昨日、発表されたザルツブルク音楽祭のオペラのチケット最高値は€435で約67000円、NBSが発表した来年6月の英国ロイヤルオペラ来日公演のS席が72000円で、7万円の大台を超えた上に、今年のローマ歌劇場の豪華歌手と比べると、やや小粒の歌手陣なので行くかどうか迷います。パッハーノが音楽監督として、最後のロイヤルオペラ来日公演となってますが、 NBSがこれ以降、ミラノ・スカラ座などの一流オペラ来日公演は予定はまだあまりなく、日本で本格的なオペラが観れなくなってしまいます(ウクライナ歌劇場などの仕入れ価格が安い海外オペラは来日するようです)。国内最大のオペラカンパニーである新国立劇場は、半分が税金で賄われているものの、今シーズンは魅力的なオペラ公演は少ない上に、チケット代が高くなり、予想通り、完売している公演は今のところなく、D席以外は全部空いている公演ばかりです。一方でバレエ部門は、今シーズンはバレエは新作がなく、これはアーティストとしての創作活動を奪われてしまうので、可哀想です。新国立劇場のオペラ部門のチケット収入が減少しているため、財政状況がさらに悪化して、来シーズン以降も魅力的な公演は少なくなるのではと予想します。以前、新国立劇場のオワコン化について書いたブログはこちらになります↓。こうなると、本格的なオペラを観るためにはヨーロッパに行かないと観れなくなります。


日本の伝統芸能を担う国立劇場は今年10月に閉館し、建て替え工事の予定ですが、工事の落札がうまくいかず、大阪関西万博のように難航しています。さらに、今年は国内の舞台総合芸術の世界ではスキャンダルが目立ちました。歌舞伎の世界では、市川猿之助さんが自殺未遂と自殺幇助罪になり、役者と演出の二刀流で、稀有な才能を持った猿之助さんの作品が観れないのは残念です。このきっかけになった週刊誌報道の1週間前に、赤坂の高級和食店で猿之助さんは某女性歌手と今後の舞台演出の企画の話をされていました。その時は猿之助さんはパートナーの男性とお揃いの青色の髪の毛に染めて元気だったのですが、まさかの事件が起こり、筆者はかなり驚きました。日本の舞台芸術の世界で言うと、極め付けは、宝塚のパワハラ・自殺問題は深刻で、公演中止が続いています。こうしてみると、今後の日本の総合芸術の世界は大丈夫なのかと不安になりますが、クラシックの世界ではコンサート派の方の方が多いので、この点はあまり影響はないのでしょうか。日本と逆の傾向なのがフランスで、パリでは歌や踊りがある舞台モノの方が人気なので、オペラ座は2つの劇場があり、シャトレ座やシャンゼリゼ劇場などの名門劇場が多い一方で、名門コンサートホールは1つくらいで、プロ・オーケストラの数も東京に比べたら少ないので、パリと東京は逆の関係にあります。日本では、舞台芸術ものよりはコンサートものがサステイナブルな可能性があります。