山で眠りたい | 阿蘇の国のクララ

 

5月29日(土)...

 

「クーちゃん、整体でしよう?

いってらっしゃい♪」

 

「行ってきます♪」

 

国道57号線

 

アソフォレ

 

「早く着いちゃった」

 

「そろそろ行こうかな」

 

「クーちゃん、もうちょっとだけ

我慢しててね...」

 

「...終わった?」

 

その日は、

まぶしいほどの晴天でした。

 

私たちは夕方5時すぎに

仙酔峡へとやってきました。

 

崖を登って滝の上に立ちました。

 

ふたりで岩に腰かけ、

阿蘇谷を眺めました。

 

いつまでも

記憶に残ってしまいそうなほど、

素晴らしい夕景でした。

 

 

「なんか、いいな。

私は骨になったら山で眠りたい」

 

私がつぶやくと、

ママも「うん」と頷き、

満ち足りたような表情をしました。

 

あっという間に陽が傾いてきました。

 

ママは瞬きもせずに空を眺め続けています。

 

やがてママが笑顔を向けました。

 

「帰ろうか」