そうだ、人生は魔法だ | 阿蘇の国のクララ

 

「もう、6月も半ばワオンよ!」

 

「ルイくん...出番がなかったから怒ってる♪」

 

「ママ、久しぶり!ぼくたち、夢の国で元気だじょ♪」

 

春かすみ

 

「ヂヂヂヂ」

 

「...雛の巣立ち?」

 

「巣立った...!?」

 

「大人になったら、また帰っておいで」

※別の巣箱にはまだ雛がいます

 

祖母山

 

「今日は祖母山です。

先週、神掛岩に登ったとき、

パパが大事な数珠を落としたから

心当たりを探すんだって」

 

「クッ、クッ、クッ、確かこの辺り...」

 

 

「クー、あったよ~♪」

 

「数珠に更なるパワーが入ったぞ!」

 

5月の脳のMRI検査で、

ママの頭の中には

10個の腫瘍があることがわかりました。

 

「一つは大きくなっているかも」とも。

 

パパが「増えてるじゃん!」と叫ぶと、

担当医は「過小評価してました」と応えました。

 

でも、今すぐはどうすることも出来ないそうです。

 

一先ず様子を見るそうです。

 

「チッ!」

 

翌日、パパはモンベルでママの欲しい物を

たくさん買ってあげました。

 

 

診察室を出るとき、

パパは担当医に訊ねました...

 

「現状としては良いことですか?

悪いことですか?」

 

「腫瘍は小さいままだから...良いことです!」

 

「...ほんとかな?」

 

パパが遠慮なく担当医に言うから、

ママは吹き出してしまいました。

 

「パパ、いろいろ訊いてくれてありがとう♪」

 

森に入るとき、

パパがよく聞かせてくれることがあります。

 

森は逃げこむところじゃない。

 

勇気と知恵と、

それから新しい魔法を

授けてくれるところ。

 

そうだ、人生は魔法だ。

 

この世はマジックに満ちている。

 

人は誰だって自分で自分に魔法をかけて、

 

その魔法を生きている。

 

パパとママと過ごす森の深さのなかから、

何くわぬ顔で街へもどってくる日、

私は本当の強さを学んで帰って来ます。