今回は中野剛志氏の『日本防衛論』(角川SSC新書)を取り上げたいと思います。この本自体は1年以上前に読んだのですが、長期的なリスクを検討するという意味でかなり勉強になる一冊ではないかと思いました。(ちなみに本書の内容は2012年以前のものになります。)
それでは感想および内容のまとめいきます。
グローバルリスク報告書では以下のリスクが報告されたとのこと
発生可能性が高いリスクTOP5
・深刻な所得格差
・財政不均衡
・温室効果ガスの発生
・サイバー攻撃
・水資源の不足
被害の大きいリスクTOP5
・システミックな金融危機
・水資源の不足
・食糧不足
・財政不均衡
・エネルギーと食糧価格の極端な変動
そして、その他にも日本固有のリスクも存在する。
そのリスクの評価と日本政府の対策の現状、そして今後どうすべきかということについて本書では述べられておりました。
今回も各章のキーとなる要素を中心にまとめてみたいと思います。
第一章 前提条件の崩壊
ここでは、経済秩序の安定には覇権国家の存在が必要だが、新自由主義やグローバリズムの影響もあり、現代は「Gゼロ」の時代へ突入し、経済秩序は非常に不安定な状態となっているということが述べられている。
つまり市場というものは暴走するものであり、それをコントロールできるものは各国政府なわけですが、グローバリゼーションが進むのであれば、そのコントロールをするのに覇権国家が必要となってくるという意味でしょうか。市場に任せて自由にさせるとバブル作って崩壊してとかしっちゃかめっちゃかになりそうですしね。新自由主義やグローバリズムの考え方というのは世界にとってまさしく癌ですね( ̄∀ ̄)
第二章 リスク・シナリオの設定
ここで中野氏は日本経済が直面しているリスクとして「ユーロ危機」「アメリカの景気後退」「新興国の構造不況」「地政学的変動」「気候変動」「地殻変動」を挙げています。
そして、ダグラス・カス氏の提唱する異常な経済現象である「スクリューフレーション」について解説してあります。
「スクリューフレーション」は中産階級の貧困化(スクリューイング)から取られていますが、どういう現象か簡単に言うと、GDPも伸びて、企業収益も上がって、物価もどんどん上昇するが、労働者の賃金は下がっていくような現象ということですね。ちなみにスタグフレーション(悪性インフレ)の場合は労働者の名目賃金は上がっていくというのがスクリューフレーションとの違いですね。
アメリカが顕著ですが、現在の日本もスクリューフレーションを悪化させるような政策をどんどんやろうとしているみたいですね。(下級アヤカシどもは「中野はスクリューフレーションとかいう意味不明な言葉を作って安倍政権の足を引っ張っている」とか騒いでいるようですが・・・。)
第三章 リスクを想定できない日本
第二章で述べられたリスクをいかに日本政府は想定していないかということがこの章では述べられています。それどころかスクリューフレーションを悪化させるような政策をしていると。その例として消費税増税をはじめとした緊縮財政や発送電分離・電力自由化を挙げています。
中野氏がこの本を書いた時はまだ民主党政権であったわけですが、スクリューフレーションの悪化といえば民主党政権より輪をかけて現在の安倍政権の方がひどい気がするのは私だけでしょうか?
第四章 グローバル化の終焉
ここでは「ユーロ危機」「アメリカの景気後退」「新興国の構造不況」について詳しく述べられています。
ユーロや新興国の問題については構造的な問題なのでもはや打つ手がない、または長期化するというのが現状でしょうね。むしろさらなるグローバル化の推進はさらによくない結果を招く可能性が高いと思われます。それなのにグローバルグローバルと・・・。グローバカどものうっとおしいこと(-""-;)
というわけで、後半は次回で。
本書はコチラ
日本防衛論 角川SSC新書 グローバル・リスクと国民の選択 中野剛志著
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