(ある音楽評論家のブログで大絶賛されたブルックナー5番のコンサート。内容はイマイチでした。)


各社の報道で、今日からステルスマーケティング規制(景品表示法改正)が始まります。クラシック音楽業界で言うと、主催者の音楽事業者が音楽評論家やブロガーらに無料でチケットを渡して、宣伝することなどを禁じるものです。音楽事業者側がはっきりと宣伝するようにお願いしたかの蓋然性の判断が難しい場合でも(忖度する場合も含まれます)、弁護士の見解では「PR」「広告」のように広告と分かるように明示した方が安全とのことです。と言うのも、ステマ規制は今日から始まりますが、過去に掲載されている全ての投稿も規制の対象になり、記憶が曖昧な古い話で覚えてない時は、投稿を削除するまたは「PR」と記載する方が良いのです。また、上記のNHKの報道では例えば、従業員や取り引き先の関係者、インフルエンサーなどが行った投稿では、明示的に依頼や指示を行わず、金銭や物品などの対価を与えていない場合でも広告主の意図が反映されていると判断されれば『事業者の表示』として認定される」となってます。招待券を貰っていなくても、「音楽事業者」の意図が反映されてるとアウトと言うのは厳しい運用ですね。この規制はグレーな部分や線引きが難しいので、先の消費者法に詳しい弁護士が言うのは、安全策として「PR」と記載した方が良いとのことです。罰せられるのは音楽事業者で、コンサート感想を書いた音楽評論家やブロガーは罰せられません。今回の規制では事業者(広告主)に同法の違反行為が確認された場合、消費者庁が再発防止措置を命じ、企業名も公表されます。従わなければ、2年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されます。もう少し詳しい解説はこちらです。

 

SNS上で広告のような投稿が乱発していることから、今日の規制強化に繋がったわけですが、2年前から若い女性らがインスタグラムで、飲食店から食事や飲み物を無料で提供されて投稿する場合は必ずタイトルに「タイアップ投稿」と書くのが義務化されています。しかし、クラシック界ではインフルエンサー・マーケティングの常識が浸透していないような気がします。例えば、毎日のようにコンサートに通っている下記の音楽評論家のブログを読んで、筆者は翌日の同じコンサートに行ったのですが、コンサートの内容は個人的には酷かったです。

この方が過去最高のブルックナー体験だと書いた上で、ブログの終わりにはこのようなことが書いてありました。

今日26日(月)午後7時から、サントリーホールでも公演がある。チケットは開演30分前までWEBで発売中。ブルックナーファンにはぜひ聴いていただきたいコンサートだ。第978回定期演奏会Bシリーズ │ 東京都交響楽団 (tmso.or.jp)    

写真:©都響』(23年10月1日13:00時点)

これは明らかに広告的なブログだと思えます。また弁護士の見解ですと、音楽事業者からこのコンサートの写真をブログ用に提供されていることからも、都響広報担当者とこの音楽評論家との関係性が指摘されており、PRと表記しないとアウトになるブログ投稿です。この音楽評論家は川崎のサマーミューザの公演も毎日のように通われていますが、都響とミューザ川崎は自治体が絡んでいる事業なので、より入念なモニタリングが必要ですし、音楽事業者と音楽評論家らはこの法律改正を理解していただき、きちんとした表示をして欲しいと思います。今回の規制強化は、個人的にはかなり厳しい措置だと思いますが、消費者庁の幹部の話によると、今まで膨大なステマの被害があったが故の厳しい措置で、今後はより罰則の強化もあり得るとの話です。「ブログ」=「日記」では済まされない現実のようです。

当ブログは音楽事業者らへの忖度無しの自主的投稿として書いてますし、弁護士とも相談し、広告・PRではございません(^^)。ご招待のチケットのコンサートは書かないようにしてます。
PS: 上記の音楽評論家の広告的なブログに影響されて行ったコンサートの筆者の感想はこちらになります。