リシエツキ君(CDジャーナル9月号) | クラシック♪インド部のブログ

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西洋クラシック音楽とインドというどうにも関係のなさそうな二つの事柄を中心に語るフリーライター&編集者、高坂はる香のブログ。
ピアノや西洋クラシック音楽とインドというすばらしい文化が刺激しあって何かが生まれる瞬間を妄想しています。


CDジャーナル9月号で、ヤン・リシエツキくんのインタビューを書いています。
最近リリースされた、ショパンのエチュード全集についてお話をうかがっています。
ドイツ・グラモフォンからこの曲目の録音を出すのは、1972年のポリーニ以来なんだって。

リシエツキくんのショパンにはいつも、なんというか、独特の息遣いを感じます。今回のエチュードも、するするっと流れて行かない、かみしめるような歌い回しというか。 インタビュー中そんな話をしていたときに、 「速く弾こうと思えば、いくらでも速く弾けるんだよ。おもしろいから遊びで速く弾くことはあるけどね。ね?」 とレコード会社のスタッフの方々に同意を求めるところなんか、かわいらしいなぁ、まだ18歳だもんね、と思ったりしてしまいました。
ちなみに今回のジャケット画像ですが、リシエツキ君の頭上に飛んでいるのは楽譜です。撮影があまりに長くかかって、なんとなく楽譜を投げてみたときの写真が、いいね!となったとか。
前回のモーツァルトのときのプロモーションビデオもなかなかかわってましたが、いつもクリエイティブな方々が制作を担当されているようで。ピアノ on 屋根。

これ↓


未だによく覚えてるんですけど、古巣編集部にいたころ、初来日(たぶん当時14歳)のリシエツキ君のインタビューを終えて編集部に帰ってきた先輩が「まだピアニストになるって決めてないって言ってたよ!そりゃそうだよね、まだ中学生だもんね」と言っていました。今回インタビューでふと思い出してその話をすると、こんな返答が。

「その先輩に伝えておいて、彼はまだピアニストになると決めていないって。昔から、特にピアニストになりたいと夢見ていたわけではありませんし。もちろん、今こういう結果になってすごくうれしいけど。……普通のソリストはこんなことあまり言わないですよねぇ。すみません」

あやまられたよ~!

なんだろう、なんだかすごく、良い意味で流れに身を任せて生きている人なんだなぁと思いました。もちろんたくさん努力をしているんだろうけど、いろいろなことが苦にならない思考回路を身につけている人なんだろうな(インタビュー記事でもそんな発言を紹介していますが、心の底から、すごいなぁと思いました)。

というわけで、CDジャーナル9月号、ぜひごらんくださいませ。
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