギン」
タチアーナの手紙の場 “私は死んでも良いのです”
ポロネーズ
―歌劇「スペードの女王」
“もうかれこれ真夜中...ああ、悲しみで疲れ切ってしまった”
アルメン・ティグラニアン作曲
―歌劇「アヌッシュ」
“かつて柳の木があった”
【第二部】
アラム・ハチャトゥリアン作曲
―「スパルタクス」
スパルタクスとフリーギアのアダージオ
リヒャルト・シュトラウス作曲
―楽劇「エレクトラ」
クリソテミスのモノローグ “私は座っていることもできないし、飲んでいることもできない”
―楽劇「サロメ」
七つのヴェールの踊り
サロメのモノローグ “ああ! ヨカナーン、お前の唇に口づけをしたわ”