6月10日(木)...
「...クーちゃん♪」
「にせモン、おはよう♪
一緒に仙酔峡に行こう!」
「ちょっと寄っただけだから。
今から牛やしない、また今度ね♪」
仙酔峡へ...
「クー!」
駐車場から5分ほど走ると、
阿蘇山高岳が目に飛び込んできます。
ここからは鷲ヶ峰を核とする
高岳北尾根の岩稜(がんりょう)を
仰ぎ見ることができます。
九州ロッククライミングの先駆けとなった場所です。
さらに5分走ると...
阿蘇谷
遭難したクライマーを悼(いた)む
たくさんの慰霊碑やレリーフが立っています。
「風がすごいね!
ちゃんと手を合わせた?」
「足音が聞こえる...」
パパがつぶやきました。
再び歩き始めると、また言いました。
「歩いてくる」
でも、振り向いても誰もいません。
風の音かな。
それともシカが通り過ぎたのかな。
その日、ママとパパは、
悲鳴らしき声も聞いていました。
私は気にしません。
山ではよくあることだから。