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ダイバーシティ・女性の自律支援に取り組む

クラーク・フューチャー・コンサルタンツのブログです

2010年を迎え、様々なメディアでは、これからの地球、社会の展望を多く取り上げていました。

その中から、今回は「日本経済新聞」1月1日付朝刊の「安心社会の創造期に」を紹介しながら、ダイバーシティについて考えてみたいと思います。


「日本経済新聞」ウェブサイトはこちら

http://www.nikkei.co.jp/


■人口減少社会の到来

これからの10年、日本は人口減少社会が本格的に到来します。

日本の人口は2005年に初めて死亡数が出生数を上回り、自然減となりました。その後2006年には微増となりましたが、2007年からは再び減少に転じます。

2009年は出生数が106万9,000人、死亡数は114万4,000人で、7万5,000人の自然減となりました。


「平成21年 人口動態統計の年間推計」ウェブサイトはこちら

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei09/index.html


日本の人口はピークの1億2,783万人から、2020年には1億273万人まで減る見通しです。

この中で進むのが高齢化です。65歳以上の高齢者の割合は、2020年には29%になることが予想されています。


「高齢化の現状と将来像」をまとめた『平成21年版高齢社会白書』はこちら(高齢者の割合は「第1章第1節 1 高齢化の現状と将来像」に掲載されています)

http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2009/zenbun/21pdf_index.html


■労働人口が減少

高齢者(65歳以上)の割合が増えるということは、生産年齢人口(15~64歳)の割合が減る、ということです。

最近の厚生労働省の研究会では、労働力人口(15歳以上の者で、就業者及び就業したいと希望し、求職活動をしているが仕事についていない者(完全失業者)の総数)は、2008年の6,650万人から、2017年には、6,217万人まで落ち込む、という試算が出されました。これは5年前の2005年に厚生労働省が出した見通しから減少しており、人口減が想定以上に進んでいることが分かります。


2003年時点の「労働力人口の推移と見通し」を掲載した『平成16年度版 少子化社会白書』はこちら 

http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w-2004/html-h/html/g1331020.html


■労働力人口は増やせる

先の厚生労働省の研究会が出した試算は、あくまで「雇用拡大へ抜本策を講じなかった場合」です。

労働力人口を増やす抜本策として期待されているのが、「働く意思のある人が仕事に就ける」こと、つまり「女性」や「高齢者」が働ける環境を整備することです。

女性は、以前の「考えてみよう」でも紹介したとおり、保育所や学童といった子どもを預けられる施設の不足や、企業の子育てに関する制度が整っていない、あるいは制度はあっても使いづらいことから、就業を断念せざるをえず、「働きたくても働けない」人がたくさんいます。


100106掲載「保育所不足が社会の活力を減退させる」

http://ameblo.jp/clark-think/entry-10428066125.html

091117掲載「働くパパママの大きな壁・・・小学校入学」

http://ameblo.jp/clark-think/entry-10390432798.html

080505掲載「人財不足を本気で解決しようとしているか」

http://ameblo.jp/clark-think/entry-10129140169.html


一方高齢者を見てみると、人口の多い団塊世代(1947~49年生まれ)が、今後定年退職を迎えます。

厚生労働省が2007年度に実施した調査では、60歳以上で収入のある仕事をしている方は32.1%。仕事をしている方に退職希望年齢を尋ねたところ、「働けるうちはいつまでも」と回答した方は、48.5%と、約半数にのぼりました。


高齢者の就業状況をまとめた『高齢者の経済生活に関する意識調査結果(概要)』はこちら 

http://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h18_sougou/index.html


実際、高齢者人口の増加に伴い、働く高齢者も増えています。「平成20年高年齢者雇用実態調査」によると、60歳以上の高年齢労働者を雇用している事業所の割合は59.4%。前回5年前の調査より8.9ポイント上昇しています。また事業所の全常用労働者に占める高年齢労働者の割合は10.0%と、1割を超えています。


「平成20年高年齢者雇用実態調査」はこちらをクリックし、2009年8月20日をご覧ください

http://www.mhlw.go.jp/houdou/bukyoku/toukei.html


■安心社会創造のポイントは「ダイバーシティ」

労働者を「若い男性」に限定すると、労働力人口は減少の一途をたどります。しかし、「年齢」や「性別」といった枠を外してみると、そこには、「働く意思があっても仕事に就けない」人が沢山いるのです。これは大変な活力の損失です。多様性の受容により、それぞれが個性を活かし、能力を発揮できる「ダイバーシティ」の実現が、安心社会の創造につながるのですね。