ヤブロンスキーとザリガニの話 | クラシック♪インド部のブログ

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西洋クラシック音楽とインドというどうにも関係のなさそうな二つの事柄を中心に語るフリーライター&編集者、高坂はる香のブログ。
ピアノや西洋クラシック音楽とインドというすばらしい文化が刺激しあって何かが生まれる瞬間を妄想しています。

ヤブロンスキーが今年も来日しました。
既に大阪公演は終え、
残すは11月4日(月)宗次ホール(名古屋)、11月7日(木)東京オペラシティ

今年のプログラム、かなりいいです。
バッハのカプリッチョ「最愛の兄の旅立ちにあたって」という、
19歳のバッハが、お兄さんがスウェーデンに旅立ってしまうことを寂しがって書いたという
なんだか可愛らしいエピソードのある作品からスタート。
そしてやっぱりヤブロンスキーといえば北欧だよね、というわけでグリーグの小品。
《抒情小品集》は、op.62-5「夢想」、op.62-4「小川」、op.65-1「青年時代より」
と、この順番で演奏するそうです。

昨年のリサイタルもそうでしたが、40代になったヤブロンスキーは、
小品を並べ、順番にこだわるのがすごくお好きなようで。
もともとグリーグの抒情小品集の曲順は、
グリーグ自身がこだわって並べたものではないので、
演奏者が自由に順番を並べ替えることもしばしばあります。
やはり彼も、こまかーいこだわりを見せていますね。
「この3つの小品を聴いて、ひとつのソナタのように感じてほしい」とは、ご本人の談。

そして今回よくぞプログラムに入れてくれたと思うのは、
後半のプロコフィエフのピアノソナタ第7番。
かつて神童ジャズドラマーとして活躍していたという過去を持つ男、ヤブロンスキー。
ピアノを打楽器的に使うこういう曲を弾かせると天下一品。
彼はオクタヴィアレコードからプロコフィエフのソナタ全集もリリースしていますが、
この録音は実によい。(ジャケット写真、まだロン毛だ)

とはいえ実は、昨年かなり久しぶり(6年ぶりくらい?)に彼の演奏を聴いて、
この方、しっとりとした作品にずいぶん磨きがかかってきたのだなぁと思いました。
昔聴いたのと、ずいぶん印象が変わりました。
ショパンの晩年の作品など本当にすばらしかった。
なので、グリーグやラフマニノフの小品あたりが
かなりシビれる仕上がりになっているのではないかと予想中。
同じ時代に生きているピアニストの演奏は変化するから本当におもしろい。
きっと自分の耳も変わっているのだろうけど。


ところでスウェーデンの人ってザリガニ食べるんですよね。

 

こちらは去年の演奏会後、打ち上げで行った都内某所のレストランで食べたザリガニ。
スウェーデン名物だというのでお皿にとってみたはいいが、
どうしたらいいのかわからずにらめっこしていると、
スウェーデン生まれスウェーデン育ちのヤブロンスキーが
バリバリザリガニの剥き方を教えてくれました。

スウェーデン人は、パーティーでザリガニをバリバリ食べながらウォッカをごくごく飲んで、
めちゃくちゃ酔っぱらう(剥くのに時間がかかる→空腹のまま飲む→酔いがまわる)のが、
大好きだそうです。
ザリガニは、腸に泥が残っているからちゃんと取り除いて食べないといけないんだって。
役に立たないスウェーデン豆知識。