原子力は、始まった当初から、『トイレの無いマンションだ』と言われていたんです。皆さん、トイレの無いマンションに住めますか?
自分が生み出すごみの始末もできないなら辞めるという、そういう選択しか有り得ないと私は思います。
これは地球です。
宇宙という広大無辺な広がりの中で、命というものが根付けた、大変貴重な星です。地球以外にどこかに命が根付けた星がないかと人間が探し回っていますけれども、未だに見つけることができないというほど、稀有な星です。
この星は、約46億年前にできたのだそうです。
できてから、命が生まれるまでには何億年もの時間がかかったし、生まれた命も原始的なものから次々とまた進化をしていって、生まれては絶滅し、生まれては絶滅しというのを繰り返すという歴史を辿ってきました。
そして、人間も生まれました。
もともとはサルだかゴリラだったかというような生き物が、ある時直立して動けるようになって、人間が生まれたと言われています。
400万年前だそうです。
そして長い歴史を経て、狩りを覚えるようになった。約10万年くらい前だそうです。
そしてまた長い時間を経て、農耕を覚えて集落を作って定住することになる。約1万年前。
そして、それからまた何千年かが経って、私たちのようなこういう生活をしている人間がいる。
これが、人間の進化なんですかね。私はほんとかなと思うのでクエスチョンマークがつけてありますけど、こういう歴史を辿ってきた。
では、それぞれの時代に、人間がどれだけのエネルギーというものを使ったのかというと、こうだと言われています。
横軸の方は、時の流れを示しています。一番左の端に数百万年前と書いたところがあって、そこに原始人と書きました。そして、ここに実は帯が書いてあるんですけど、ほとんどの皆さんは見えないと思います。原始人という人が、一人1日当たりどれだけのエネルギーを使ったかというと、もう見えないくらいしか使わなかった。当たり前ですよね。自然に溶け込むようにして生きていたのです。
それが、約10万年前になって、狩りを覚えるようになって、ちょっと帯が見えるようになってきたと思います。
そしてまた何万年かが経って、約1万年前くらいになって、農業を始めて定住するようになったときから、はっきりと帯が見えるようになってきた。
農業が高度化した西暦1000年以降だともっとたくさんのエネルギーを使うようになった。そして、更にどんどんどんどんエネルギーをたくさん使うようになったんですね。
この帯の高さが、一人あたり使ってるエネルギーの量を示しています。
そして、この黒い線がありますが、これが人類全体で累積でどれだけのエネルギーを使ったかということなんですけど、この線を見ていただければわかっていただけるかと思いますが、人間が膨大なエネルギーをうなぎ上りに使い始めたのは、産業革命が起きてからです。
始めに聞いていただいたように、ジェームスワットというような人たちが蒸気機関というものを発明して、水を沸騰させて湯気を発生させることができれば、その力で機械が動くということを見つけて以降、人間は膨大なエネルギーを使うようになったと、そういう年に突入しました。
でも、この横軸は時の流れを示していると私は言いましたけれども、これ、かなりインチキな図なんですね。なぜかというと、この右の端っこの方は、かなりの幅のところで100年という時間の流れを示しています。では、左の方はどうかというと、ほんの短いところで数百万年という時間が過ぎている。これ、全然インチキですよね。もし、これくらいの幅を100年ということで書こうとしたら、これ、数百万年前を書こうとしたら、もうずーーーーっと向こうのほうからこの図を書かなければいけないということになるはずです。
これ、皆さんお分かりですか?
ここは私たちが今いるところです。ここに甲府の駅があります。今私はここに5つの円を書きました。一つ100mです。最後の円だけちょっと幅が狭いのが判っていただけると思うけど、これだけ60mなんです。つまり、この最後の円に行くまで460mです。
皆さん、今日どうやっておいでになったか知りませんが、私は甲府の駅から主催者の一人の方と一緒に歩いてきたのですが、どこかこの460mのこの円のどこからか、歩き始めて、今この会場の私のいる位置まで歩いてくるということを考えてください。
そして、私はなんで460mという中途半端な数字を書いたかというと、先ほど私は聞いていただいたように、地球というこの星は、46億年前にできたんです。その46億年という時の流れを460mという長さで考えてほしいんです。この円の一番外側で地球が生まれた。そして、このコラニー文化会館の、今私が居るところが現在です。ここまで歩いてくるということを想像していただいて、その間にはたくさんの生き物が生まれては絶滅し、生まれては絶滅していきました。
では、人間が生まれた400万年前はどの辺ですか?この地図の。
そうですね、地球誕生を46億年前を460mにする、それでは、人類が生まれた400万年前はどれだけかと聞いたわけで、40㎝です。
ずーっと歩いて来て、この文化会館に着いたって、人間なんて居ないんです。
そのドアを入ってても居ないんです。
ずーっと会場の皆さんのいるところを歩いてきたって、まだ人間は居ないんです。
この段の上に上がったって、人間はまだ地球には居ない。
私のところが現在なら、もうここに来るまで人間は居ない。
ながーい地球の歴史がありながら、たったこれだけが人類の歴史なわけです。
その人類の歴史の中で、私たちが膨大なエネルギーを使いだしたのは、200年前だと私は言いました。どのくらいの長さですか?今度は。
・・・0.02㎜。
ほんっとに命が根付けたこの稀有な星である、この地球という星の上で、測ることすらできないという刹那的な時間の中で、私たち人間というものが膨大なエネルギーを使いだしてしまったということなんです。
そのためにどういうことが起きているかというと、生物を絶滅させるということが起きるようになりました。
1500年のときも1600年の時も、生物が絶滅するということはしょうがないのです。だから、たくさん、何がしかの生物が絶滅してきた。
しかし、産業革命が起きて、人間がエネルギーを使うようになったのを期と一にするように、他の動物を、生き物を絶滅に追い込んでいるというのが現在です。
こんなことをすれば、やがて人間が破滅するということなんです。
人間は自分のことを霊長類とかいって、名前を付けて呼んでいますけれども、本当に私は愚かな生き物だったんだなと、最近思うようになりました。
『世界がもし100人の村だったら』という本を皆さんご存知だと思います。
池田香代子さんという大変優れた人が書いてくれた、この世界を100人の村として考えたら、一体どんな村かということをいろんな例を出して、説明してくれている。
これはDAYS JAPANという写真月刊誌ですけれども、それが確か2007年だったと思います。写真版の世界がもし100人の村だったらという特集号を作ってくれました。
その中でいろんな世界の写真を出しています。
これはトップページですけれども、ここに何て書いてあるかというと、
『世界がもし100人の村だったら、この村で作られた穀物を平等に分ければ、全ての人が一日に2800キロカロリーの食事をとることができます』
と書いてあります。
2800キロカロリーというのは、命を維持するのに十分すぎるほど十分です。2000キロカロリーあれば、大人が生きられるわけですから、要するに平等に食べ物が分配できるなら、だれ一人として飢えずに済む、それだけの穀物があると言っている。
しかし、いま世界では11億の人たちは、絶対的貧困という状態にあって食べ物が無い。そのうち5億の人たちは飢餓に直面していると、そういう不平等な世界なんです。
これはわかって頂けるでしょうか。
ここにぽっかりと窓のようなものが開いていて、その下に実は子供が居るんです。これはウクライナという国です。さっきもちょっと言いましたけど、チェルノブイリ原子力発電所という原子力発電所があった国で、発電所が大きな事故を起こしたために経済が崩壊してしまいまして、子供たちが路上に放り出されるということになりました。この子が居るここのところは、下水のマンホールの下です。冬になって凍えてしまう、死んでしまうので、下水のマンホールの中で生活をするということをやっている子の写真です。
世界の子供がもし100人だったら、7人はスラムで、5人は家族と離れて路上で暮らしています。
日本の私たちには想像もできないような、困難な世界が・・・。
これはイラクです。
米軍が踏み込んで、イラク全土を占領して、人々をこうやって尋問しながら戦争を続けてきました。米軍がイラクに攻め込んだ理由は、イラクが大量破壊兵器、つまり核兵器を作っているという理由だったんですけれども、イラク全土を探しても何もありませんでした。
それでも米国は、一言の謝罪もしないまま、イラクの人たちをこうやって苦しめながらきたわけです。
世界の子供がもし100人だったなら、9人は戦火の中で暮らしています。
戦争で命を奪われる市民100人のうち、80人は女性と子供です。
日本は、なにか、戦争など無くて平和だと思われているかもしれないけれど、未だに世界中で戦争が続いている状態です。
これは、アフリカのスーダンです。
日本というこの国は、ものすごい水に恵まれた国です。水道をひねれば、きれいな水が出てきて、それをそのまま飲めます。車を洗うんだって、綺麗な水で車を洗う。トイレに行けば綺麗な水が流してくれる。
でも世界には、水なんかない。
こうやって水を集めて、食べ物、飲み物に使うという世界。
75人は食べ物のたくわえがあり、雨露をしのぐところがあります。
でも、後の25人はそうではありません。
17人は綺麗で安全な水を飲めません。
という、こういう世界なんです。現在は。
それでも、日本にいる私たちは、
『もっともっと電気が欲しいよ。停電なんかヤダよ。原子力をやめたら停電だぞ。どうだ?』
といって、国から脅かされている。そういう国なんですね。
挙句の果てに、これからリニア新幹線というのを作るんだそうです。
皆さんの甲府を通って、東京から名古屋、大阪まで1時間で結ぶという、こんなことをすればどうなるか。
時間が終わってしまいますので、簡単に言いますけれども、リニア新幹線を作ろうとすれば、新幹線、既存の新幹線の3倍もの電気が必要になる、と推計されています。
もし、リニア新幹線を作るなら、そのために原発1基を作らなければいけないという・・・。
本当にこんなこと必要なんですか、皆さん?
今、日本の政府や電力会社は、
『原発やめると停電しちゃうぞ』
と脅かしをかけています。
『こういう電気の3割は原子力から既に来ている、原子力から足を洗うことはできない。もう諦めろ。』
といって、皆さんを脅かしているんですね。
でも、それは嘘なんです。
ここに私は水力・火力・原子力・その他と書きましたが、これが日本の9電力が持っている発電所の設備の量をここに示しています。
「電力会社の電気が高いから嫌だ」
と言って、大きな企業は自家発電所を作っています。それも結構あるんです。
ただ、この黄色い帯は、発電所の能力、全出力で1年稼働した場合の発電量です。でも、実際には原子力で1年稼働するなんてことないわけで、実際に発電した量はどれだけかというと、これだけです。
水力発電所の場合には、すいませんが細かい説明はできなくて、すぐ時間が無くなりましたが、揚水発電所という大変馬鹿げた発電所を、今電力会社がたくさん持っていて、それを動かしたくないがために実際の設備利用率は2割くらいしかありません。
原子力発電所の場合には、1度動かしてしまうと、出力を上げたり下げたりすることもできない、とにかくずーっとフル出力で動かす。中に事故で止まってるものもあるし、定期検査で止まってるものもあるけど、7割が動いている。
じゃあ日本で一番たくさんある火力発電所はどうかというと、48%しか動いていない。つまり52%、半分以上は止めてあるというくらい、火力発電所はあるんですね。
そして、この青く塗った電力会社が発電した発電量のうち、原子力の青の部分が3割だと言っている。
そして、それは本当なんです。
でも、これがないと困るか?というと、困らない。
なぜか?
こうすればいい。
原子力発電なんかやめて、火力発電で発電すれば、充分に足りた。それでも尚且つ火力発電所は3割止めておかなければならないほど余っている。
でも、これを私が言うと、国と電力会社が私に文句を言う。
『お前がそこに書いたのは、1年間通してのことだ。でも電気というのは、一番たくさん使う時にちゃんと供給できなければいけない。そのために原子力発電所も要るんだ』
と、彼らは言うんですね。
「冗談をよしてくれ」
と言って、私が作ったのはこの図です。
1930年から今日に至るまで、水力発電所が青い部分、黄色いところが火力発電所、赤いところが原子力、その上に自家発電所がどんどん増えてきてるというのが判っていただけると思います。
そして、日本で一番電気を使ったときに、どれだけ使ったかというのが、この黒い丸印です。
分って頂けると思いますが、水力発電所と火力発電所で十分に稼働させることができるようにしておけば、原子力発電所なんて、全然必要なかった。
最近なんてのは、あまりに余ってるというくらい、余っている。
即刻原子力を止めても、何でもありません。
私は常日頃から、電気を使わないように心がけています。
今日、私のことを紹介してくださった方も、ちゃんと言ってくださったけども、私の研究室の照明は、ほとんどついていない。京都大学の研究室ですから、エアコンはありますけれども、スイッチを入れたことが無いので、多分動かないと思います。
家にも一台もエアコンがありません。
電気を使わないということはいいことだし、皆さんにもお願いしたいと思います。
でも、今年の夏、そして今もそうですけれども、国と電力会社が、
「節電しろ、節電しろ」
と脅しをかけているんですね。
『節電、原子力発電が止まっているから、節電しなきゃ困る』
というような脅しをかけている。
私はその脅しを聞いて、
「なにくそそれなら使ってやる」
と思います。
<会場笑い>
むしろ、それほど馬鹿げたことを私たち宣伝されて、皆さんが騙されているということが続いているのです。
もっと注意をして世の中を見なければいけないと思います。
最後にします。
これちょっと写りが悪いんですが、判って頂けるでしょうか。
人工衛星から夜の地球を見た時の写真です。
一番明るいのは、ここですね。
・・・日本です。
夜の人工衛星から地球を見ると、日本は不夜城のごとく浮かび上がるというのです。
本当にこんなことをする必要があるのかどうか。
こんな未来を子供たちに残していくのかどうか。
そのために、原子力までやって、汚染が起きたらもう国も何も知らん顔をするという、そんなものを私たちが使っていいものかどうなのかということを、皆さんに考えていただきたいと思います。
終わりにします。
ありがとうございました。
<会場、拍手>